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教職志望の方へ(23)ー指導要録その3

 その2を載せてから、見落としに気がつきました。
 指導要録は卒業生のためだけにあるわけではなく、退学や転学者の分も作ります。したがって、毎年作る必要があります。
 ですから、3年分まとめて、というわけには行きません。

 もちろん、最後に綴じられる時には、卒業クラスの番号で組まれますし、転退学者分は別に綴じているとは思いますが、最初に書く時には入学者全員分を書きます。
 一年目の途中で退学した場合は、学年制では単位を取れませんが、二年からは、単位数を持っています。その分は、指導要録(II)のコピーを転校先に送って、総単位数認定に使用します。

【チェックの手順】
 学校によって違うかもしれませんが、大体次のようにします。5月ぐらいの作業です。
①まず一通り書いた段階で教務部が手分けして二人一組でチェックしていきます。
 教務部の手引きを元にチェックしますが、単位数の記入欄ずれなども主なチェック点です。間違いには付箋を付けて、間違いについてメモします。
②担任が教務部のメモを見ながら訂正します。付箋は付けたままにしておきます。
③教務部が再チェックし、付箋を外します。
④担任が自分の記名のある場所で押印の必要な部分に印鑑を捺します。
⑤教務部がチェックして、校長のところへ持って行って、印鑑を捺してもらうか、教務部長が代わりに校長の印鑑を捺します。
⑥指導要録を金庫に戻します。

 したがって、印鑑はチェックが済んだ、という意味があるのです。

【デジタル化と指導要録】
 成績は確かにデジタル化に馴染み、一度ついた成績を転写してミスが出るのは確かに馬鹿げているので、指導要録(II)と調査書のみのデジタル化はアリでしょう。指導要録(II)の保存期間は5年になったので、調査書も連動しています。つまり、指導要録(II)と調査書は、プリントアウトしてクリアファイルに5年置いておけば、こと足ります。学生が来る都度、パソコンからプリントアウトするのは手間がかかります。
 ただでさえ、卒業から2、3年経っただけで、調査書を作る担任が転退職しているおそれがあり、同姓同名がいたり、卒業年を忘れたり間違えたりすると、取り違えが起きかねません。

【デジタル化のデメリット】
 問題は指導要録の台帳としての機能で、デジタルはあまり保存には向きません。
 meiさんも指摘されていましたが、フロッピーが使われなくなりました。同様にUSBメモリもいつまで使われるか、わかりません。ハードディスクもウィルスにやられて読み出せなくなったのを見たことがあります。
 その点、紙は長く保ちます。洋紙は和紙には負けますが、それでもデジタルのような心配はありません。
 記録媒体は最初は紙テープ、次が磁気テープ(音楽を録音するのと同じものでした)、その次が8インチ、5インチ、3.5インチのフロッピーディスク、DVD(かなり種類がありました)、MD、フラッシュメモリ、USBメモリ、ハードディスク等、並立していた時期もありましたが、容量もどんどん変わっていきましたし、今はフロッピーディスクは3.5インチも見なくなりました。ディスクは残っても読み取るデッキと合うマシンは無いですね。

【法的準拠】
 書式には法的準拠がないという話も見かけますが、実際には学校教育法やその施行規則などの縛りがあるはずです。
 特に、今回の学習指導要領の改訂により、評価については評価の仕方や書き方が指定されたので、指導要領の書き方や書式にも細かく指導が入ったはずです。
 学習指導要領が法的準拠を持つ、となって、指導要録(II)の書式に与える影響は大きくなったと思います。

【問題点】
 指導要録(I)は、どこの誰が学校に在籍していたかを証明するため、生年月日や本名はもちろん、在籍時の住所を、変更も含め、載せるものなので、デジタル化して流出した時が怖い。セキュリティの専任の(授業しない)管理者を置かない限り、電子化はやめておくべきではと思います。
 指導要録(II)は、在籍時の一時的なものの証明書で5年保存なので、デジタル化は可能ですが、成績のようにデリケートなプライバシー情報は、やはりセキュリティが問題になるでしょう。

【調査書との関係】
 調査書は既にデジタル化している学校もあると思いますが、進路指導部で管理していると思います。一番早い入試のAO(アドミッションオフィス)入試は試験開始時には調査書不要、次は九月の指定校推薦入試と10月から11月出願の一般推薦は、三年1学期までの成績の調査書を出し、年明けの一般入試は2学期までの成績の調査書を出し、卒業後は、学年末までの成績の調査書を出します。
 
 したがって、調査書は、高校三年の1学期終了後、2学期終了後、学年末の3回作ります。
 意外と、指導要録と連動しているようで、していないのですが、連動していない方がデジタル化は進んでいるのではないでしょうか。

☆写真について☆
 大阪市西区靱本町の「韓味一 朴邸」のマッコリです。今日は酔っ払いです😊

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