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爪のお手入れ

 昔、初めて期限付き講師をした時に、「先生がマニキュアしている、と生徒たちが言っていましたよ」と先輩の先生に言われて、驚いたことがあります。

 実際に爪を見せて、マニキュアを塗っていないことを示して、その三つ上の先輩女性教諭に爪のお手入れの仕方を説明しました。

 お風呂に入った時に、湯船に浸かって、そこそこ手が柔らかくなったら、タオルの端の硬いところか、垢すりタオルみたいな硬めのタオルで、爪を擦ります。擦ることで軽く甘皮を取り、滑らかになったら、お風呂上がりにニベアが乳液を爪に擦り込んでおけば、ツヤが出て、ピカッと光ります。
 この方法は母に銭湯で実際に爪を擦って教えてもらいました。下町の爪のお手入れだから、先生はご存知ない?……かも知れませんね(その先生は上から下までブランド物でした)。

 「昔はホウセンカの花で爪を染めたのよ」という話も、爪のお手入れを教えてもらったその時、母から聞いたのですが、そもそも、何故爪のお手入れを教えてもらったのか、ニキビの治し方のことを思い出した後に、ふと、その頃の情景が浮かびました。


 小学生の頃、なぜかピンクの不透明のマニキュアを持っていました。でも、塗ってもあまり期待したような感じになりません。たぶんその時の私の理想としては、桜貝のような、半分透明感のある薄いピンク、になってほしかったんだろうと思います。
 しかし、マニキュアを塗っても、不透明のマットな水彩絵の具で塗ったような、どうしようもないピンクで、しかも全くツヤがなく、光らないのでした。小学生でも買えるような安物だったのと、当時透明感のあるマニキュアが流行っていなかったこともあると思います。
 母が、私の爪を見て、マニキュアを剥がしなさい、と言って、除光液を持ってきました。当時は、ミニスカートとつけまつげとマニキュアが流行していた時期で、あまりお化粧をしない母でも、除光液くらい持っていたものと見えます。
 「なんだかマニキュアを塗ってもキレイにならない」と、母に訴えたかどうかは忘れましたが、除光液でマニキュアを剥がした時に、爪のお手入れの仕方を教えてくれて、お風呂に行った(その当時の大阪では内風呂はまだほとんどありませんでしたので銭湯です)ときに、実際にタオルで爪を擦ってくれました。

 ピンク色のピカッと光る爪、マニキュアを塗っている、と間違われたのは、後にも先にも二十代だった講師時代だけです。大阪府立三国丘高校全日制での出来事でした。


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