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進路指導の思い出⑨

【看護医療系以外の専門学校編】
 前に進路指導の思い出⑦で、看護以外の専門学校用の抽出しを作って、進路指導部で不評だったことを書きました。その抽出しを管理していた時の話です。

 実は50近くに抽出しが増えても、まだ段ボールにたくさんの専門学校の学校案内と募集要項の入った袋があったので、かなり選別しなければなりませんでした。
 基準としては、過去に卒業生が進学したところ、次に希望者の多い分野、そして長らく案内を送ってくれているが割と希少な学校、という感じでした。

 生徒たちはTVドラマに簡単に洗脳(❓)されるので、その昔、キムタク氏が美容師役のドラマの放映された年は、とある美容専門学校は例年三月まで募集をかけているのに、10月1日出願解禁日に、応募数が多すぎて募集を打ち切る、という事件がありました。
 大手の美容専門学校は、応募が多くても何とか10月半ばまで願書を受け取っていましたが、10月中・下旬には充足した、と連絡して来られました。
 木村拓哉氏がパイロット役をすれば、航空専門学校に人気が出て、それからもいろいろありました。(小学校の先生役をしていただいたらどうですかね?)

 『動物のお医者さん』(マンガ原作でドラマ化)が流行った時も、獣医は難しいからと言って、トリマーが流行りました。連載中(かなり古い)は獣医も多少流行りましたが、実験動物を殺すことになるとか言われており、動物好きは、調べているうちに獣医を諦める人も多かったのです。

 服飾系は、根強い人気があるのですが、抽出しは三つ、つまり3校のよく知られた服飾専門学校の募集要項を置いていました。
 ある年、サッカー部の主将が服飾専門学校を受けるというので、びっくりしていると「今年の応援団の衣装は、オレが全部縫ったんですよ」と言うのです。で、抽出しの3校の中から選んだのですが、他の専門学校に比べ、地味だったので、何故そこを選んだのか尋ねると「一番学費が安かったからです❗️」「❗それ、ひょっとして面接の時に言いました❓」「ハイ❗️」
 翌年、サッカー部主将の進学した服飾専門学校の学費は、他の学校と同じになっていました🥲せっかく半分ぐらいだったのに。

 抽出しを用意していても、去年も来てないし今年も来ないな、と思っていたら、潰れていた、という学校もありました。
 抽出しにちゃんと要項があった学校でも、ある朝、進学情報会社の「さんぽう」から「○○という専門学校が閉校になります」と電話がありました。
 年度途中でしたので、管理職に連絡して、その専門学校の在校生に、元担任などから連絡を取ってもらいました。
 夜のニュースで、その専門学校が、後期分の授業料を踏み倒して、閉校になったことが報道されていました。

 専門学校は、戦前の専門学校とは無関係で、後発であり、実学主義なので人気が出ました。しかし、入ってから不向きなことが分かったら、授業料が丸損になります。美容師だったら、パーマ液のアレルギーでムリでした、という話はよく聞きます。
 就職100パーセントとか99パーセントとかよく聞きますが、入試の作文や面接で最初から、ふるいにかけているのです。
 したがって、就職自慢の専門学校の入試は、高校側の指導をなにがしか必要とします。
 昔、最初の教諭をした学校で担任した生徒が、今日専門学校に願書と一緒に出す作文を見てくださいと持ってきました。
 400字かっきり書いていて、構成がきっちりしているので、今日出すものを直しようがない、と言ってそのまま提出させました。
 落ちた時に、「先生は添削してくれなかった。落ちた理由を訊いて下さい」と言うので、その専門学校に私から電話をして、落ちた理由を聞きました。
 答えは「職業意識の欠如」でした。

 このことがあってから、趣味を仕事にしようとしている生徒の作文や志望動機には十分注意するようになりました。

サポートよろしくお願いします。また本を出します〜📚