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教職志望の方へ(14)ー予算について

 学校予算は年間予算なので、年に一度、予算会議が行われます。
 
 阿倍野高校にいた時、図書館から苦情が来ました。ちょうど教科に企業経験のある非常勤講師が来て、その人が図書館にやってきて来週までに新しい本を数冊入れてくれと要求してきたので、出来ないことを説明しておいて下さい、とのことでした。
 企業では経費で落とす、という考え方がありますが、公費で動く公立高校には元々経費という考え方がありません。たぶん私学でもそういう考え方はないでしょう。
 何故なら、学校は年間計画で動き、公費助成と授業料と諸費用納入で動いているので、年間予算で、税務的にも企業とは異なると思います。
 学校で企業に近いのは、専門学校と企業立の学校だけでしょう。

 数字に弱いので、予算会議の記憶がどうも遠いのですが、はっきり覚えているのが、まず平成の最初の頃、学校図書館予算が30万ぐらいあって、図書センターに買い付けに行ったことです。しかし、その後、年々減らされ、生徒たちと教員からの希望を取って買うようになったのです。本の単価も上がっていますし、公立では大した冊数は買えていないと思います。
 同時に教科予算も減らされました。阿倍野高校に来た平成八年には、教科の本も買っていて、長年の蓄積で小学館の日本古典全集や岩波の日本古典文学大系が揃っていて、岩波新大系の足りない分を追加していました。個人にも教科予算でプリント保存用の当時珍しかったB4版のクリアファイルも貰いました。しかし、次の年から減額され、個人に回す予算も無くなり、新日本古典大系などのハードカバーの追加もした記憶がありません。その次の年に転勤してきた人が、私が貰ったクリアファイルを見て、「ずるい、何で私にはないんですか⁉️」と叫びました。予算が無くなったから、と言っても眉をひそめていました。

 府立で転勤の最後に行った定時制では、教科予算会議の時、体育科のボールやバトミントンのシャトルなとの授業用消耗品が優先され、国語科は遠慮して0円回答でした。
 
 ただ、驚いたのが、卒業式が平台の革新的な卒業式から一転、厳粛な卒業式を行えと指示が降りてきてから、壇上に豪華な花と金屏風と国旗と校旗がセットになったのですが、ある時、予算会議だったか式場準備の一覧だったかで、金屏風レンタルが校長裁量費から出ているのを見ました。今はどうしているのでしょう。ご確認下さい。金屏風は痛みやすいので自前で保管している学校は少ないはずです。
 それまでは舞台上の赤いカーテンに第○○回卒業式と書いた看板を手作りで下げていたのです(初めて看板を教員が作っているのを見たときは目が点になりましたが、今では不思議ともなんとも思わなくなりました。体育祭で各クラスの看板を作るからです)。

 生徒にビデオを見せる機会の多い社会や理科では準備室にビデオデッキを持っているのを見たものですが、初任者として行った学校の職員会議で社会科主任が「社会科室にビデオデッキが2台あったのですが、1台無くなりました。どなたかご存知ありませんか?」と尋ねました。私は実は、年度末にある転勤する社会の先生がデッキをナマのままコードを引きずって持って行くのを見たのですが、もう何も言いませんでした。
 その先生は結構お坊ちゃんだったので、たぶん自分のために私物を持ってきて、それをみんなが知らずに使っていたのだろうと思ったからです。
 似た経験が同じ学校で私にもあって、図書視聴覚部にいたとき司書室に私の机があったので富士通親指シフトのワープロと自分の本を置いていたのですが、同僚が俳句の季語と写真の本をさがしに来て、「このへんにあったのになあ」というのです。「それは私の私物で持って帰りました」と言ったのですが、その同僚は変な顔をしていました。
 予算が潤沢な時期を過ごした人や、自分で学校に使うものを決して買わないというポリシーのある人は、学校にあるものは全部、学校予算で買ったと考えがちです。
 
 しかし学校には結構、私物があります。
 学校が買ってくれない参考書の類や教科別赤本、資料、冷蔵庫、電子レンジ、水屋関係の消耗品、コーヒー、コーヒーミル、電気ポットなど……。
 もちろんビデオデッキやDVDデッキなどは公費で買っているものもあり、10万以上するものは備品として登録され、事務室が毎年備品がちゃんと存在しているかどうか、確認しているのです。
 備品は厄介で、事務処理上なかなか処分が難しく、ロールペーパーがついた電卓、という骨董品のような代物を見たことあります。

 年間予算にいれられなくて、校長命令で急ぎ購入の必要があるなら、校長裁量費でお願いしてみましょう……(笑)

 

  
 
 
 

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