お久しぶりです。雪だるまです。今回は今大注目の作品、「鬼滅の刃」の感想です。感想と言いましたが、その中でも「なぜ鬼滅がここまで流行っているのか」について特に言及していきたいと思います。（ネタバレなし）

神作の予感がしない１話

１話。家族が惨殺され、妹が鬼になり、主人公の竃門炭治郎が鬼を倒す決意をする話である。
別にこの話自体は特につまらないわけではない。強いて言うなら、義勇が炭治郎の前で禰豆子を殺すアピールしておいて何かもっともらしい啖呵をきるのが違和感があるくらいで、物語の導入としては悪くない1話である。
ただ、1話目では正直この作品がこれから社会現象を巻き起こす作品だとは想像できない。良く言えば王道的、悪く言えばありふれている導入であると思う。

最後まで王道

アニメは最後まで見たが、結論としては「面白いといえば面白い」といったところだと個人的には思う。展開はテンポも悪くないし、戦闘シーンもクオリティが高いので見てて飽きはしないが、どハマリするほどでもなかった。クライマックスの累との戦闘も、累と炭二郎ふたりの境遇を照らし合わせながら展開されていくが、若干こじつけ感もあって没入とまではいかない。
ぶっちゃけ社会現象を引き起こすような作品には思えないというのが正直な感想だ。ではなぜ鬼滅がここまでの勢いをみせているのか、次の項から考えていこう。

修行は暴論

鬼滅が流行った理由としてよく挙げられているのは「ジャンプらしい修行の描写があるから」というものだ。これははっきり言って暴論だと思う。修行が流行の鍵だというのなら、ジャンプはドラゴンボールの時代からずっと修行を軸にしたマンガばかり連載させているはずだ。ナルト、ブリーチの時代以降、王道なバトル漫画が読者にウケなくなっていったのはジャンプに限らず、少年誌全てにいえる。だからこそ、各社ジャンルにとらわれず様々なマンガを連載させてきた。鬼滅だって連載当初は王道というより色物に近い扱いだったはずである。なのに、流行ったからといってその理由を「ジャンプだから修行」とするのはあまりに雑であろう。なにか別の要因があるはずである。
私はこの一大ムーブメントには主に2つの要因が重なり合ってできた事象だと考えている。

子供と全集中

これだけ流行っているのだから、読者の中にもこんなことを聞いた人は多いだろう。「うちの子が鬼滅にハマって全集中だのヒノカミカグラだの言いまくってる」という言葉だ。これが、鬼滅大ヒットの鍵であると私は思う。ドラゴンボールが絶好調だったとき、みんなかめはめ波のマネをしまくっていたはずだ。ナルトやブリーチも絶好調のときはみんな螺旋丸や卍解と唱えていたはずである。仮面ライダーの変身だってそうだ。子供というのは単純なものでかっこいい必殺技があると真似したくなるものなのである。
鬼滅はどうだろうか？まず技名が○○の呼吸　○○の型　○○という韻で統一されているため覚えやすく唱えやすい。そして動きも単純で覚えやすい。霹靂一閃なんか分かりやすいだろう。目をつぶって抜刀する仕草をすればそれだけで霹靂一閃である。ほかの技も基本は刀ベースの技なので刀を振る仕草をして技名を叫べばそれっぽくなる。鬼滅の技は全体的に真似しやすいといえるだろう。

大人と王道

子供に鬼滅がウケている理由は話したが、鬼滅は大人もハマっている人が多い。オタクに限らず、普段マンガやアニメを見なさそうなお父さんお母さんもハマっている人は意外に多い。なぜ大人までファンに取り込むことに成功したのか。ここではじめて王道というキーワードが活きてくる。
前述したように鬼滅の展開は修行あり、四天王的なやつありの超王道的である。そしてこの王道というのはナルトやブリーチの時代に生きたパパママ世代にぴったり当てはまる。鬼滅はストーリー自体はむしろ大人ウケしやすいものなのだ。
もちろんただ王道だから流行ったわけではない。ここまで大人に受け入れられたのは子供の影響もあるだろう。きっと親なら子供と意思疎通はしていきたいものだし、子供がここまで夢中になっているのなら１回は読んでみようと思う人はきっと多いだろう。それがきっかけでハマった人はかなり多いはずだ。
絵柄も今のラノベみたいに若者向けでキラキラしていないのもパパママ世代にはかえって受け入れやすかったんだろう。

老若男女受け入れられた良作

まとめると技の真似しやすさが子供に、王道的展開が大人にウケたことでこの一大ムーブメントが作られているというのが私の結論だ。
最後に誤解がないように言っておきたいが、鬼滅は決して面白くない作品ではない。ここまでの大流行は偶然かもしれないが、みんなが鬼滅にハマっているのは必然である。それは鬼滅が確かに面白い作品だからだ。だからただの逆張りや天の邪鬼で見ない選択をするのももったいない作品だと思う。まだ見ていない人はぜひ1度見てほしい。