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受け入れろ、これは神アニメであると。「ダーリン・イン・ザ・フランキス」感想 第4回

大変お久しぶりです、雪だるまです。今回は「ダーリン・イン・ザ・フランキス」の感想です。TVアニメシリーズの感想初めてですね。
このアニメ、ネット上ではかなり賛否両論になっています。そこら辺のことにも触れつつ、感想を書いていきます。(ネタバレあり)

ロボットアニメとしては王道

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本作は主人公のヒロとゼロツーを含む男女各4人の"子ども"が、移動型居住施設ミストルティンを叫竜と呼ばれる巨大生命体から守るために兵士として戦う話である。兵士として育てられた彼らが様々なことを通じて葛藤し、成長していく様子を描いたロボットアニメだ。
内容や設定自体は特に奇をてらったところはなく、王道的といえる。

17話までは丁寧な展開

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前項で8人の子どもたちがメインのストーリーといったが、話としては主人公であるヒロとゼロツーが軸になって展開していく。途中で叫竜の正体についてやミストルティンができる前の人々の生活についてなども触れているが、基本的にはヒロとゼロツーが結ばれるまでを描いた作品だ。
ヒロとゼロツーが出会ってから告白し、愛し合う関係になるまでが1話から15話まである。1組のカップルについて描くにしては少し長めに話数を取っているようにも思えるが、実際は凡長な感じはない。むしろ話数を活かして主人公たちの人間関係の変化などを丁寧に描いていき、主人公たちの心の成長の様子をしっかりと描いているので退屈はしない。
また、このアニメのロボであるフランクスは男女2人1組で動くもので、序盤から既に搭乗時のパートナーとして男女ペアが決められている。基本はパートナー同士で関係が進展していくため、8人もいる割に整理がつきやすく分かりやすい。
思春期における微妙で複雑な感情変化をしっかり丁寧に描きつつ、人物設定をうまく利用して分かりやすくとっつきやすい形に仕上げているのは本作で最も大きく評価できるポイントである。

問題は20話から

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冒頭でこのアニメは賛否両論あると言ったが、実際は15〜17あたりまでの評価はかなり高い。このアニメで問題となっているのは20話からの展開だ。
18話からの流れは、黒幕である地球外生命体ヴィルムの脅威から地球を守るために、叫竜の女王の力を借りてヒロとゼロツーが最終決戦に挑むというものだ。大筋としてはまとまってそうだが、問題はその見せ方にある。
まず、ヴィルムの登場の仕方があまりに突然すぎる。叫竜以外に脅威が他にもいそうなことや、なんとなくパパたちが黒幕っぽいことはちょいちょい仄めかされてるのだが、それが地球外生命体であることが分かることや攻め込んでくるまでの流れがあまりに展開が早すぎるため、観ている側としては結構戸惑う。
演出も不自然だ。ヴィルムの登場とともに文字と効果音でデンと「ヴィルム」という文字が出てくる。今まで叫竜が出てきたとき、女王が出たときもこんな少年マンガみたいな演出はなかったのに突然こんなノリになる。いままでの丁寧な展開が嘘のようだ。ネットではこの展開の速さや演出を「ラガン的」「トリガー的」と称す声も一定数ある。

ラガン的の失敗例

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TRIGGERスタッフの代表作「グレンラガン」、「キルラキル」…。これらの作品に共通するのは目まぐるしいスピードで状況が変わっていく展開の速さである。ネットの「ラガン的」とはこの展開の速さのことを指している。
18話以降のダリフラの展開はこれに近い速さである。しかし、ここがこの作品の大きな失敗点であると自分は思う。
ラガン的展開力は、普通なら視聴者置いてきぼりになる速さだ。しかし、TRIGGER作品でこれが視聴者に受け入れられているのは、1話目から展開が早いからである。そうすることで「この作品はこういうノリですよ、ついてきてくださいね!」と視聴者に訴えかけているのだ。そうして視聴者はラガン的についていくための心の準備が出来るのである。
しかし、ダリフラは違う。途中からこのノリをしてしまった。今までのスローだが丁寧な展開スピードから急に切り替わったことで視聴者は困惑してしまったのである。

最後までラガン的が足枷に

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ラガン的の特徴として、次々に展開が変わるという性質上、舞台が壮大になりやすいという特徴がある。グレンラガンは地下から宇宙へ、キルラキルは学園から宇宙へ舞台が変わり拡がっている。それは本作も同様で、最終的にヒロとゼロツーは銀河の果てまでヴィルムも倒しに行っている。だが、20話から24までで一気に舞台を拡げすぎただけに本作の肝である人間関係の描き方は雑になっている。ヒロとゼロツーが銀河の果てに行ってしまうことをみんなあっさりと認めてしまっているし、最終決戦のときもヒロとゼロツーが銀河の果てで戦っているときに他のみんなは地上で手を繋いで応援するという一体感の無い、盛り上がりに欠ける展開になってしまっている。ラガン的についていけず、舞台だけいたずらに拡がってしまいその他諸々の整理がまるで出来ていない。

中途半端な幕切れ

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エンディングも中途半端だ。めちゃくちゃ個人的な感想だが、ヒロとゼロツーには生きて幸せに暮らしてほしかった。しかし本作はラスボスと相討ちで終わる犠牲エンドである。このラスボスが今までみんなと戦ってきた叫竜ならばまだ飲み込めたかもしれないが、今回の相手は20話で急に出てきたヴィルムである。実に納得がいかない。

ゴール地点を勘違いしている

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このアニメの最大の失敗はゴール地点を勘違いしてしまったことだろう。本作はあくまでロボットアニメである。ロボットアニメであるからには当然敵がいるわけだし、そいつらと何かしらの決着をつけなければならない。しかし、このアニメはゴール地点をヒロとゼロツーが結ばれるところにしてしまった。そこに中途半端にラガン的ノリを出してしまったために結果的に色々消化不良に終わってしまった。ちゃんと決着まで丁寧に描ききっていれば、きっと良作になったと思う。

余談

本作、制作はTRIGGERとA-1Picturesの共同制作のせいか「TRIGGERが介入しなければこんなことにならなかった」という声がごく一部でみられる。個人的にそれは間違いであると思う。
まず、監督の錦織敦史だがこの人はガイナックス出身でグレンラガンのキャラクターデザインを務めている。監督がすでにラガン畑出身の人なのだ。そして、錦織敦史とA-1Picturesだが、この組み合わせはアニメ版アイマスの組み合わせである。要するに、アニメ版アイマスのスタッフと昔の好であるTRIGGERのスタッフが合流した形なのだ。監督がラガン畑出身である以上、この流れは避けられなかったと思う。

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