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Jリベラルでもストがしたい(ストとかデモとかについて)

 

https://twitter.com/memento_moreau/status/1767787832947642717より引用


 デモやスト、ボイコット。
 

これらは単なる手段に過ぎません。


 何の手段かというと、要するに自分の主張を通すための手段です。

 批判精神とかが大事なのは分かりますが、その発露は別にデモやスト、ボイコットである必要はないんですよね。

 Jリベラルの皆様はやたらと特別視しますけど、あれはあくまで手段です。
 選挙とか、議員への陳情とか、買収とか、それと同じです。
 あらゆる手段は目的を達成するために過ぎず、とりたててデモやストに敬意を払う必要はまったくありません。
 

 デモやストがなんらかの主張を通すための手段である以上、主張を通せなければその運動は失敗です。
 つまり必要なのは、

 このデモは目的達成のために有効なのか


 という思考です。

 この世界は選挙とか株主総会のような直接的な多数決の手段を経ずとも、やんわりとした多数決で動いています。
 デモやストで主張を通すために大事なのは、このやんわりとした多数決を制することです。

 要は世間の空気を自分の側に引き寄せること。
 もう少し具体的に言うならば、

 世間の共感を得ること。


 直接デモやストには参加しなくても、言ってることはもっともだな、と思ってもらわないといけない。

 デモやストを仕掛ける相手に対して、デモやストに参加している人の後ろの、その10倍の賛同者がいる、と思わせなければいけない。
 そうでなくては少数の人が見当違いの声を上げているとしか見られない。

 かつて韓国で起こったローソクデモ。
 あれが政治を変え得たのは、デモに参加した人の10倍の賛同者がいると思わせるパワーがあったからですよ。
 だから効果があった。

 逆に言えば、世間の共感を得られないデモやストは目的を達成することは出来ません。

 ブルトーザーデモ!アベ政権打倒!と威勢よくデモしたけど誰の共感も得られなかった。
 だから選挙に負け続け、政権を打倒できなかった。

 

 インボイス制度開始の直前に国会前でデモしてましたけど、インボイスを廃止も変更も出来なかった。
 当たり前ですけど、インボイス施行の3日前とかにデモやってインボイスが変わるわけないでしょ。
 本気でデモで変えたいなら少なくとも1年前には行動しないと。

 ていうか、世間の共感を得られないデモの末路がどうなったのか、これ以上ない先例があるじゃないですか。
 ヘルメットとマスク、ゲバ棒で武装し火炎瓶を投げ、先鋭化した挙句に最後は身内で殺し合ったアレですよ。

 ていうかですね、目的の達成が見込めないデモをしているくせして、その問題について真面目に考えてるというなんて、片腹痛い。
 真剣にその問題を解決しようと思うなら、それに繋がる行動を取るべきでしょうよ。

 映画「リンカーン」の中で、リンカーンと急進的奴隷解放論者スティーブンスが奴隷解放に至るための憲法改正について論争するシーンがあります。

 リンカーンは、スティーブンスに対して「議会で大衆や他の議員をぎくりとさせるようなことを言わないで欲しい」と要請します。
 つまり憲法改正のために必要な票が離れるような過激な主張はしないで欲しいと言ってるわけですね。

 それに対して「奴隷の全てに選挙権を与え、人種の平等を達成する。南軍を壊滅させて奴らの財産を全部奪い取る、その財産で黒人の生活を改善させる」と述べるスティーブンス。
 これ、当時としては相当に過激な見解だったようです。

 それを受けて「その立場であれば、境界州が南軍に合流し北軍は敗れ去り、そうなれば奴隷制が南米にまで広がるのを見ることになった」とリンカーンは言うわけですが。

 その後のリンカーンのセリフを引用しておきます。

 

「コンパスは北を教えてくれるが、目的地との間にある沼や渓谷とかの障害や危険は教えてくれない。
目的地に向けて突進して沼に嵌って結局何処にもたどり着けなかったら、北の方向を知ることに何の意味がある?」


 奴隷解放という目的地に向かうための手法について説いたわけです。
 スティーブンスは「妥協」してリンカーンに協力し、投票では2票差という僅差で憲法は修正され、奴隷解放への道は開かれた。

 まあその後も長い紆余曲折があったのは誰もが知るところですが。
 あの時、スティーブンスが「目的地の向けて突進」していたら、憲法が修正されなかったら、どうなっていたのでしょうね。
 
 もう一つ作中でのセリフ。

 

「今、ここで憲法を修正することにより、いま奴隷でいるものだけでなく、これから生まれてくる数百万人の運命が変わる。
今、その為に血が流されている、今!今!
たった2票が行く手を塞いでいる。この2票を手に入れるしかない」


 結局リンカーンは(明示されていないが)その2票を買収かなにかで獲得して憲法改正にこぎつける。

 スティーブンスはその採決を評して「アメリカで一番美しい法律がアメリカで一番潔癖な男の仕掛けた買収で可決された」と言います。
 買収が良いとは思いませんが、目的を真剣に果たそうとするというのはこういうことでしょ。

 いずれにせよ、デモもストも主張を通す手段であるのですから、うまくいかなければ手段をアップデートしなければいけないわけです。
 いや、アップデートしなくてもいいですけどね……失敗し続けるだけでしょうが。

 僕はアンチリベラルですけど、真に恐るべきリベラルは、この

「手段をアップデートできるリベラル」


 だと思っています。

 つまり、デモやストを絶対視せず、それに負のイメージがついているなら、それを払拭しより多くの人に主張を聞いてもらうことができるようになるのか、試行錯誤が出来るリベラル。

 とはいうものの、恐らくこれをできるリベラルは居ません。
 なぜならば、Jリベラルの思想の根本にあるのは

「自分たちは正しい」


 ですけど、
 この思想は

「正しい自分の言うことが聞かれない場合、聞かないやつが悪い」

 という他責に接続されるからです。

 聞いてもらえるように工夫しようという思考には恐らく至らない。
 だって自分たちは「正しい」んだから。


https://twitter.com/Simon_Sin/status/1767479434658128224より引用)

 デモは迷惑かけて当たり前、という思想って、今の世の中は「正しくない」からそれを「正しく」するための批判しており、その為なんだから迷惑は許容せよ、という思考だと思うんですよね。

 でも、世間のすべてに通用する正しさなんてものはない。
 世間に迷惑だと思わせたら、上記の通り世間の共感は得られないし、そのデモは目的を達成できないわけです。

 正しさ一神ポリコレ教の彼らには此処が理解できない。
 だから彼らのデモは全く効果が無い。

 とはいえ、この手のデモを批判される気持ちは分かる気もします。

 ここまで色々書きましたけど、彼らの「デモ」は信者の結束を固める宗教儀式みたいなものなんですよね。
 デモと称していますが自分たちの主張を通すためのものではない。
 寺院とかでみんなで祈りをささげるようなもんで、民主主義とも批判精神とも関係ないです。

 だからデモに批判的なこと言われると激高するんでしょうね。
 大切な儀式をバカにされてるわけだから怒るのもまあ分かる。

 しかしJリベラルさん。
 彼らからすれば今の世の中は「正しくない」のでその中で生きるストレスは大きいでしょうね。

 しかも、自己評価は「自分は正しくて、正しい真理を世間に説く教導というか教師ポジションとして尊敬されてしかるべき」という感じなのに、高慢ちきな態度と独善で敬遠されて選挙でも負け続けてるの、ホント可哀そう。

 その反動でSNSで周りを愚民ネトウヨツボツボとか見下してますます負けが込むのもかわいそう。 
 人を奴隷だのと呼ばわる人が好かれたり尊敬されたりするはずないでしょ。

 ともあれ強く生きてほしい。


 



 


 

 
 

 


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