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SaaSなどの事例記事はプレスリリースで配信するとさらに効果的、という話。

これまでBtoBマーケティングの戦略の立て方から、人員配置のコツ、そして問い合わせを増やすためのウェブサイト改善など施策全般について書いてきました。

「BtoBマーケティングの教科書」というマガジンにまとめていますのでよかったらご覧ください。

今回はBtoBマーケティングという観点では意外と知られていない、「プレスリリースの有効活用」について解説します。

まずBtoBマーケティングには「事例」が必須

たとえばSaaSプロダクトを提供している会社の場合、「導入事例」を取材し、記事化することはもはや必須のコンテンツ施策です。

日本の会社の場合、「自分たちが一番最初に契約したい」と思っているところって、すごく少ないんです。だいたいが「似たような事例があれば検討したい」という感じです。

そして以前、ウェブサイト改善の記事でも書きましたが、「70%の人は商談をする前からどこで買うかを決めている」わけです。

となると、商談相手にはあらかじめ良い事例コンテンツを見せておく必要があります。

たとえば、一番わかりやすい例でいうと、ベルフェイスさんです。

ベルフェイスはもともと業界を問わず利用できるオンライン営業ツールを提供していましたが、ここ最近、金融業界向けのツールにピボットしました。

その理由はコロナです。コロナ禍においてZoomやGoogle Meetなどの低価格のツールが広く使われるようになり、ベルフェイスの解約が増えていったことが要因ですね。一気にGAFAみたいなところと戦わなければいけない苦しい状況になりました。

そこでベルフェイスはそれまで金融業界の方々の中にあった、「セキュリティ的にZoomやGoogleが使えない」という問題に目をつけて、金融業界に特化したプロダクトにシフトしました。

ではその後、どうやって業界でシェアを伸ばしていったのか。

金融業界はわりと古い業界で、かつ、保守的な業界なので、事例コンテンツを手厚く増やしていきました。事例が増えるたびに事例記事をつくり、さらにプレスリリースという形で細かく配信していったのです。

そうすると、たとえば三井住友銀行の導入事例を出した直後にUFJ銀行から問い合わせがある、みたいなことがどんどん起きてくる。

競合はちゃんと相手の会社の動きを見ています。ベルフェイスはそういう事例の連鎖で顧客を拡大していきました。

事例はプレスリリースでこまめに配信するといい

BtoBのプロダクトにおいては、古い業界ほど競合がやっていることに敏感で、響きやすいです。彼らは競合企業に関するプレスリリースまで少なからずチェックしています。

1つ事例が出ると、競合他社は「あの会社はどんなことをやっているんだろう」と調べて、念のため問い合わせをするということもよくあります。

プレスリリース内に「資料請求」などのコンバージョンポイントをちゃんと用意しておけば、「問い合わせをするほどではないけれど、まずは資料だけダウンロードしてみようかな」みたいなニーズにも対応できます。

みなさんも経験があるかもしれないですが、買うつもりはなかったけれど、人から説明されたら、「思ったよりも良いな…」と買う気になった、みたいなことってないですか?

BtoBのプロダクトでもそういうことって結構あります。

たとえば他社の事例記事とプレスリリースを見て、「一応、問い合わせただけ」という方であったとしても、資料を見たことによって、1回話を聞いてみようかなという考えになることもよくあります。

プレスリリースの目的としては、もちろん新聞やテレビ、その他のメディアに取り上げられることが第一にあると思います。ただし、それだけではありません。

ウェブにおけるリード獲得においては、事例記事を効果的に届けるため、特に「既存の導入先の競合企業」にちゃんと刺さるために、プレスリリースはとても有効といえます。

プレスリリースのSEO効果も無視できない

もうひとつ、僕がプレスリリースを活用する理由があります。それは「SEO対策」です。

たとえば、Googleで「ソーシャルセリング」と検索すると、一番上にうちの会社のホームページが出てきますが、さらに下のほうには弊社のプレスリリースもたくさんヒットしています。

PR TIMESに載せたプレスリリースがちゃんとGoogleにインデックスされて上に来ているわけですね。

Googleの検索結果の1ページ目にうちのホームページが2つ出ていて、かつ、PR TIMESの記事もあるので、しっかりと露出できています。

実際のプレスリリースはこちらです。


また、プレスリリースがメディアに取り上げられるかどうかは運の要素も大きいですし、コントロールできないですが、出し方によってはある程度のみ込みは立てられます。

PR TIMESに載せたプレスリリースはメディアにそのまま転載されることもあるのです。

読売新聞をはじめとした新聞社や大手のウェブメディアにもPR TIMESの転載を受け入れているところがあるので、メディアに載った記事という体裁で事例を届けたり、検索結果に露出させたりできます。

それらの転載記事は必ずしも検索結果の上位に表示されるわけではありませんが、検索結果を数ページくらい進んでいくと出てくるので無視できない存在ではあります。

マーケティングと広報のチーム連携が大事に

プレスリリースは上手に使うと、業界内に事例記事を効率的に届けることができますし、「転載記事」という形式で記事化されて検索結果にもしっかりと表示されます。

これらは広報部門が作成・発信する本来的な意味のプレスリリースとは異なるものだと思います。

おそらく事業会社の広報サイドにはこのようなBtoBマーケティング視点でプレスリリースを捉えている方は少ないはずなので、そこは協力関係を築いていきましょう。

マーケティング部門からの要請で広報チームにプレスリリースをつくってもらったり、あるいはスタートアップの場合、広報チームとマーケティングチームが一緒になっているケースもありますね。

もちろんプレスリリースを打つのも無料ではありません。配信には1回3万円の費用がかかります。

もともと費用対効果がわかりづらいとも言われていますが、それくらいの費用で潜在顧客の目に触れられるのであれば、僕はむしろBtoBマーケティング施策のなかでは効率が良いほうだと思っています。

たとえば、もっと多くのお金をかけて、SEO目的でとにかく大量の記事をクラウドソーシングをつかって作成するケースもあるでしょう。何もなかったところからページが増えていくので、トラフィック自体は増えますね。

ただし、そこから問い合わせにつながるかどうかは別問題ですし、それをやっている担当者のモチベーションが低いと、記事がおもしろくならないという問題も出てきます。

そうならないためにも、事例コンテンツをつくる場合は、どうやって広めていくか、どうやってターゲットにリーチさせるかという事前の設計が重要になります。

その点においてプレスリリースの活用は一定の価値があるでしょう。


次回も引き続き、「BtoBマーケティングの教科書シリーズ」を更新していきます。よかったらnoteをフォローしてお待ちください。

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