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「わくわく感が魅力」ガチャガチャ専門店に聞く

縦にうずたかく積まれたマシーンと両替機が並ぶ、ガチャガチャコーナー。ここ数年、駅やショッピングモールでよく見かけるようになった。私が通学で使う泉北高速鉄道の終着駅・和泉中央駅(大阪府和泉市)にはガチャガチャ専門店「カプセルポップ」(写真)がある。改札を出てすぐ目の前にあるため、学校や職場帰りに立ち寄る利用者が多い。かくいう私自身もよく利用し、なじみがある。カプセルポップの店長を務める伊牟田佑香(いむた・ゆか)さんに話を聞いた。【2年・吉田真彩】

2022年元日にオープンした当初は無人営業だったカプセルポップ。駅の改装工事に伴い、駅側から「有人営業に切り替えてほしい」という要望があった。責任者として店長に抜擢されたのが伊牟田さんだ。有限会社トミヤが運営するガチャガチャコーナーを1日に5店舗ほど回り、カプセルの補充やマシーンの調整をしていた。元々、ガチャガチャが大好きというわけではない。業務内容に興味を持ったことがきっかけで始めた仕事だった。

カプセルポップのガチャガチャは、全て伊牟田さんが仕入れている。どのようにして仕入れているのか。

「仕入れで一番気を使うのは、売れ残りを出さないこと。売れ残らないように、どのガチャガチャも1袋しか買わないようにしています。毎月900種類近いガチャガチャが新しく発売され、そこから人気のありそうなものを厳選します。今はやっている「ちいかわ」や「おぱんちゅうさぎ」など、人気のシリーズは他の商品より多めに入荷しています。それでもすぐに売り切れてしまうことがあるので、どこまで多く注文するか考えるのがとても難しいです。実は、ガチャガチャは発注してから届くまでに3ヶ月かかります。今は人気でも、3ヶ月後はどうなっているかも考える必要があるんです。アニメや漫画など、流行のリサーチは欠かせません」

他にも、お菓子や飲み物のミニチュアキーホルダーが人気だ。有名企業が続々と出す新商品に目を光らせている。

カプセルポップの店内を見ると、商品をアピールするポップがあちこちに展示されていることに気づく。文章だけのものやイラスト付きなど種類は様々だ。これらは全て、アルバイトの店員が手描きしている。「手描きの方が人に見てもらえるから、印刷はしないでと言っているんです。みんな絵がうまくて助かっています」。他にも、実際の商品を見本として展示しているスペースがある。実物を目で見てもらうことで、お客さんの購買意欲を高める効果が期待できるという。展示スペースは駅の通路に面し、ガラス張りになっているため、店の外からも見ることができる。「こんなガチャガチャあるんだ。入ってみようかな」というきっかけにもなる。

カプセルポップでガチャガチャを回したお客さんにも取材した。学生が多く、男女比に大きな差はなかった。平日は夕方から夜にかけての時間帯が賑わっている。やはり帰り際に立ち寄るという声が多かった。休日は朝から夕方まで、まんべんなく人がいるようだ。

▽男子大学生(ふちやすみにゃんこ2 200円)
コンプリートを目指して。お目当ての「あめしょ」を狙うが、「はちちゃ」が3回連続で当たった。大学の帰りによく立ち寄る。お気に入りのガチャガチャはメロンパンのスクイーズ。

▽女子大学生(たまごっちミニチュアチャームコレクション2 300円)
近くを通ったら、つい立ち寄ってしまう。実際に回すのは月に1回ほどで、予算は500円。たまごっちのキーホルダーを持っている人を見かけて、かわいかったので自分もほしくなった。カプセルを開けて、「どれが当たっても良かったんですけど、よりによってコレかと思ってしまいました」と笑いながらもう一度同じガチャガチャを回していた。

▽女子大学生(とっっってもやわら牡蠣 200円)
通りかかったところ、牡蠣のぬいぐるみに一目ぼれ。「まがき むんっ!」を狙っていたが、「まがき ぽっ♡」が当たった。「これはこれでかわいい」と笑顔。普段は見るだけで帰ることが多く、あまりお金を使わない。今回の牡蠣はレア(生牡蠣ではない)。最近は400円のものが多いため、200円のものだと財布のひもが緩む。大きなガチャコーナーがあれば立ち寄るようにしている。

インタビューの最後、伊牟田さんにガチャガチャの魅力を教えてもらった。「人によって違う楽しみ方ができるけど、やはり一番は何が出るか分からないというわくわく感。これを年代問わず楽しむことができるのが良いところだと思う」