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スシローペロペロ事件から考えるZ世代の流行り病

 彗星のごとくネット上に投稿された、スシローにおける客テロ(ペロペロ事件)動画が世間を騒がせ、強烈なインパクトを残した。その後も模倣的な動画が次々と投稿され、最近の若者(Z世代)の心証を害した。失われた30年の中で育ち、上の世代とは異なる新たな価値観を持つZ世代。なぜ彼らはペロペロしてしまったのか。彼らを取り巻く現代の環境を紐解きながら、彼らのもつ価値観の考察を試みる。


1.Z世代とは

 1990年代中間から2010年代前半に生まれた世代ではあるが、カナダ統計局の場合には1993年生まれ以降を[3]、アメリカ心理学会の場合には1997年生まれ以降を指すなど[4]、定義は厳密に決められているわけではない(何年生まれまでを指すかについても、2010年頃とされる場合や2010年代序盤から中盤とされる場合もあり流動的である)[5]。

日本においては概ね1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災後から2011年(平成23年)の東日本大震災までに生まれた世代に相当する。主に2010年代から2020年代に掛けて社会に進出する世代となる。大半がX世代(日本ではバブル世代・団塊ジュニアに相当)の子供世代に当たる。

生まれた時点でインターネットが利用可能であったという意味でのデジタルネイティブ世代としては最初の世代となる[6][7]。デジタル機器やインターネットが生まれた時から当たり前のように存在し[6][7]、ウェブを日常風景の一部として感じ取り、利用している世代である。

また、パソコンよりもスマートフォンを日常的に使いこなし、生活の一部となっている「スマホ世代 (iGen)」でもある[8]。さらに、ビデオ通話サービスのZoomを多用することから「Zoomers(ズーマーズ)」とも呼ばれる[9]。成長期にWeb 2.0を当たり前のように享受し、情報発信力に長けているため、当該世代からは数多くのインフルエンサーが登場している。

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2.Z世代の特徴

 ミレニアル世代(Y世代)よりもさらに周囲のIT環境が進展しており、幼少期から“デジタルデバイス(機器)やインターネット、SNS含むソーシャルメディアの存在を前提とした生活”をしているデジタルネイティブ(ネットネイティブ、あるいはソーシャルネイティブ)世代である[13]。生まれた時からインターネットに接続するための基本的な端末であるパソコンや携帯電話が既に存在しており、インターネットを利用し始めた頃にはADSLやCATVなどブロードバンドによる常時接続環境、SNS含むWeb 2.0、さらにスマートフォンが普及し、個人の情報発信が身近となっていた[6][7]。

2020年に始まった新型コロナウイルス (COVID-19) のパンデミックの影響で、義務教育と高等教育の両方で、全社会的に実施された遠隔教育(オンライン授業)を受ける最初の世代となった[14]。

2020年時点で世界人口の約3分の1を占めており[15]、割合はミレニアル世代を上回る。少子高齢化が世界で最も進んだ日本においては、Z世代を2020年6月時点での10歳〜24歳(概ね1995年(平成7年)4月2日〜2011年(平成23年)4月1日生まれの世代に相当)と定義した場合、それに当たる人口は1752万人であり、総人口の7分の1弱と少なく、約13.9%となる[16]。

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3.Z世代を表す3つのキーワード

1.タイムパフォーマンス
 コト消費が当たり前になっている、Z世代の可処分時間を飽和するコンテンツ同士が奪い合い、使った時間で得られる成果の効率性を表す「タイムパフォーマンス」なる言葉まで生まれている。

2.SNS
 またテレビを見ない彼らが、娯楽として代わりに多用しているのがSNSである。代表的なものとしてYouTubeやTikTok、Instagram、Twitterなどである。日々新しい投稿で更新され、コンテンツであふれている。

3.インフルエンサー
 各種SNSで話題のトップランナーとなりトレンドを作るインフルエンサー。Z世代の興味を引き、彼らが面白いと思うコンテンツを配信する憧れ的存在。若齢でそこまでお金を持っていないZ世代に対して、インフルエンサーとして築いた潤沢なリソース(人・もの・金など)を用いて、Z世代がまず体験できないことを企画することで、目新しいコンテンツを提供している節がある。



4.3つのキーワードから見えてくるZ世代の流行り病

 3つのキーワードから見えてくるのは、Z世代が「飽和したコンテンツの中から、時間をかけずにタイムパフォーマンス良く、目新しいコンテンツを消費したい病」にかかっているということである。つまり「即時的に得られる目新しさ」こそがZ世代が求めている面白さなのである。
 
しかし、憧れるインフルエンサーのように潤沢なリソースを使って、Z世代である彼ら自身が同じように目新しい面白さを提供することは難しい。なのでそんな彼らは、法や倫理観の一歩外に踏み出すことで、「即時的に得られる目新しいコンテンツ」を世間に提供したのである。超えてはいけない一線を越えることで、即時的に目新しいコンテンツを生み出したことは、大変おそまつな行動だったと言わざるを得ない。


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