和歌山大学教育学部生の実態調査


学生団体Teacher Aide和歌山支部(和歌山大学教育学部71期)今村 脩人

 調査概要
 ①調査期間:2020年3月8日(日)~2020年3月23日(月)
 ②対象:和歌山大学教育学部70期・71期(回答者90名、うち有効回答89)
 ③実行者:学生団体Teacher Aide和歌山支部
 ④内容:教育学部生の教育現場に対して思っていることなどを調査する。
 ⑤方法:Googleフォームを使用。

質問A:入学時と現在での教員になることについての考えを聞いた。
<選択肢と結果>
①入学時も今も教員を目指している。→48.3%
②入学時は教員を目指していたが、今は目指していない。(迷っている)→31.4%
③入学時は教員を目指していなかったが、今は目指している。(迷っている)→7.9%
④入学時も今も教員を目指していない。→12.4%

質問B:Aの回答で①を選んだ学生のみに、教員を目指すにあたって不安なことを聞いた。
<選択肢と結果>
①労働環境→25人
②大学の課程での実習→9人
③その他→9人

質問C:Aの回答で②を選んだ学生のみに、なぜ教員を目指さなくなった(迷っている)のかを聞いた。
<選択肢と回答>
①労働環境が悪すぎるから→14人
②単純に興味が無くなったから→3人
③他にやりたいことが見つかったから→7人
④その他→4人

質問D:Aの回答で③を選んだ学生のみに、なぜ教員を目指すようになった(迷っている)のかを聞いた。
<選択肢と回答>
①大学の講義で魅力を感じたから→1名
②子どもと触れ合ううちに魅力を感じたから→3名
③その他→3名

質問E:Aの回答で④を選んだ学生のみに、なぜ教育学部に入学したのかを聞いた。
①学力的にちょうどよかったから→5人
②特に将来やりたいことが無いから→0人
③5教科以外の専攻で学びたい学問の専攻があったから→6人

<考察・意見>教員養成課程への提言


・存在意義を問い直す。~教員免許教習所からの脱却~
質問Aの回答で衝撃だったことは、入学時は教員を目指していたのに今はそれをやめてしまった(やめようかと悩んでいる)学生が30%以上もいるということである。そしてその理由の半数以上は労働環境であった。
このことから分かるのは、学生が労働環境の改善を諦めてしまっていることである。もはや、自分たちが変えようという主体性を失ってしまっている。
これは大学の講義も原因の一つだと考えている。これは私自身が講義を受け感じたことだが、現状の批判ばかりを並べる講義や、教育の問題点についてただ語るだけの講義が多かった。前者は論外であるが、後者については、改善の余地はある。それは、対話を増やすということである。これについては、「1回生は知識を入れる時期、上回生になってから対話をするべきだ。」という意見が予想されるが、これは当てはまらない。なぜならば、講義型授業は上回生になる前に学生から主体性を奪い取ってしまっているからである。
“単位を取って卒業すれば教員免許を取ることが出来る”教員養成課程ではなくて、しっかりと教育の本質を学び、考えることが出来る教員養成課程に変わらなければならないと考えている。

・主体性の構築~教員志望の学生で学び合いの場を作る~
 教育に興味を持っている学生は、何か自分の過去にあった出来事がきっかけになっていることが多い。つまり、教育に関する事柄について、興味を持っている分野が違う。各々がその自分の興味のある分野について語りあうことが出来れば、自分の漠然としていた考えもまとめることができ、他者の意見等から新たな視点を得ることができる。
 その点において、講義等で与えられた課題について議論するよりもより主体性の構築に効果があると考える。

・専門系の専攻(美術・音楽・体育・特別支援・心理学など)を売りにする
 この点については指摘している人もいるが、今回の調査でその効果のある可能性を示すことが出来たと考える。質問Aで④(入学時も今も教員を目指していない。)と答えた学生11名のうち、6名は専門系の専攻を目当てに入学したことが分かった。
 質問Eで③を選んだ学生は大学を出てからどんな職業に就こうと思っているのかは今後聞いていきたいと思う。

・まとめ
今回の調査から浮かびあがってくる課題は、以下の通り。
①労働環境について知る・考える場を設けなければならない。
②実習・ボランティアなどで、子どもと触れ合う機会を増やすとよい。
この2点を踏まえ今後の活動について検討していきたいと考える。