休職151日目 一九八四年

何となく本棚に並ぶ本をぼんやり眺めていて、ふと、ジョージ・オーウェルの「一九八四年」を手に取った。

「ビッグ・ブラザー」率いる党が支配する全体主義的近未来が舞台のSF小説。主人公のウィンストンは心理省記録係に勤務する党員で、歴史の改竄が主な仕事。彼は以前から完璧な屈従を強いる体制に不満を抱いていた。そんなある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に興味を示すようになるが、それが彼の人生を大きく変えていく。

作中にとても印象的な台詞があるので、引用する。

主人公のウィンストンが党に捕まって延々と拷問を受けるくだり。拷問する側のオブライエンの台詞。

「(前略)われわれはとても引き返せないほど徹底的に君を叩き潰すことになる。これから君は、たとえ千年生きたところで元に戻ることが不可能な経験をするだろう。普通の人間としての感情を二度と持てなくなるだろう。君の心のなかのすべてが死んでしまう。愛も友情も生きる喜びも笑いも興味も勇気も誠実も、すべてが君の手の届かないものになる。君はうつろな人間になるのだ。われわれはすべてを絞り出して君を空っぽにする。それからわれわれ自身を空っぽになった君にたっぷり注ぎこむのだ」


何度読んでも恐ろしくなる。
今、自分が置かれている状況がここに書かれているような事にならない保証はどこにもないからだ。怖い。

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