見出し画像

原田マハさんの『生きる僕ら』

昨日、原田マハさんの「生きる僕ら」を読み終えました。
2回目だったのですが、それでも涙が止まりませんでした。
なぜそんなに涙が出たのか、うまく言葉で表せませんが、たくさんの想いがあって、それが体に浸透してきて涙が出る感じ。 

「生きる僕ら」では、引きこもりになった青年が“自然の田んぼ”で稲作をする中でいろんな人と出会い、いろんな経験をして成長していく物語なのですが、その“自然の田んぼ”の稲作法が、子育てとリンクする。

土の中の虫や微生物達に土を柔らかくしてもらうために土は耕さず、田植後は、稲が成長するための養分をとってしまう夏の雑草だけ取り除き、夏に枯れてしまう雑草は枯れた後に土の養分になるのでそのままにしておく。なのでもちろん、肥料や農薬等の化学成分は使用しない。

稲の成長を妨げるものだけを取り除いて、ありのままの自然な環境で、稲が育つ力を信じて見守る。
こうやって書くと簡単な作業のようですが、実際には、取り除く雑草を見分けるのも見つけるのも大変なようです。耕さない土で田植えをするのも一苦労。耕して、農薬や肥料を使えば作業の負担は減るけれど、あえてそれをしない。だからこそ毎日しっかり見守ることが重要。そしてひたすら稲が育つ力を信じて待つ。

子育てもそうなんだと思いました。
子どもが育つ力を信じて、しっかり見守り、成長を妨げる要素だけ取り除いて、待つ。
効率よく育つように、早く育つようにと、あれやこれや農薬やら肥料やら与えちゃうと、普通のお米はできるけど、本来稲が持っていた力が発揮された美味しい、個性的なお米にはならない。

子育てに悩んでいる方には是非読んでほしい一冊です。

#児童精神科医 #子育て #母 #生きる僕ら  


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?