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膝関節伸展制限因子9選 理学療法

~コラム編~

膝関節伸展制限因子
鵞足、伏在神経
・半月板、MCL
・半膜様筋、腓腹筋内側頭
・大腿二頭筋とLCL
・大腿二頭筋短頭と腓腹筋外側頭
・大腿二頭筋と関節包、腸脛靭帯
・坐骨神経、脛骨神経、総腓骨神経
・上内側膝神経、下内側膝神経
・膝伸展機構

数ある膝関節伸展制限因子の中から9つピックアップして記事にしていきます
今月は鵞足、伏在神経に着目したいと思います

鵞足、伏在神経

縫工筋、薄筋、半腱様筋が鵞足を形成します
また半膜様筋も深鵞足と呼ばれます
鵞足や半膜様筋が遠位に伸張することができないとヒンジになってしまい膝を伸ばすことができません


鵞足腱は膝をまたいで脛骨(下腿筋膜)に付着するため膝伸展に抵抗します
そのため、足を背屈すると顕著に制限されたり痛みを訴えたりすることもあります
鵞足のトリガーテストの際に足関節背屈をするとさらにテストの精度が良くなります
余談ですが、足底腱膜炎の場合に鵞足の問題も影響するため股関節内外転で足部の可動域が変わるかを評価すると良いと思います


鵞足部の解剖
簡単にですが深層から
MCL(POL)→半膜様筋→MCL(AOL)→伏在神経→鵞足包→縫工筋→薄筋→半腱様筋
と覚えると良いかと思います

鵞足炎で半腱様筋腱は臨床上少ない印象です
理由は他の鵞足筋と走行が異なるためです
膝伸展時にスナッピング現象(摩擦音)が起こることもありますが半膜様筋腱が多く、走行的に後方を通る半腱様筋は考えられにくいです
実際には半腱様筋は図よりもさらに後方に位置すると言われているため摩擦が起こることがないと言われています

薄筋に関して、トリガーテストで引っ掛かる場合や薄筋単体に介入しても治らない場合は深鵞足(半膜様筋)との滑走を求めると良い印象です



伏在神経は縫工筋の下を通り、膝周囲で縫工筋と薄筋間から出ます
深さはMCLの表層に位置します
そのため、トリガーテストで伏在神経疼痛が誘発されることもあります

伏在神経はMCLと鵞足の間を走行するため、MCLと鵞足の滑走がよくならないと伏在神経由来の疼痛はとれません
また滑走が求められる部分になるのでそこには滑液包(鵞足包)が存在します
そこに炎症が起こると鵞足包炎になります
伏在神経はハンター管、広筋内転筋板部も大切になりますがこちらは後日記事にします

上記の理由から鵞足と伏在神経は密接な関係になります

〜以上、月末理学療法士/そう でした〜
こちらのコンテンツは「巨人の肩の上」という言葉があるように、文献なども参考に臨床経験(失敗体験を含む)も交えて発信しています
またメディカルに完璧な正解はないとひしひし感じます
そのため、あくまでも自身の治療の〝引き出しの一つ〟にして頂けると幸いです

参考文献、書籍

Donald A.Neumann(原著者)PaulD.Andrew 有馬慶美 日高正巳(監訳者)筋骨格系のキネシオロジー2018

大川裕行etc(著) 運動療法学テキスト2015

Ricard L.Drake etc(編集)グレイ解剖学2007

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