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Soft Rock Top 70位~61位


70位 Bob Swanson & The Bee Jays「Will You Be There」1966年

60'sのレトロ感ジャケが堪らん!!

 Bob Swanson(本名:Robert Emil Swanson)は、米国の広告事業に革命を起こした実業家兼ミュージシャン。社名に自身の名を冠した【Robert Swanson Productions】の創設者であり、1952年から1978年に掛けて総計5,000曲を超える販促用ジングルを作曲した《The Jingle King》としても知られております。彼は幼少期に2学年を飛び級する程の天才児で、スポーツもボクシングや水泳チームのキャプテンを務め上げたり、他にも芸術から料理まで何でも 卒無くこなす万能型だったそうです。音楽の分野においては作編曲家以外でも、バスフィドル・サックス・トロンボーン・トランペット・ギター・キーボード等々、多くの楽器を器用にこなし、しかもほぼ独学での習得。そんな多くの才能に恵まれた正にスーパー・マルチ・プレイヤーのBob氏は、「The Bee-jays」成るJazz Bandを従えてクラブ・ミュージシャンとして活動しておりました。
 そんなある日、息子Garyに「何故若者向けのレコードを作らないのか?」と問われ、その期待に応えるべくして制作されたアルバムが『Live Every Minute!』。元々のジャズ・プレイヤーが、当時のトレンドであるポピュラー・サウンドを取り入れたら、極上のJazz系Soft Rock作品が誕生した!!という訳なのですが、前述した通り最強オール・ラウンダーBob氏が本気を出したら悪かろうハズはなく、全Soft Rockファンにお薦めしたい必聴の名盤にな っております。

白黒盤もあるよ!!

 1966年にRSP Recordsというマイナー・レーベルからリリースされた『Live Every Minute!』は、全12曲中8曲がBob氏書下ろしのオリジナル。Garyの為なのか?御愛嬌的に4曲のカ バー・ソングを収録しており、Burt Bacharach「Don't Go Breaking My Heart」・シナトラで 大ヒットしたJazzスタンダード「Here's That Rainy Day」・Tony Hatch「Call Me」・Tony Macaulayに次ぐ英国最強作曲コンビCook-Greenawayの名曲「You've Got Your Troubles」と、Soft Rockファンなら唸らずにはいられない素晴らしい選曲センスに期待が膨らみます。
 実際蓋を開けてみると、オリジナル作品が特に秀逸で、鬼レベルに魅力的なメロディがこれでもかと詰め込まれた楽曲群に只々圧倒されます。その中でも極め付けとも言える最強トラックが「Will You Be There」。間髪入れずに濃厚Jazzコーラスから始まるイントロだけで、大器の片鱗を感じさせます。その後、直ぐ様メインのサビに入るのですが、冒頭に最もキャッチーなフックを魅せるのは、Soft Rockファンお馴染みTony Macaulayが得意とする作曲スタイ ル。そこから展開していく哀愁系の胸キュン・メロディは特に傑出しており、後世に残しておきたい程の大名曲に仕上がっています。

69位 Ambassador College Band & New World Singers「Commencement」1975年

ジャケもタイトルも実に仰々しい…

 米国テキサス州アップシャー郡に位置する4年制のリベラルアーツ系大学 Ambassador College。70年代中期頃に学内で結成されたAmbassador College Bandと同学内の聖歌隊New World Singersがタッグを組み、米国内のツアーを実施。そのツアー中に熱心なファンから要望を受け、アルバム制作に踏み切ることになります。1974年発表のデヴュー作『Spread Some Sunshine』が、自主制作盤にも関わらずいきなり8000部も売れるという異例の好セールスを記録。追加公演で行った米東部縦断ツアーでも同様に大きな反響を呼び、2nd Album『Look The World In The Eye』制作することに。結局彼らは最終的に全3枚のアルバムをリリースすることになります。フロアを沸かすFree Soul系大名曲「Smile Upon Your Brother」が収録されていることでDJ界隈に人気な1st Album。演奏・楽曲・聖歌隊の質が向上し、洗練されたサウンドが楽しめる2nd Album。当時の副校長Ronald Kellyが絶賛謝辞を残したゴスペル系の3rd Album。どの作品も異なった魅力があるのでCCM系Soft Rockサウンドがお好きな方は全入手必須になっております。
 69位にランクインした「Commencement」は2nd Albumに収録された楽曲。清涼系の研ぎ澄まされた男女掛け合いコーラスが最高にスタイリッシュで心地良いです。シャッフル・ビートながらもシャープな質感もあり,
Dominic Frontiere『On Any Sunday』を彷彿させるサウンド・メイクが好感触。

68位 The Joyous Celebration 「All Things」1977年

これ程爽快なサウンド聴いたら、駆け出したくなるのも頷ける

 1969年に米国ワシントン州シアトルのルーテル聖書教会で結成された CCM系グループ「The Joyous Celebration」。定冠詞「The」が付かない南アフリカの大所帯系ゴスペル・グ ループ「Joyous Celebration」とは全く関わりの無い同名異グループ。「The Joyous Celebration」は、キリスト教を信仰する信者同士の個人的な交流や若年学生同士のコミュニティ作りを主な結成名目としており、米国全土の教会や大学のキャンパスを巡る音楽活動はあくまで布教活動の一環に過ぎないとのこと。米国全土に渡る布教キャンペーンが済むと、ハワイ・極東・日本まで海外遠征を行うアグレッシブな活動ぶり。しかも記念すべき1st Albumはツアー中の我が国日本でレコーディングされたらしいです。

裏ジャケに写るレコーディング風景

 結成初期はFolk・Country・Gospel要素が入り混じる田舎臭いサウンドでしたが、試行錯誤しながら年々サウンド変換を繰り返し、時代のトレンドを意識したポピュラー系カバー・ソングやメンバーによるオリジナル楽曲も増え、最終的には多様なサウンドが交錯したミクスチュア・スタイルが彼らの完成系として落ち着くことに。スタジオ・アルバム実質最終作とされる『No Substitute』では、音楽は副次的な物と謳っている割には随分と強い意気込みを感じる意欲作で、歌詞こそジーザスですがSoft Rock・AOR・Light Mellow・Free Soul等の複数ジャンルが入り混じるサウンドを展開。アルバム・コンセプト的にやや粗雑で纏まりに欠ける印象は拭えませんが、その反面勢いに任せたアグレッシブさやCross Overなサウンド・メイクが逆に功を奏している側面もあり、若干のイナタさと垢抜け感が良い塩梅を保っています。モロFree Soulな絶品ミディアムMellow「So Praise The Lord」や爽快感 Maxの洗練系Light Mellow「Without Him」等が特に素晴らしく、ハイ・レコメンド。
 Soft Rockファンの方にはキャッチーなメロディと高揚感溢れるGroove感が絶妙にブレンドされた極上Kids Soft Rockな「All Things」をお薦め。特に重厚系男女混成コーラスは、Soft Rockファンをアピールするには十分過ぎる程に迫力満点。

67位 The Pastor Brothers「Don't Leave Me Baby」

Drum & Bassのリズム隊がエグ過ぎ!!

 ジャズ畑の歌手兼テナー・サックス奏者兼バンド・リーダーである伊系米国人Tony Pastor。Guy・John・Tony Jr.の息子三人から成るPastorsは、1973年にSoul系レーベル《Alithia》から唯一作『S.T.』をリリース。最強ライター・コンビRoger Nichols & Paul Williams「Someday Man」のカバーや The Drifter直系の名曲「Solitude」を収録する等、Soft Rockファンに大変人気な上、Vanda系+江村氏監修のSoft Rock本で度々取り上げられているので、ファンで無くとも皆さんもよく御存知のことでしょう。

Soft Rock初心者向け傑作盤73年作『S.T.』

 父亡きPastors期にはややSoul寄りで柔和なサウンド傾向に有り、兄弟だからこそ生み出せる息の合った重厚コーラスを武器にしておりました。そんな彼らが【The Pastor Brothers】と名乗っていた時期(年代不詳)にリリースした唯一の傑作シングルが「Don't Leave Me Baby(Harry Nilsson 作)」。
 ブラス・アンサンブルをふんだんに使用したファンキー・ジャズなサウンドは、クレジットこそ無いが父親が影で糸を引いている可能性大。この力強くも豪華なブラスセクションに対して、濃厚コーラスで対抗するPastor兄弟。そのぶつかり合いが最高にファンキーで痺れます。特に間奏で魅せるパパパ・コーラスは圧巻!!DJ 界隈で人気が高いのも頷けるパンチの効いたKiller Track!!!

66位 Jamie Redfern「Good Morning Starshine」1971年

豪州産ボーイ・ソプラノと言えばJamie君!!

 Vanda誌やWeb版Organ Bar『Premium Cuts』で取り上げられ、国内でも割と知名度の高いJamie Redfern。彼は歌手兼テレビ司会者として成功を収めた英国生まれの豪州人で、ファミリー向けタレント発掘番組【The Young Talent Team】の初代レギュラー・メンバーの一人でもあります。この初代メンバーにはSally Boyden・Debra Byrne・Tina Arena・Dannii Minogue…等々、錚々たるメンバーが名を連ねておりますが、その中でも圧倒的な歌唱力で注目を浴び、アルバム制作・米国ツアーの参加をすることになります。 
 彼は数々の高水準な名盤を発表した大型OZレーベル《Festival Records》から、71年・72年・74年とオリジナルSolo Albumを計3枚リリースします。1st Albumと2nd Albumは、番組内で披露していたカバー・ソングが収録されており特に人気が高いです。当時若干14歳でのパフォーマンス映像がYou-Tubeに上がっておりますが、迫力ある歌唱・ビブラートの美しさ・表現力の高さ・抜群のピッチコントロール…あまりの凄さに感嘆の溜息が漏れてしまいます。
 個人的にお薦めしたいのはOliverの代名詞的ヒット・ソングであり、ミュージカル《Hair》の代表曲の一つでもある「Good Morning Starshine」のカバー。ジャジーな演奏をバックに、 個性的な節回しでポップに歌い上げています。高音部も余裕たっぷりで、破壊力満点の歌唱は聴いていてとても気持ちが良いです!! 天晴!!!

65位 Oak Island Treasury Department「The House With The Mandarin Doorway」1972年

財務省印刷局により発行された切手型ジャケ!!で合ってる?

 鈴木雅尭氏監修『Record Hour』の丸ジャケ特集での掲載やレア盤を扱うレコ店等、各所で取り上げられたことでカナダ産Soft Rockファンでなくても御存知の方は多いはず。長ったらしく、堅苦しいグループ名(和訳『オーク島の財務省』)な上に、購買意欲を全くそそられないジャケット・デザイン。余程のSoft Rock好きでもなければ御縁が無さそうですが、カナダ産Soft Rockにおいては非常に重要な即席グループです。というのも、あのVern KennedyがVocal Directorを担当し、Bob Stoneがプロデューサー。さらにはJohnny Cowell氏の楽曲を複数取り扱っています。知らない人には「何のこっちゃ?」という反応かもしれませんが、要はカナダ産Soft Rock界の重要人物がクレジットされているというだけでも《買い》な作品ということです。
 今回65位に選んだ「The House With The Mandarin Doorway」は、72年リリースの1st Albumに収録された楽曲。無味乾燥なジャケからは想像も出来ない極上の爽快系ミディアム・ポップナンバー。男女混声ハーモニーが天空を舞うHappyにして軽快なサウンドは、正にSoft Rockの理想郷。

64位 Harry Betts Orchestra & Chorus「Two Lovers」1966年

聴いてみな、飛ぶぞ!!

 米国NY生まれフレズノ育ちのHarry Bettsは、Jazz畑のトロンボーン奏者兼作編曲家。 後に数々のTV・映画音楽を手掛ける音楽家として名を馳せることになります。彼が携わっ た作品群は300を超える膨大な量に上りますが、本人名義や本人の名を冠した「The Harry Betts Orchestra」や「Harry Betts & His Orchestra」の作品はそれ程多くはなく、Soft Rockファンに好感が持たれそうな作品だけを抽出すると片手で数えられる程です。
 就中Soft Rockの美学がぎっしり詰め込まれた彼の最高傑作『Love Affair』は、ルール②に該当するとしてここでは割愛させて頂きます。余談になりますが、この『Love Affair』に関しては他に似た系統の作品が他に無いことから、突然変異的な作品として捉えられ、そういった意味で言うとむしろ次点で評価の高い『It's A Wonderful New Bestline World』の方がHarry Betts節が炸裂していて、コアなファン向けの作品となっております。いずれにせ よ、両作品共もはやVanda誌の名盤セレクションにも殿堂入りするレベルなのは間違いなさそうです。

最高傑作『Love Affair』!!!
マニア向け推薦盤『It's A Wonderful New Bestline World』!!!

 話を戻しますと、Harry Bettsは元々Jazz系ミュージシャンとして活動していて、60年代に入ってから映画音楽の仕事を受け持つようになる訳ですが、注目したいのはハリウッドの黄金時代を築いた大女優Audrey Hepburn主演『おしゃれ泥棒(How to Steal a Million)』というコメディ映画のサントラEP盤『Two Lovers / Who's Afraid』。彼が制作に関わった映画サントラ盤の中でもピカ一とも言える両面最高のWサイダーとなっております。個人的に推したいのはA面「Two Lovers」。いきなりの女性コーラスで意表を突く冒頭部・ダイナミックなストリングスが聴き応えある中盤間奏部・再び女性コーラスの登場で甘いサウンドを残したまま幕を閉じる終盤。潤いを帯びた女性コーラスと華々しいオーケストラが見事なコントラストを成していて、コミカル系の映画とは裏腹に、しっとり系の極上Mellowバラードに仕上がっております。

63位 The Sands「I Live」1969年

タイトルがヤシの木になってるのがカワイイ!!

 後にアイルランドの歌手兼エンターテイナーとして名を馳せるTony Kenny や、パブロ ック・バンドAceのドラマーFran Byrneが在籍していた事でも知られるThe Sands。当時、大所帯のショウバンドが無数に存在していたアイリッシュ・シーンにおいてThe Sandsも例外になく、1967年から1981年までの長い活動期間に、度重なるメンバー・チェンジと解散・分断・グループ名の変更を繰り返してきました。国内最大とも言われたBubblegum系 Showbandとして、数えきれない程のライブ・パフォーマンスを行いながらも、様々なレーベルとの単発契約でシングルをリリースしていましたが、スタジオ・レコーディングされたアルバムはたったの1枚。それが江村氏監修のSoft Rock本にも掲載されたアイルランド産Soft Rock最高峰にして最高傑作盤である『Sand Doin's』!!!

裏ジャケの演奏風景!!

 一番脂の乗っていた全盛期ということだけあり、非常にエネルギッシュなビートと濃厚なハ ーモニーを楽しめる好盤となっております。楽曲によって音質や音量・作風が明らかに違うことから、既に録音された楽曲群を無理やり寄せ集めて、一つのアルバムとしてリリースし たものと思われますが、『Sand Doin's』が非常に魅力的なものになっているのは、同国出身のThe FreshmenやThe Symbols辺りを彷彿させる爽快感MaxなChorus & HarmonyとSoft Rock的な選曲。江村氏の言及通り、ティン・パン・アレイ系の選曲が特に素晴らしく、Roger Cook & Greenaway作「I Live」を始め、Denny Laine 「Say You Don't Mind」、Neil Sedaka「You Mean Everything To Me」、The Happenings「See You in September」、Carter & Lewis「Dance Dance Dance」、The Archies「Sugar Sugar」に加え、「The La La Song」や「Peanuts」など、徹底したBubblegum系のサウンド志向がエンターテイメン ト性の高いアルバムにしております。
 明らかにThe Symbolsを踏襲した作りになっているA面4曲目「See You in September」 も捨て難いですが、個人的な最大のハイライトはA面1曲目「I Live(下記試聴0:00~1:24)」。ダイナミックな演奏に乗せた清々しいコーラス。そして甘くも切ないメロディが胸を突きます。これこそ英国産独自のポップ・サウンド!!とでも言わんばかりに英国臭がプンプンしています。British Beatが好きな方には堪らない1曲でしょう。

62位 Rowena Cortes「小さなマリリン」1977年

76年77年が最盛期(当時中学生)。
【多言語習得レベル・アイドル性・歌唱力】全てが桁違い!!

 スペインと日本の血統を含み、フィリピンと香港の二重国籍を持つ露雲娜(英表記Rowena Ellen Cortes=日本語表記ロウィナ・コルテス)。1963年1月13日に香港で出生した彼女は父親の影響で音楽的英才教育を受け、8人兄弟の中でも天才肌の才能は幼少期の頃からその片鱗を魅せていたそうです。若干2歳にして歌い始め、5歳の頃には地元で開催されたスター発掘才能コンテストで見事優勝⇒そこに目を付けたEMIの香港支社House Record Productionと契約。わずか6歳にして1st Solo Single「Very Very Very」をリリース した後は、学業との両立もあり兼業的な形でTVでの出演・パフォーマンスを地道に披露。小学校高学年になり本格的に歌手としての道を始動し、数々のコンテストやコンクールでタイトルを総なめする程の大活躍。その超ハイブリッドな血筋を武器にスターダムへと駆け上がっていきます。

【香港の西野七瀬】と勝手に呼んでる

 非常に息の長い活動期間の中でも彼女の最盛期に当たる作品が、1976年から1977年に掛けてHouse Recordにて制作された英詩盤3作品。これらは当時13歳にして、あどけない可愛らしさと円熟味を帯びた艶やかな声質、熟練された安定感ある歌唱という強み・持ち味が最大限に活かされた傑作盤であり、加えてそのSoft Rcok的なサウンドと選曲の良さで我々ソフロ・ファンの方々にとってはマスト・アイテムとなっております。
 時を同じくして、止まらぬ躍進に拍車を掛ける様に我が国へ来日。東芝EMI社内レーベルExpressから、鈴木道夫&新田和長プロデュース+楽曲提供に谷山浩子という極上VIP待遇の下で制作されたのが『Oh My Love』。ドキドキ胸キュン・ポップ「ラブ・サイン」を始め、高揚感たっぷりの「あのね」、切ないバラード「六月の花嫁」「手をつないでもいいかしら」、極 上ボッサメロー「失恋」、哀愁系昭和ポップス「銀の指輪」等々、聴き応えある佳曲がギュウギュウ詰め込まれた充実作。「歌謡曲」「昭和ポップス」と一括りにするには勿体レベルで、彼女の可憐な歌声や歌唱力も勿論大変素晴らしいので、こちらも併せて入手して頂きたい作品。個人的に驚きなのは外国人とは思えない程の流暢な日本語。前情報無しで聴いたら十中八九邦人歌手と思えてしまう程です。

1977年作『Oh My Love』

 で、この『Oh My Love』と同時期にリリースしたEP盤シングルが3枚ありまして、その中で特に御注目して頂きたいのが『A面:小さなマリリン/B面:グッデイ・サンシャイン』。 B面の英詩ヴァージョンは同年のアルバム『Sweet Fairy』に収録されていますが、日本語ヴァージョンはこのシングルでしか聴けないので、マニアの方は入手必須。そして今回62位に選出させて頂いたのがA面の「小さなマリリン(LP未収)」。大場小百合氏が作詞作曲した楽曲で、Rowena Cortesによる日本語歌唱の中でも1位2位を争う程の大名曲。正に王道Soft Rock系とも言えるマジカル胸キュンポップといった趣で、こんな楽曲を反則級のロリ・ヴォイスで歌い上げるのですから、もはや一人勝ち確定の大関クラスです。

61位 Terry Ayres「Nobody Loves A Loser」

聴いてビックリ!!まったりMellowの極地!!

 米国オクラホマ出身のSSW、Terry Ayres。彼が唯一残したとされる自主制作盤『Love Music』は、何処かロコドルを彷彿させる彩り豊かな表ジャケットがとても印象に残ります。裏ジャ ケには楽曲名や演奏陣営、そして制作に関わった方々のクレジットのみで、素性・年代共に無記載の為、詳細は謎に包まれております。
 盤に針を落としてみると、全体的にゆったりとした曲調の楽曲が多く、親しみ易いメロディや良い意味でのゆるさやMellow感に包まれています。軽快なポップ感覚とソフトな質感は正にSoft Rockファン向きとも言えそうです。
 全10曲中8 曲が自作曲で、メロディの品質は一級品とまでは行かないまでも、独特な雰囲気を醸し出すサウンド・メイクが個性的で、彼の暖かみのあるヴォーカルと絶妙にマッチしており、とても聴き込み深いです。
 今作でのハイライトはB面4曲目「Faded Gull」とB面1曲目「Nobody Loves A Loser」の2曲。自作曲以外の2曲がこのアルバムの最大ハイライトという何とも皮肉的ではありますが、とてもマイナー盤とは思えない程の極上Soft & Mellowなサウンドを聴かせてくれています。特に後者「Nobody Loves A Loser」はゆる~いサウンドとトロピカルで極甘なメ ロディ、そしてサビでの濃厚なコーラス…正に非の打ち所が無い極上のSoft Rock感を体感出来ます。


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