夏の原稿どうですか?③~超人バトル資料編~

みなさんこんばんは。
創元社の編集Aです。

もう今日からコミケが始まってしまったわけですが、新刊を出せた方も落としてしまった方も、安心&絶望するのはまだ早い!

秋のイベントの締め切りはもうすぐそこです…!

のんきにイベント戦利品を熟読してていいんですか? そろそろネタ出しくらいしとかんとヤバイんちゃいますか?

え~ん、でももう暑くて頭が働かないよぉ~どら●も~ん!と泣きべそかいているあなたにお勧めなのが、ネタの宝庫・知の再発見シリーズです!

歴史、考古学、音楽、科学、美術など、あらゆる分野の「知の遺産」をワンテーマごとに、手に取りやすいコンパクトサイズに凝縮したシリーズ。
原出版社はかの有名なフランスのガリマール社です
(wikipediaにも「『知の再発見』双書」項目があります)。

というわけで今回はそのシリーズの中から編集Aが独断と偏見でいくつかピックアップして紹介いたします。
テーマは、「超人バトル物に使えそうな本」。

理由は、いま異世界系グラップラー刃牙として有名な『異修羅』に編集Aがドハマりしているからですね(ちなみに千一匹目のジギタ・ゾギ推しです)。
設定だけでお腹いっぱいになりそうな、盛りに盛った背景をもつ登場人物たちのバトルロワイヤル。大好き。

それでは、どうぞ。

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■教祖・宗教系

まずはお馴染みの方々です。
『終末のワルキューレ』や『シャーマンキング』、あるいはちょい役ですが『GS(ゴーストスイーパー)美神』などでしょうか。
すでに「強い物語」を備えている方々はキャラクターがたっています。

それぞれ図版も豊富でイメージをつかみやすいだけでなく、巻末には「資料編」も収録。
一歩違った視点からの作り込みにもご利用いただけるかと思います。

もちろん筆を間違えると関係各所から怒られるので、お取り扱いは慎重に。

お次は『道教の世界――宇宙の仕組みと不老不死』です。

創唱宗教ではないため「教祖系」と括るのは雑ですが(定義によりますが)、仙人や道を中心とした宇宙観のイメージの豊富さは随一。
あまり創作に使用されていない点はネックかもしれませんが、競合他社がすくないと思えば有利かもしれません。


■伝説・伝承・フォークロア系

主人公クラスorラスボスの方々の次は、敵キャラorライバル候補?の方々です。

モンスターの歴史』は、個人的にオススメ本。
ヨーロッパの怪物から日本の妖怪まで幅広く収録してあるだけでなく、
身体に障害をもって生まれた人たちが、双頭、両性具有、巨人、小人といった「異形の存在」として描かれた表象史についても解説しています。

吸血鬼伝説』は、ロングセラー。
巻末の「映画における文学作品の吸血鬼」をながめるだけでも、古来よりこの吸血鬼というモチーフがどれだけ創作家に愛されたかが分かるはず。
本書を読むと、現代最高の吸血鬼マンガの奥深さがより味わえるかと思います。

みんな、丸太は持ったな!!
行くぞォ!!


■異端・神秘主義

お次は、敵か味方かわからない謎の組織です。

カタリ派――中世ヨーロッパ最大の異端』は、急速に拡大しすぎたために教皇庁から異端視され、ついには根絶やしにされた民衆宗教の姿。

スーフィー――イスラームの神秘主義者たち』は、いまにも続く宗教・思想運動。
本シリーズの中でもとくに収録写真の美しさが光る一冊です。


■その他、現代のヒーローなど

最後はちょっと変わり種をご紹介。

殺人の歴史』は、犯罪をめぐる新聞報道、犯罪学の始まり、文学や映画とのかかわりを論じた書籍。
表紙が怖いです。

チェ・ゲバラ――革命を生きる』は、ご存じ革命家チェ・ゲバラ。
ジョン・レノンが「あの頃、世界で一番かっこよかった」といったその一端を豊富な写真で知ることができます。
彼が時速4キロ以上の速さで動くと地球上のGPSがズレるのは有名な話ですね(それはJ・ゲバル)。

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以上、「知の再発見」双書のなかから一部を抜粋してご紹介いたしました。
本シリーズにはその他、『錬金術』、『テンプル騎士団』、『魔女狩り』、『美食の歴史』などさまざま収録しています。
ぜひ一度お手に取っていただければ幸いです。