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自分の歴史を音楽と振り返る(12)2016-20 〜複合マイノリティ自助会との出会い

自分の歴史を音楽と振り返るこのシリーズ、自分でもいつまで続くんだと思いながら書いていたが、ようやく現在の自分が見えてきた。
さて、音楽シーンでは2016年にSMAPやKARAの解散、PPAPの大流行があった。安室奈美恵の引退は2018年、ジャニー氏の死去もあった。この頃の自分は精神保健福祉士の実習で受けた心の傷によりひどいうつ状態だった。そこから変わるきっかけになったことは何だったのか。


(精神障害×LGBTQ)自助会との出会い

精神保健福祉士の資格を取得することはできたが、その際の実習でのいじめ等がきっかけで、心の傷を新たに深くすることに。当然資格を生かして働くことはできなかった。何よりいじめを受けた相手と同じフィールドで生きていくことが耐えられなかったからだ。

そんな状態で、おそらくこれまでの人生で一番ツラい時期になった。この頃に、専門学校の先生に相談をした。というのは、当時通っていた精神科クリニックは主治医がいない状態で、薬だけもらうだけだったからだ。しっかり話を聞いてくれるところを希望したところ、今通っているクリニックを紹介してもらった。そこでは、このいじめの問題をテーマに挙げたり、嘔吐恐怖のこと、自分がゲイであること、希死念慮のことなど、さまざまなことを話した。このクリニックには月2回だった通院が毎週に増え、それは今も継続している。

さて、そんな状態だったが、なんとか細々と塾のアルバイトは続けていた。そんな中、ネットでLGBTQで精神疾患のある人のための自助会があることを知る。ゲイで精神科に通ってる人なんているわけない、と(根拠もなく)思っていた私にはそれがとても意外だった。とはいえ、自分以外の同じ境遇の人に会うのは怖かった。写真を無断に撮られて拡散されたりしないだろうか。もし知っている人がいたらどうしよう。暴れたりする人がいないだろうか。そんなことを考えつつも、何度も団体のHPを覗いた。そしてやがて、勇気を出して、自助会が開催されている会場に足を運ぶことにした。

部屋の扉がとても重かったことを覚えている。会ではニックネームで自己紹介をして、持ち寄ったテーマで話したり、聞いたりした。緊張したが、なんだか肩の力を抜いても良さそうな雰囲気だった。その後、私はその自助会によく参加するようになり、やがて団体の運営に携わるようになった。

団体の運営として他のスタッフと一緒に運営会議をしたり、時には医療や福祉関係者を招いた学習会や季節に応じた交流イベントを開催したり、他の団体との交流が生まれたりと、これまでの自分には想像もつかない世界で濃密な時間を過ごした。今まで(双方がタイプな)ゲイの人にしか出会っていなかったので、このような出来事はとても新鮮な出会いばかりだった。そしてそのどれもが、今の自分を肯定するきっかけになることばかりであり、「ぜひやりたい」と思っていたことばかりだった。自分のこれまでの人生で味わった(主につらい)経験が、こうやって形になって誰かのための声になる。その瞬間をこの団体で何度も体感することができた。やがて、活動や団体が、自分にとっての「居場所」になっていた。

しかし、人間関係が交差する場ではうまくいかないこともある。それを私はわかっていたつもりだった。しかし、コロナ禍で文字でのコミュニケーションが増えたからだろうか、注意や叱咤といった言葉のキツさがしんどくなっていった。それは「恐怖」となり、自分の心身を病んでいった。そして恐怖が強かったから、周りに訴えることができず、更にただただ怖くなっていった。私は、自分の心身を守るために、団体を脱退した。

LGBTQで精神疾患のある人のための自助会という、とてもとても狭い世界にやっと見つけた大事な居場所。そこを辞めざるを得なかった。自分がこの世界で生きていける場所は、やっぱり、ないんだ。

…と思っていたが、そうではなかった。その話はまた今度に。

TWICEとの出会い

そんな中、コロナ禍がとある音楽との出会いをもたらした。2020年春、緊急事態宣言が発令、外出がままならなくなった。塾の仕事もできず、一日中家にいる日が続いた。ダラダラとYoutubeを見ていたら、とあるアーティストのMVに目を奪われた。TWICEだ。

9人がそれぞれの個性を出して歌い、踊り、笑顔を振り撒く。次は誰が歌うんだろう、誰がセンターになるんだろうというワクワク感がたまらなかった。そして、自分がTWICEにハマった一番の理由は、メンバーの人格と絆の深さだ。

2015年にデビューしたTWICEは瞬く間にスター街道を駆け上がっていった。しかし、ミナが極度の不安と緊張のため不安障害になり活動を休止したり、ジョンヨンは頸椎椎間板ヘルニアの手術やその後の薬の副作用、そして不安障害のために活動を休止、他のメンバーも発言が炎上したりと、まさに波瀾万丈の連続。そのたびにメンバーが助け合い、励まし合う姿を動画で何度も見てきた。こんなに性格のいいアイドルがいたなんて。

その絆の強さを歌詞とMVで感じられるのがこの「Feel  Special」だ。リリース後のカムバック活動ではミナが活動休止中、この1年後にジョンヨンが腰の手術を受けるという満身創痍な状況。この曲は、当時インターネットのバッシングに合い疲弊していたサナのためにJYPが書いたとされる。一番のサビでサナはこう歌っている。

You make me feel special
世の中がどれほど私たちを落ち込ませようとも
痛くて苦しい言葉が私たちを突き刺しても
あなたがいるから私はまた笑う
That's what you do

MVでわかる通り、それまで「Cheer Up」「What is love」「Yes or Yes」などで見せてきた笑顔は無く、みんな決意表明のような凛々しい顔立ちだ。そして最後に、それぞれがソウルメイト?を見つけ、安堵したように微笑む。

TWICEのおかげで、自分のK-POP熱に再び火がついた。Red Velet、mamamoo、aespa、IVE、(G)I-DLE…とヨジャアイドルにどんどんハマっていき現在へと至る。更には2023年には韓国語の勉強を始めて、ハングル検定5級→4級と取得することになる。


という感じ。今の自分を形作るキーワード「精神障害×LGBTQ」「自助会」「TWICE」などをようやく書き記すことができて、ここまで書いてきて良かったと感じている。次回も今の自分に直結するような活動を記していきたい。

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