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準作品的な短文(つぶやき)

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サマセット・モーム著『人間の絆』を読んで

上下巻合わせて1,200ページを超える大作をやっと読み終えた。しかし、残念ながらこの小説を面…

【悲鳴】誰か分かって❗️助けて……お願い

同性の親にことごとく自分を否定されて育ったから、傷つくことしか知らない。人との間にいつも…

HSP診断テストを受けてみました

HSPとは英語のHighly Sensitive Personの略称で、物事にとても感じやすい人、刺激に非常に敏感…

クリエイターページなどに表示されるプロフィール文を新しく書き直しました。たくさんの時間と労力がかかりましたが、良く書けたと思います。

生のすべてにおいて美を為すことを主題とする私にとり、この文章もまた一つの大切な作品であります。

https://note.com/soh_igarashi/

世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし 在原業平
(世に桜というものが全くなかったならば、春の心は穏やかであろうに)
業平は私が特に親しみを覚える歌人の一人です。古来より日本人が偏愛して来たと一般に言われる桜をこのように詠んだ彼の感性に、自らと響き合うものを感じます。

昨日の補足です。

あれは作者が身近な人々の死に相次いで見舞われる中、作られた句。十代の頃、大岡信さんの折々の歌で知って以来ずっと好きでいます。

昨日の私の文章は句の内容とやや異なりますが、それもまた春の乱れのひとつとしてーー。

https://note.com/soh_igarashi/n/n1b196d9f3619

花冷えの底まで落ちて眠るかな(古舘曹人) 私にとり、今の季節は鬼門です。春の陽気は即ち妖気です。人の忌まわしい記憶に苦しめられたり、ふと恐ろしいことを考えていたり、本来なら決してしない間違いをしてしまったり――。おかしくなりそうな不安や恐怖に、日々慄(おのの)いています。

映画『ひらいて』。原作は綿矢りさ。

憧れの彼には秘密の恋人がいた。距離を縮めた二人の女子高生は未知の性愛の扉をひらく。

性的興味や好奇心などではない。男である自分には決して叶えられない、甘く濃密な美と官能に浸る少女たちに対する狂おしいほど真っ直ぐな羨望が、私の胸を締めつけた。

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻としたしむ(石川啄木『一握の砂』所収)中学で出会った歌。異性との接点が全くない男子校。恋愛もセックスも夢の世界の出来事だった。思春期の鬱屈を晴らす光を文学に求めつつ、きっとこんな気持ちを分かってくれる女性と恋がしたいと憧れていた。

映画『グラン・トリノ』と『小説家を見つけたら』。過去の痛手から心を閉ざした大人が、若者との交流を通じて自分を取戻してゆく物語。たとえ独り寂しく生きても、こんなすてきな友情に恵まれることがあるなら…。愛する者を再び得た彼らが、死に臨んで痛感したに違いない、救いと幸福の大きさを思う。

『探偵ロマンス』は楽しむことができたドラマでした。今回の脚本においては、最終的に明確な「悪」として描かれた要素ですが、第三話の、お百と初之助がそれぞれ住良木に心を奪われてゆく場面は特に印象に残りました。これまで縁のなかった乱歩の小説を読んでみたい気持ちに、今は少しなっています。

今日は雪が降りました。皆さんご無事でしたか?

私は雪の日生まれなのですが、寒さはとても苦手です。環境の変化に何とか適応しようと体が必死になっているのを感じるにつけ、自分もまた自然の一部なのだと実感します。

こんな日は特に温もりが恋しくなりますね。身も心も。

皆に幸あれ。

三島由紀夫の『仮面の告白』。書店で懐かしく手に取ったら、版が改まると共に書体も大きく変わっていて驚きました。明朝体?骨太でがっちりとした活字。

青年三島の鋭敏な感受性が実に素直に表された、この繊細な物語が、まるでトーマス・マンのような、全く別の作品に見えてしまいました。