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昭和ライダー(仮面ライダーX)を完走した話

つい先日、『仮面ライダーX』を全話見た。
1974年放送。毎日放送・東映製作の特撮テレビドラマ番組。全35話。
ご存じ『仮面ライダー』シリーズの第3作目。
物語のフォーマットは大体それまでの仮面ライダーと似たような感じではあるが、自前武器(ライドル)持ちだったりライバルキャラ(アポロガイスト)がいたりラスボスが巨人だったり、色々と独自路線を模索した感じもあり、なんだかんだ後続の仮面ライダーたちにも多かれ少なかれ影響与えてるんじゃなかろうかという印象がある。

そして、これが私にとって初めて全話視聴した昭和ライダーになった。


『昭和ライダー』完走のカベ

私は元々、昭和ライダーシリーズは「好きだけどあんままともに見てない」というわけわからん層だった。
幼い頃から、親の影響もあってレンタルビデオ()などで借りてちょこちょこ見て、それなりに楽しんではいたのだが、どの作品もまともに全話見切ったことがなかった。
そんな折に漫画『仮面ライダーSPIRITS』に触れ、ますます昭和ライダーカッコイイ!好き!の気持ちを高めていったわけだが、それでもやっぱり、見る話数が多少増えた程度で、どの作品も完走までには至らなかった。
その理由をはっきり言ってしまうと、どうしても途中で番組に飽きてしまうからというのがある。

仮面ライダーに限らず、昭和の等身大ヒーローの番組は、物語の展開の大枠は大体同じだと個人的には感じている。

何か事件が起きる→ヒーローが駆けつける→変身して戦う→敵を倒して終了

細かい違いはあれど、大体この流れだ。もちろん異論は認める。
毎話毎話、同じようなフォーマットの話が繰り返される。そりゃアクションシーンは毎回凝っててカッコイイのだが、それだけでは視聴のモチベが続かなかった。これは私が幼い頃からずっとそうだ。
それと、基本的に1話完結の話が多く、「次回の展開が気になる!続き見よう!」とはあまりならない。続きものじゃないからこそ、毎週放送するにあたってそれまでの話を見ていなかったお子さんがどこからでも見始めることができるというメリットは確かにあるだろうが、物語をがんばって追おう!とはなりにくい。
加えて、当時(私が子どものころ)は今と違い配信など無かったので、ビデオ()をレンタルしなければ続きが見れなかった。他にも見たい作品は色々ある中で、限られた本数しか借りられないのだから、自然と視聴モチベが比較的低いものは後回しにされていく。
そうして、「昭和ライダーは好きだけど数話ずつしか見てない作品ばっかり」というわけわからん状態の私が爆誕した。
もうこの時点で「なんだその視聴態度は!けしからん奴め!」とガチギレしている諸兄もいらっしゃるとは思うのだが、これが私の素直な気持ちだ。

あとお話自体も、しょうがない部分ではあるのだがツッコミどころが結構あって、物語に夢中になるには私はもう大人すぎた
番組自体は楽しく見れるのだが、それは「こういう演出の工夫があって良い」だとか「ここの演技が良い」とか「この怪人の造形が良い」だとか、何様?みたいな目線からの感想になってしまう。物語に入り込めない。
言ってしまえば対象年齢から外れたということなのだろうが、つくづく私は子供向け?特撮作品を心から楽しむ才能がないなと思った。
これは別に昭和特撮に限った話でもなく、現行のニチアサ作品でも同じような見方でしか楽しめなくなってきている。よく言えば卒業したということなのだろうが、一抹の寂しさはどうしても感じてしまう。


『Xライダー』を見る

そんな私が、『仮面ライダーX』を全話見た。
そもそもなぜ急にXライダーを見始めたのかという話だが、それは単純にYouTubeの東映公式チャンネルで配信してたからという理由である。

ちょうど映画『シン・仮面ライダー』からの流れで『仮面ライダーSPIRITS』にも再燃しており、「フーン、神敬介、カッコイイじゃん…」となっていた(チョロ女)時にYouTubeで配信が始まったので、タイミングが良かったのもある。
せっかく毎週2話ずつ更新してくれるのだし、YouTubeなら手軽に見れるので、見よう!となったわけである。

実際、毎週2話ずつ更新というのが結構ありがたかった。
2話という話数が、1度に見るのにちょうどいいボリュームだった。1話ずつだとなんか物足りないし、35話全部見ようと思うと半年以上かかるが、2話ずつだと大体4カ月くらいで完走できる。
さらに、配信日に見れなくても、1週間は公開してくれているので、好きなタイミングで見れるし見返せる。一時停止や巻き戻しも自由自在だ。便利な時代になったものだと思う。

そんなわけで1話から見てみたXライダー。
結論から言うと、「普通に昭和ライダーだな~」と思った。良くも悪くも。
先述した独自路線(ライドルだったりライバルだったり)はもちろん作品の良いアクセントになっていたが、総合的にはやっぱり普通に昭和ライダーだった。
ただ、初代やV3までにはあまり無かった物語の縦軸がそれなりにあったのは面白かったし、なんとなく視聴のモチベにも繋がった。
番組初期は水城姉妹の謎めいた挙動があったり、中期はアポロガイストというライバル的なポジションの敵が何話も続けて登場することで、こいつとの決着はどうなるんだ…!?という、先の展開が気になる気持ちを引っ張られた。そして最後の方は、複数に分割されたRS装置(ヤバい破壊兵器みたいなやつ)の設計図を巡って争うという、敵味方共に一貫した目的の下で動いていたのも見やすかった。
ただ、まあ、そういった新展開が入るたびに「あっこれテコ入れだな…」と感じてしまう部分もあり、作品全体としてはなんとなくフワフワしていたかなーとは思う。


ここが好きだよXライダー

なんかうっすら文句ばっかり言ってしまったが、決してつまらなかったわけではないし、好きなところもたくさんある。
そもそも私は、Xライダーの改造コンセプトがめっっっちゃくちゃ好きだ。

「深海開発用改造人間カイゾーグ」て。すごいロマンある設定じゃない!?
そもそもサイボーグというもの自体、定義の一つに「宇宙空間や海底などの特殊な環境に順応できるように、人工臓器で身体の一部を改造した人間」というのがある(小学館 デジタル大辞泉より)。
一番最初の仮面ライダー・本郷猛は、悪の組織によって改造され、言うなれば戦うための『人間兵器』として造られた。2号ライダー・一文字隼人も同様だ。
V3・風見志郎は、改造したのは本郷と一文字であり、瀕死の風見の命を救うためでもあったが、結局は”戦う”目的で改造された。
その点、Xライダーは深海開発用改造人間カイゾーグ戦うための存在じゃない!もとは科学の発展のため、人類の未来のため、平和利用のための存在なのだ!(倫理の問題はいったん置いておく)
水中活動用、という設定も真新しいし、深海1万メートルまで潜れるというのもシンプルにすごい。うらやましい。もし私が瀕死の重傷を負うようなことになったら、どうせならカイゾーグにしてくれ。保険証かマイナンバーカードに意思表示書いとこうかな。
そんなわけで、まずXライダーの設定そのものが私はかなり好きだ。
まあ、本編でその設定が活かされていたかと言ったら、別に…という感じではあるのだが。水中撮影は今も昔も大変だというのは聞くし、仕方が無い。でもポテンシャルは非常に感じる。Xライダー、今の技術でなんとかリメイクできないものか。
ちなみに似たような理由でスーパー1も結構好きだ。あっちは宇宙開発用だが。サイエンス目的の改造人間たちはなんか素直に応援できる気がする。

あと、専用武器であるライドルを使ったアクションが、見ててメチャクチャカッコイイと思った。素直に。

棒術アクションがスタイリッシュですごくかっこいい。ライドル自体が四形態あり、アクションにも幅が出るし戦い方にも工夫が見られる。
そもそも仮面ライダーシリーズ通して言えることだが、アクションすっげえカッコイイ。見るからに危険なロケーションで飛んだり跳ねたりしてるのすごくない!?色んな意味でハラハラドキドキする。
先輩後輩ライダーたちに無い、自前の専用武器というのはXライダーの大きなアドバンテージだと思うし、毎週、どんな戦い方を見せてくれるのかを楽しみに見ていた。
なんで途中から使わなくなっちゃったんだよ。ガチめの不満点だよこれは。

それと、本当に個人的な好みの話で恐縮なんですが、神敬介役の速水亮さんがスゲーイケメンでもうそれだけで視聴モチベ維持できました。本当にありがとうございました。

昭和ライダーの人たち、みんな一定のかっこよさはあるけれど、イケメンていうよりハンサムって感じの顔立ちが多い中、速水さんは平成令和のイケメンたちと並べても遜色ないと思う。やや濃いめのお顔ではあるけど、昭和ライダーの人たちの中では一番見た目が好き。
そしてそのイケメンフェイスからド低い声が出てくるのもなんかおもしろかった。かっこいいんだけども。
顔だけじゃなくてスタイルも良いので参った。長い脚から繰り出される蹴りのアクションまじでカッコイイ。ていうか速水さんのアクションも全体的にキレッキレで良かった。
まあ、後半の髪形は……初見はなんでだよって思いましたが。顔がいいのでパーマもそこそこ似合ってはいるんだけど、前のさらっとした髪型のほうが好きだったよ…。


そんなわけで仮面ライダーX、楽しみながら完走することができた
普通にレンタルや一挙配信などで見ていたら途中で飽きて視聴を止めてたかもしれない。でも毎週2話ずつ、というのが本当に私に合っていて見やすかった。
いずれの昭和ライダー作品も全話見たことが一度もないということを、今までなんとなく勝手に負い目にも感じていたのだが、それも少し和らいで良い経験になったなと思う。
このスタイルだったら飽き性の私でも視聴を継続できそうなので、また何か配信で気になる作品があったら、気軽に見始めてみようかなと思っている。


(おわり)




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