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「斜陽産業」と言われる業界で働く

これまでの職歴を振り返ってみると、斜陽産業→成長市場のニッチ領域→黎明期の市場→斜陽産業(現職)という順で巡ってきた。
斜陽産業に対する個人的な印象は、「成長カーブは数十年前にピークアウトし、往時の設備投資のおかげでどうにか利益を稼ぎ出している」といったところだろうか。
久しぶりに斜陽産業に戻ってきた記念として(?)、斜陽産業について改めて考えてみたい。


斜陽産業の定義を振り返る

「そもそも、斜陽産業ってなんだっけ?」という至極当然な疑問が湧いてきたので調べてみた。
そこまで厳密な定義のある言葉ではないようだ。
各社のSEO記事ばかりが検索にヒットするので、まずは辞書的な意味を確認する。

生産高売上高が過去にピークを記録して以来,現在まで低下ないしは低迷状態にあって,将来も不振が続くとみられる産業。これと逆なのが成長産業である。
(中略)
斜陽産業になる要因としては,他の競合する製品需要が移行したり,主要製品のライフサイクル最盛期を過ぎたり,また賃金上昇等から海外の製品との競争力を失ったりすること,などがあげられる。

コトバンク

まさに、いま食い扶持を稼いでいる業界は斜陽業界だ。
需要の移行を止められないまま、歴史を積み重ねている。
業界全体に勢いがない。
そもそもビジネス界で業界として認識されているかも怪しい。

斜陽業界で事業成長させたい!(願望)

売上を作ろうと思ったら、やれることは少なくとも二つある。
新しい顧客を増やすか、既存顧客にもっと買ってもらうかである。
従来からターゲットを変更せずに新しい顧客を増やすことはほぼ不可能だろう。
既存顧客により買っていただくにせよ、エンドユーザーの高齢化が進んでいるため長期的に見てシュリンクしていく未来がほぼ確定している。
とすれば、新しいターゲットを探して、彼らにあった便益を提供するほかない。
『イノベーションのジレンマ』の序盤を読み進めているが、「破壊的イノベーション」と「持続的イノベーション」の考え方は大いに役立ちそうな予感がしている。
新しい顧客層に対して「破壊的イノベーション」を起こせれば市場を再び活性化することができるのではないかと夢想する。
文化をリブートするという挑戦——ルネサンス、ネオゴシック……。
まあ、なんでもいいんですが。
時間を巻き戻すことは不可能なんだから、堂々と"RE"とか"NEO"とか名乗っちゃえばいいんじゃないかとも思う。
自社が生き残って残存者利益を総取りするというやり方を狙うのもあるかもしれないが、お客様の選択肢を減らしたくない。
そもそも、厳しい経営環境の中で自社だけは無事であるという仮定はまったく正しくない。
同業他社も巻き込んで活性化するような市場を創出できれば、それが一番良いに決まっている。

新規事業に落とし込むならどうするか

ただ、市場創出を伴う新規事業の難易度はかなり高い。
ベンチマークできる企業がないため、先行企業を参考にしようがないのだ。
そのため、競合の範囲を同業界内に限らず広くとって、ターゲットの解像度を高めながら参照できるサービスを渉猟する必要がある。
とまあ、すでに走っているプロジェクトを抱えながら、まるきり新しいサービスに関する考えを深めていくことは時間的制約の面でかなり厳しい。
業務の合間を縫ってコソコソ進めていくのが良さそうだ。

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