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東京ビエンナーレ出展について

パフォーマンスアートをやっている知り合いの方にビエンナーレ出てみないかと言われたのがきっかけでした。
いつも通り平面作品を展示するのはもったいないと思い大きな立体作品を作ることに決めました。
しかし立体を作ったことが一度もなかったので何を作るのか結構悩みました。
第一の案は馬喰町で使われているダンボールに絵を描いて作品にする予定でした。

馬喰町の運送に使われているダンボールは破れたら補強して破れたら補強してを繰り返しているので表面にテープが貼ってあり強さを感じます。


街の人が大切に使っているダンボールをアートとして表現出来たら働く人に焦点を当てられていいなと思ったのです。
しかし、このダンボール自体で作品として完成してる感じがしてそこに自分の絵を乗せるのは何だが違うような気がしてボツ。
今思うと他のアプローチでダンボールを使えたなぁと思います。

その後も何度も迷いましたが結果的にドンゴロスというブラジルやスペインでコーヒー豆を運ぶために使われる麻袋で正方形のテントを作ることになりました。
屋上に単管で正方形の箱を作りドンゴロスを縫い付け、中に椅子とライトを置き、自分で制作したBGMを流しています。

大恩人の小西さんに単管の組み立て方法などを教えて頂きました。ありがとうございます。
朝と昼は日差しが麻の隙間から入り、夜はランタンで部屋が照らされます。


ギャラリーで展示する時は鑑賞者に作品を「どう見せるか」を意識していますが今回のインスタレーションでは「どう体験してもらうか」を意識しました。
今の生活や馬喰町での出会いと昔の自分に焦点を当てたいと思い「過去と人々」をテーマに作品を作りました。
昔スペインでテニスをしていた時に書いていた日記や詩を読み直し今回の作品で伝えたいことと近い文を見つけました。

口を開けてテーブルから落ちる水滴を一滴一滴味わう。
土壌は柔らかく、太陽を手で隠す。
今ある幸せに安心感を覚える一方で、この袋に小さな穴があるのが見えてしまう。
覆い隠すために被せた布は浸透していきその穴の一部になっていく。
足をとられないように一歩ずつ下をみて慎重に歩く私の前で、彼らが瓦礫を退けてくれていたことに気づいたのは前を見てから。
無力な体には見合わない追い風と落ち着きは空に消えてなくなる。
-2018/07/19-

おそらく手が震え始めて病院で書いた文だと思います。
テニスが出来なくなって両親や周りの支えや期待に応えられない悔しさとありがたさを感じていました。
この詩はポジティブに聴こえないかもしれませんが今の環境や絵を描いているのは手が震え始めテニスが出来なくなったことがきっかけです。
Seam with us (層と共に)という題名は人との繋がりや過去は層のよう蓄積していき自分と共に進むことを意味しています。
その時は小さな感謝ですが今の自分を俯瞰してみるとその時の出来事が大きな意味を持っていたりします。
大げさですが、この展示が家族や昔の友人に一報入れるきっかけになれたらこの上なく嬉しい限りです。
是非お越しください。
水曜日と火曜日以外は基本馬喰町にいます。

「Seam with us」
金井 聡一郎|Soichiro Kanai
■会期:2023.10.23(月)-  11.10(金)
■開催時間:9:00 - 21:00
■場所:〒103-0003 東京都中央区日本橋横山町4−9 birthビル屋上
■詳細: https://tokyobiennale.jp/tb2023/linkage/central-east-tokyo-2023

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