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杢って?

杢(もく)とは木目のひとつですが、のびのびとなんの問題もなく真っ直ぐに育った木よりも様々な要因や自重で負荷がかかり、ねじれ、圧力がかかることによって発生する木目の一種です。羊雲や煙、水玉模様などいろいろな模様がでることがあります。そこに漆を染み込ませることによってと複雑な木の繊維に沿って漆が染み込み、魚の鱗のような光の反射をします。

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人々が珍重する杢の紋様は真っ直ぐに伸びることが出来なかったがために生じます。

人が杢に惹かれる理由はなんでしょうか?
真っ直ぐな木目より見ていて面白いからということだけでしょうか?

人はだれもなるべく問題を抱え込まないように生きていきたいと思っていますが、世の中なかなかそうはいかないようになっているようです。若くない人はみな実感があると思います。

自分に掛かった圧力(問題)から逃げず、受け入れ、それを自分だけのやり方でオリジナルの紋様に変化させてしまう。そこに魅力を感じているのかもしれません。

孔雀は羽に美しい色を出すためにわざわざ毒を食べると、読んだことがあります。炭素に超高熱超高圧がかかるとダイヤモンドになってしまいます。

もし、あなたが今、何か問題を抱えていたら、それはプレゼントです。ぜんぜん嬉しくないプレゼントです。それをすでに受け取ってしまっていたら、とちの木の杢を思い出してください。縞杢のある匙を使ってみて下さい。

起きていることのすべてを受け入れる樹の在り方をうまく表す言葉がありました。

「樹は切り倒すその人にも、木陰を与える」

木の匙や器から何十年も同じ場所で動かず大木になった木々たちに想いを巡らすきっかけになればと思い「杢って?」を書いてみました。

3枚目の写真の二つの匙はこちらで販売しています。


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