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名作にくらいつけ!

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名作と呼ばれる作品に、しつこく、しつこく、ねちっこく、これでもかというほどくらいついていくというシリーズです。何度でもくらいついていけば、あの名作が素顔をさらけ出す日が来るかも。… もっと読む
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記事一覧

名作にくらいつけ! 安部公房「砂の女」(3) ~比喩、不可知なものに輪郭を(五)~

(1500字程度)    これらの事柄は、むしろ比喩だからこそ伝わるのであり、そのものをそのま…

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sokopen
10か月前
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名作にくらいつけ! 安部公房「砂の女」(3) ~比喩、不可知なものに輪郭を(四)~

(2400字程度)     問題の比喩とは、こういう話だ。  これまで紹介してきたいくつもの比喩…

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sokopen
10か月前
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名作にくらいつけ! 安部公房「砂の女」(3) ~比喩、不可知なものに輪郭を(参)~

(参は、1200字程度)  次に説明する形の比喩も、割と見慣れたものと言っていいだろう。言葉…

sokopen
10か月前
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名作にくらいつけ! 安部公房「砂の女」(3) ~比喩、不可知なものに輪郭を(弐)~

(弐は、1500字程度)  物語世界とは、書き手と読み手との相互作用で成り立っている。  書き…

sokopen
10か月前
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名作にくらいつけ! 安部公房「砂の女」(3) ~比喩、不可知なものに輪郭を(壱)~

 [全部で8000字を超えてしまいましたので、5つにわけることにしました。毎度、長文で申…

sokopen
10か月前
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名作にくらいつけ! 安部公房 「砂の女」(2) ~雄弁な沈黙、同質な沈黙~

 (3000字程度)  一人の時間が好きだという人はいくらでもいるだろうが、沈黙が好きだ…

sokopen
1年前
11

名作にくらいつけ! 安部公房 「砂の女」 ~迷路の中の反復~

(2800字程度) ワクワクしながら並んで待っていると、やっと自分の番がやってきた。嬉しさのあまり、歓声を上げながら入り口をくぐる。と、そこまではよかったものの、いざ入ってみると、出口はおろか、自分がどこにいるかすらわからない。不意に怖くなり、入り口に向かって大声で誰かを呼ぶ。誰も来てくれる気配はない。少しの間、待ってみる。誰も来ない。仕方がないので、もう少し待つ。壁を叩く。地団駄を踏む。力の限り、叫んでみる。全てが無駄なことだと分かった途端、絶望と恐怖のあまり、その場に座り