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「花束みたいな恋をした」から考える別れないために大事なこと 2022/3/31の日記

映画館で1度見た「花束みたいな恋をした」を本日もう一度家で見ました。

この作品と「大豆田とわ子と3人の元夫」にドはまりして、調べてみたら脚本家の方が同じでびっくりして、それから坂元裕二ファンになったという話は置いておいて、やっぱり完成度の高い映画だなと思いました。

何がネタバレになるか分からないので見ていない方は注意してください。
以下感想です。

理想的なカップルの別れ。何が原因だったのか?

驚くほど共通の好きなものを持っていて、かつ価値観も合う二人は、運命のいたずらによって出会い、そして付き合います。それはもう理想的ともいえるようなカップルの誕生だったと思います。理想的ではあるものの、あくまでありふれたカップルである二人は、あらゆるカップルの”可能性”を表現してくれる存在でした。

あらゆるカップルに訪れる可能性。それはすれ違いです。

二人は決して性格が悪い人だったわけでもなく、協調性に欠けていたわけでもなく、お互いへの愛情が足りていなかったわけでもありません。出会ってすぐに盛り上がり、お互いの嫌なところが見え始め、すぐに冷めてしまったわけでもありません。それでも結果として、お別れを選択する未来が訪れてしまいました。では、二人はどうしたら別れなかったのでしょうか。それを考える事が、長続きするカップルを、ひいては幸せな結婚を迎えるカップルを考えることに繋がるのではないかと思います。私の意見はこれです。

二人には話し合いが足りていなかった。

ほとんどの方がすでにお気づきだと思いますが、二人には圧倒的に話し合いが足りていなかったと思います。話し合いというのは、漫画や本について話し合う時間ではなく(それも大事ですが)「自分が何を考えていて、何にどう感じているのか、そしてどうしたいのか」について話し合う時間が圧倒的に足りなかったのではないかと思います。

驚くほど趣味も合い、じゃんけんに対する考え方(価値観)もぴったりの二人は、最初はきっと話合いなんてしなくとも、お互いのことが分かっていました。お互いに好きなもの(二人が好きなもの)を一緒に共有してさえいれば、同じ気持ちを分かち合うことができ、二人は上手くいっていました。

しかし、麦君が働き始めてからはそれが変わります。

麦君は仕事の忙しさによって二人で過ごせる時間も減ったことで「自分の頭の中の絹ちゃん」のために頑張るようになります。現実の絹ちゃんではありません。現実の絹ちゃんは、両親のような社会に染まった人間になってまで、働いてほしいとは思っていませんでしたが、麦君は「絹ちゃんとの現状維持のために」責任感と理想を抱いてひたすらに働くようになりました。何かあると結婚を持ち出してくるようになっていたあたり「自分が頑張って稼いで結婚して、絹ちゃんが好きなように過ごせるようにしてあげなきゃ」とも思っていたのかもしれません。こういった思いは責任感の表れであり、目の前の絹ちゃんを見ていない「恋愛への理想」の押し付けの表れでもあると思います。

絹ちゃんは麦君に言いたいことがあっても、ほとんど何も言えなくなりました。おそらく麦君が忙しそうなのを気遣ってということや、話し合うと喧嘩になってしまうといった理由などがあると思いますが、大丈夫じゃなくとも大丈夫と言い続けるようになりました。絹ちゃんは麦君の「やりたくないことはやらなくていいよ」を信じているので、麦君がどうして「やりたくないこと」をやり続け「やりたいこと」をしないのかが分かりません。

こうしてお互いの中のお互いと現実がずれていくことで、期待と失望の繰り返しの末に、自分をすり減らした末に、”もう恋愛感情はない”という結論に至ってしまいました。

ここに話し合いによるお互いの想いのすり合わせがあれば、二人は別れずにいられたのではないかと思います。

どんなに自分と価値観が同じように見えても、必ず少しの違いがあるものです。今回の場合、絹ちゃんと麦ちゃんでさえも、ガスタンクやミイラに関しては、実は同じ想いではありませんでした。そんな小さな価値観の違いが、しっかりと話合わないことでどんどんと増幅していきます。

もちろん、話し合う時間すら取れなくなる可能性があるから社会に出ることは大変なことなんだとか。別れないという選択だけが良い選択とは限らないといった意見はあると思いますが、とにかくコミュニケーションにおいては、話し合うこと、そして現実のお互いを見ることが大切だと考えます。そしてこれは恋愛に限らず、あらゆるコミュニケーションで重要なことだと思います。

四六時中一緒にいてかつ、お互いのことが大好き。そんな存在に対してはどうしても「何も言わなくても分かってもらえるだろう。」という想いを抱いてしまったり「何も言わなくてもあなたのことは分かっている。」という想いを抱いてしまったりすることもあると思います。

でも、どんな存在であっても自分とは違う存在です。

自分自身のことも分からないのに、他人を完全に分かり続けることは非常に困難なことです。だからこそ、話し合うこと、お互いを想い合って一緒に過ごすことで、「相手が何を考えているのか」を現実の相手を見て考え、「自分が何を考えているのか」を伝わるように表明していくことが大切だと思います。

実は、私も付き合っている方ともう少しで5年目を迎えます。
絹ちゃんと麦君が惜しくも別れてしまったのも5年目…。

特定の人と付き合い続けることが絶対的に良いことというわけではありませんが、できれば大好きな人と、お互いを大好きなままいられたらと思います。そんな思いで考えてみた別れないために大事なことでした。


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