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調布市で味わった、現地観戦の魅力と深大寺そば


 起きた。いい天気だ。

 今日は日曜日。
 J2第30節・東京ヴェルディvsアルビレックス新潟が調布市にある味の素スタジアムで行われる。そう、サッカーを見に行く日。


 この試合を選んだ何か特別な理由があるのかと言われると、特にない、というのが正直なところだ。
 自分の休みの日とか、家から日帰りで行ける距離とかを考えた結果、今回は味の素スタジアムに足を運ぶことにした。ただ、両チームともに今季数試合ずつチェックしているので、どういうサッカーを志向しているか、どんな選手がいるかくらいの予備知識はある。見ていて楽しいチーム同士の対決だ。

 ちなみに、3月にも味スタでヴェルディの試合を見たので、ここに行くのは2回目となる。

 試合は18時キックオフだけど、時間ギリギリに出発して遅れてしまうのをどうしても避けたかったこともあり、極度の心配性が発動。初のサッカー旅記事を執筆するということで気合が入りすぎたのかもしれない。14時半にスタジアム最寄りの飛田給駅に着いてしまった。さすがに早すぎた……。でも、来てしまったものは仕方ない。とりあえず腹ごしらえだ。

 お洒落なカフェとか個人経営の店に行くのはあまり得意ではないので、飲食チェーン店のキング(当社比)であり、リーズナブルな俺たちのすき家にレッツゴー。財布に余裕がないというのは内緒だ。

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 牛丼の並盛りを食べた。いやー、超うまい。美味しいご飯をどうもありがとうございました。ちなみに、個人的飲食チェーン店BIG3は、丸亀製麺・マクドナルド・すき家。これさえあれば生きていける。

 それにしても、あと3時間何しよう。

 調布市のこともスタジアム周辺のことも、何も下調べせずに来てしまったので、どこに行くかも決まっていない。これだからサッカー旅人Lv.1は困るぜ。

 でも、ノープランならばノープランなりに楽しめばいい。ということで、味スタを通り越して「スタジアム通り」という通りを北西の方角へ向かって歩くことにした。





 うおおおサッカーやってる!!!

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 スタジアム通りにはサッカー用のピッチが5、6個あり、その全てで少年サッカーの試合が行われいていた。どうやら調布市スポーツ施設と府中市スポーツ施設という名前のグラウンドらしい。

 やはり、サッカーのある風景は、良い。

 試合が終わった後は家族と一緒にヴェルディの試合を観に行くのだろうか。いつか、このピッチから100mほどの場所にある味の素スタジアムでプレーする子は現れるのだろうか。などと考えていると、あっという間に時間は経過。しばし観戦して先へ進んだ。


 行き着いた場所は武蔵野の森公園。調布市、府中市、三鷹市にまたがる都立公園で、2020年東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技ロードレースのコースのスタート地点らしい。

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 大きな広場に行ってみると、視界は緑で埋め尽くされていた。

 ここにいる人は家族連れで来ている方がほとんどだ。フリスビーやってたり、芝生に座って話したり、親子でかくれんぼしてたり。楽しそう。

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 自分もいつか、新しい家族ができたら一緒に来てみたい。家族のために働いて週末は公園で遊ぶなんて、どう考えても幸せすぎるだろう。

 十数年前の自分は両親に連れて来てもらう立場で、こんな感情はなかった。年齢的に子供を連れて来る立場になると、心境はこんなにも変化するのか。
 ここにいる人たちが心の底から羨ましい。

 前回の記事の有料部分で紹介したZORN(ゾーン)の曲を聴くと、家族の尊さが身に染みて分かる。「誰かの幸を願えたら、きっとそれ以上は無えんだな」って、彼も言ってました。素敵。

 あ、この曲、記事を読み終わった後に聴いてみてください。涙腺をキツく縛ってからの方がいいです。娘さんがいる方は特に。




 少年サッカーの試合と、綺麗な公園で遊ぶ家族連れの人たち。形は違えどそれぞれの日常を見れて楽しかった。


 いい感じに時間を消費することができた。さあ、スタジアムに戻ろう。スタジアム通りを逆方向に歩いて行く。

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 試合の1時間半ほど前にスタジアムに到着し、検温を突破して入場ゲートに向かおうとすると……





 うおおお人がいっぱいいる!!!

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 入場の列に並んでいるとき、視界は緑で埋め尽くされていた。

 娯楽に溢れた東京で、しかもこのコロナ禍でこんなに多くの人がサッカーを観に来るなんて、すごいや。Jリーグは、サッカーは偉大である。

 ヴェルディのユニフォームを着たサポーターによるこの長蛇の列を、もしもくりぃむしちゅー上田が見たら、確実に「これロッキーの撮影じゃないのよ〜」とブッコむだろう。これ、テストに出ます。



 さて、無事に入場して自分の席を見つけて座る。10分後くらいにはスタジアムDJによるスタメン紹介があり、選手が出てきて、ウォーミングアップが始まった。
 当たり前だけど、ボールを蹴ったときに「ボンッ」という音が聞こえてくる。DAZNで見ていても聞こえるのだが、何か違う。どう表現すればいいんだろう。生の音というか……スタジアムに音が響くというか……。まあいいや。

 それにしても、選手や指導者をしていない限り日常的に聞くことはないであろうこの音。幸せだ。ずっと聞いていたい。

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 そして、あっという間に時間は過ぎていよいよキックオフ。90分間の、長いようで短い戦いが始まった。

 試合は14分、新潟が三戸舜介のミドルシュートで先制に成功。スコアが動いた後も、ボール保持を志向する両チームはともに高い位置からボールを奪いに行くのだが……。めちゃくちゃはやい!!!

 普段から現地で観戦していないと忘れがちだが、プロの試合はとにかくはやい。単純な走るスピード、奪われた後の切り替え、蹴られたボール、何もかもが。この疾走感には本当に毎回感動する。

 「日本のサッカーは遅い」とよく言われるし、海外のトップレベルに比べると、確かに遅いのは明らかだ。でも、実際に22人の一員としてこのスピードの中でプレーできるかと言われると、それは絶対に無理。プロはすごい。これに尽きる。

 そうこうしている間に、前半は0-1で終了。お腹が空いたのでハーフタイムにナゲットを購入することにした。
 しかし、普段食べ物を撮る習慣が全くないために写真は残っていない。やってしまったぜ。スタジアムで食べるご飯は3割増しで美味しい、ということだけは書き残しておこう。

 そして、スタジアムでは五感を使って楽しめるということにも気づいた。
 画面越しにではなく、直にこの目で試合をる。いいいのスタグルをべる。選手や監督、サポーター、スタジアムDJの声をく。あ、五感とか言いながら一感足りなかった……。まあいいや。後半の始まりです。

 52分に新潟がロメロ・フランクのゴールで2点目を取ると、その6分後にはヴェルディが小池純輝のPKで1点を返す。最低でもあと1点が欲しいヴェルディだが、78分に珍事件が発生。

 急ぐあまり、堀監督がタッチラインを割る前にボールを拾ってしまい、味方選手に渡してスローインでのリスタートを促したのだ。ボールの勢いを考えると確実にピッチの外に出ていただろうが、まだピッチ内にあったボールを触ってしまったために反則となり、新潟のフリーキックでプレー再開。何とも珍しいシーンを見ることができた。

 このとき、近くにいたヴェルディサポーターは
「いや、気持ちは分かるけど!笑」
「それはダメだよ監督〜笑」
 と和やかなムードに包まれていた。

 こういうところもスタジアム観戦の醍醐味かもしれない。1人で自宅で試合を見ているだけだと、せいぜいTwitterで「ちょ、堀監督w」と呟いて終わりだ。でもスタジアムで観戦すると、周りの人と喋らずともその場面を共有できて楽しい。さらに、後でTwitterでこの場面のことを検索して振り返ることもできる。
 いや、結局Twitterは使ってるじゃねえか。


 そして、90分にGKマテウスのパスミスからヴェルディは3失点目を喫する。ロスタイムの4分しか残っていない中で2点差。
 絶望的な状況に陥ったが、ヴェルディサポーターは熱い拍手を送り続ける。声が出せなくとも、この拍手だけで選手は力がみなぎるはずだ。やはりスタジアムに、サッカーに、スポーツにサポーターは必要不可欠である。選手の元気の源だ。

 しかし、スコアは動くことなく1-3で新潟の勝利。せっかくならホームのヴェルディの勝利を見届け、近くにいたサポーターの人たちの喜ぶ声を聞きたかったが、仕方ない。サッカーは難しいから。

 試合後、2015〜17年まで東京ヴェルディに所属していた高木善朗がサポーターの元に挨拶に。それを優しい拍手で迎えるヴェルディサポーター。これもスタジアムならではの光景だ。本当に来てよかった。ありがとう、味の素スタジアムと調布市。

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 それにしても、家から電車で1時間ほどで来れるところに、こんなに素晴らしいスタジアムが、サッカーが、そして街があったなんて。また行きたい。調布市のことももっと知りたい。

 次はあえて試合のない日に行こう。


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 起きた。いい天気だ。

 今日は月曜日。
 J2は第33節まで消化していて、この日はサッカーの試合はない。それでも調布市に行ってみる。そんな日。


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