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カタールW杯欧州予選 グループF 第6節まとめ

デンマークvsイスラエル


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 イスラエルの2トップは右寄りで、デンマークのアンデルセンに比較的ボールを持たせることを許容しつつプレッシング。

 デンマークはWBのヴァス(本職はCH)がハーフスペースに入って、相手のIH周辺でホイビュルクとともに2vs1を作る。そしてこれはシャドーへのパスコースを空けるための移動だろう。イスラエルのM.ソロモンはCBにヴァスを受け渡す方を選んだ。

 これによってイスラエルのエルハメドはヴァスによってピン留めされ、A.S.オルセンはイスラエルWBとのタイマンに。ドリブルで優位に立てるA.S.オルセン用のポジション移動であった。

 また、デンマークの3トップは全員が移動を許されているのが面白い。ダムスゴーとポウルセンは時々位置を入れ替えるし、A.S.オルセンはタッチラインまで出て行く。そしてCHが上がる動きに連動して2列目に下りる動きも使用する。

 中でも目立っていたのがダムスゴー。相手2列目の前に降りて、ドリブルで列を越えて先制点の起点となった。


 次はイスラエルの保持について。最近流行りの5-2-3プレッシングのデンマークに対して、サイドで起点を作って相手CHを引き付けてから空いた中央へパスというオーソドックスな形で前進に成功していた。


 しかし31分、デンマークはセットプレーから追加点。

 そして、41分にはスーパーゴールが生まれる。左サイドをWB、CH、ポウルセンのリサイクル旋回っぽいポジションチェンジで突破し、クロスを入れて最後はオルセンのボレーシュート。前半で大差が付いてしまった。

 後半早々、デンマークがまたしてもセットプレーから得点。4点差に。

 以降はボール保持の時間帯が少し増えたイスラエルは、ダサを高い位置まで上げて攻撃。タッチラインまで張って組み立てに参加したり、内側を走ってクロスを狙ったりと、シェフィールド・ユナイテッドのCB並に前線に顔を出していた。

 そしてロスタイムにダメ押しの5点目。グループ唯一の6連勝となり、2位のスコットランドとは勝ち点差を「7」としている。

試合結果

デンマーク 5-0 イスラエル

ポウルセン 28分
ケアー 31分
A.S.オルセン 41分
デラネイ 57分
コルネリウス 91分

気になった選手

デンマーク
ダニエル・ヴァス
ミッケル・ダムスゴー

 前者はカンセロロールのような動きで相手をかく乱。後者は偽9番のタスクを担って2列目に降りて受けつつ、ドリブルで列を超えられる稀有な存在であった。


オーストリアvsスコットランド


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 この試合のスコットランドの保持時のキーワードは「左→右」。ロバートソン周辺で相手を引きつけ、時間とスペースができた右サイドにその貯金を使わせる。

 30分には左サイドから攻め上がり、PKをゲット。ダイクスが決めてリードを奪った。

 一方、オーストリアの保持では相手の[5-2-1-2]のMFの脇のスペースにSBを侵入させて前進。時間とスペースがある状況から前線に浮き球を放り込み、全体が押し上がる時間を作ろうとしていたが、ほぼ完全マンツーでマークするスコットランドの3バックがタイトに守る。

 相手の裏抜けに対してもピッタリ付いてくるため、裏を返せばオフサイドには絶対にならない。それを見抜いたオーストリアのビルドアップ隊はガンガン裏にロングボールを入れて全体を押し上げようとしたが、得点には至らず。

 後半に入ってもオーストリアにボールを持たせるスコットランド。
 クロスを入れまくるオーストリアに対してペナルティエリア内の危険な位置をゾーンで守り、決定機を作らせない。

 前半から同じ攻撃を繰り返すオーストリアと、それに対して完全に慣れたために楽々跳ね返し続けるスコットランドの構図は見ていて少し切なかった。

 そのままスコアが動くことはなく、スコットランドが勝利を挙げた。

試合結果

オーストリア 0-1 スコットランド

ダイクス(PK) 30分

気になった選手

スコットランド
ジョン・マッギン

 前節はCHとして出場し、攻撃時に1.5列目で間受けを担ったが、今回は最初からトップ下として起用された。ボールプレーの精密さが目立つものの、味方にスペースを創出する能力も光り、勝利に貢献。


フェロー諸島vsモルドバ

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 今回は珍しく、フェロー諸島が保持の時間が続く。

 モルドバは[5-2-3]のような、前で多角形ができるような守備の仕方。やっぱりこの守備陣形、流行ってるのかな。でもうまくボールを囲えず、[2-3]の網からすぐ脱出されて前進を許していた。

 対するフェロー諸島はプレッシングを剥がすところまではいいものの、ゾーン3に引いた相手から点を取るためのアイディアや個の能力が足りず。
 CFのK・オルセンが相手DFの視界から外れる動きは良かったものの、そこにクリーンにボールを届けられることもなく、試合は後半へ。

 すると、フェロー諸島は68分に先制に成功する。守備組織の外側から放たれたクロスに対して頭で合わせたのはK・オルセン。綺麗に崩したわけではないが、1点は1点だ。モルドバのDFのマークも甘かったものの、ワンチャンスをモノにした。

 その3分後、フェロー諸島はCKの流れからバンスダルが押し込んで追加点。今回の最終予選で初となる勝利がさらに近付き、会場は爆沸きであった。
 そして84分に1点を返されたものの、気合でリードを守り切り、2-1で試合終了。フェロー諸島が記念すべき1勝目を挙げている。


試合結果

フェロー諸島 2-1 モルドバ

フェロー諸島
K・オルセン(68分)
バンスダル(71分)

モルドバ
ミリンチェアヌ(84分)

気になった選手

フェロー諸島
クレミント・オルセン

 
根気良く動き直し、常にペナルティエリア内で相手より良いポジションを取ることを心掛けていた。185cmとすごく身長が高いわけではないが、ボールが来る前の段階で勝負していくスタイルの競り方をしており、インテリジェンスの高さがうかがえた。

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