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#1 私と彼女の話『記念日』

私には、付き合って1年ちょっとの彼女がいる

毎月祝うほどではないが
ささやかにLINEで「今日だね」なんて
やりとりはしてきたものの

付き合った当初の彼女は
日にちすらも覚えていなくて

いつも私に言われて認識する程度だった

そんなに記念日を気にしない人もいるし
彼女もそういうスタンスなんだろう
ずっとそう思っていた

私がこれまで付き合った人とは
そんなに長くは続かなかったので

『1年記念日』なんてのも初めてだった

せめてお祝いでもしようと思ったけれど
彼女は帰省するというので
私も帰省することにした


私「今月は1年記念日だから、一緒にお祝いしたかったんだけどな…」

彼女「え?1年だっけ」

どうやら毎月、日付は覚えてくれたものの
いつから付き合ったかということは
すっかり忘れていたらしい

私(・・・そこ重要じゃない?)

彼女「ホントごめん」

「来年の記念日はちゃんとお祝いしよう!」

「予定も絶対に空けておくから」

私は拗ねてこう答えた
「来年も付き合ってればいいけど」

彼女「何それ・・・」



- そして1ヶ月後の記念日の夜 -

毎月、彼女は帰省していて
また一緒に過ごすことができないので
電話をする約束をした

普段はまったく電話しないし
こうしていつもよりも離れる時くらい

記念日になったばかりの夜がいいというので
それまでにお風呂も済まして

私から掛けてみた

「プルルルル・・・」

出ないので切ると
すぐに折り返しで掛かってきた

彼女「ごめん、親と話してた」

私はなんの気なしにクイズを出した
「今日で付き合って何日目でしょう?」

彼女「え?何日目?」

365日よりも曖昧な日数だったけれど
当たったらすごいなー、なんて思った

しかしこのクイズがきっかけで
せっかくの記念日が台無しになるとは・・・

彼女「待って、付き合ったのが11月だっけ?」

私「え?」

彼女「あれ?12月…は違うよね……1月だ!」

私「え?」

彼女「ん?10月?」

私「本気で言ってる?」

「先月、1年記念日だねって話したことももう忘れちゃったの?」

彼女「あっ!そうだそうだ!」

「・・・2月だね!今思い出した」

私「え、1ヶ月後に忘れてるってどういうこと?」

「先月、2年記念日はちゃんとお祝いしようって言ってたけど」

「今忘れてたら、来年なんて絶対祝えないじゃん・・・・・」

彼女「ごめんごめん、ど忘れしただけだよ!」

私「来年忘れちゃったなら仕方ないけど、1ヶ月前の約束ももう忘れてるの?ありえなくない?」

彼女「ごめんって!約束したのは覚えてるよ」

そこからはもう堂々巡りで

彼女曰く、来年の記念日は祝うつもりはあったけど
いつから付き合ったか記憶がごちゃごちゃで
他のイベントや思い出とかも沢山あるから
あまり日付までは認識できてなかったとか
日付よりも記憶を大事にしてるとか
言い訳のオンパレード過ぎて

私の思考はフリーズ

「ごめん、ちょっと頭ん中整理したいから電話切っていい?」

彼女「なんで?後味悪いよ」

私「これ以上話しても、自分が何に腹が立ってるのかわかんないから一旦落ち着きたい」

彼女「せっかくの記念日なのに・・・」

私「それはこっちの台詞だよ」

「まさかこんな風になるとは思わなかった」


彼女は先月
「言葉じゃなくて行動で示すから見ててよ」
と、この先の未来についてちゃんと考えてるからと宣言していたのだ

私は「不言実行よりも、言葉とセットで行動してくれた方が変に不安にならずに済むし
何を考えてるのかわからないまま行動されても誤解することもある」と伝えたけど

彼女が何も言わなくてもこれからは
行動を信じよう、見守ろうと思っていた

そして「来年は絶対に記念日を忘れない」
という言葉に、皮肉で返したくせに
期待していた自分がいたことにも気づいた

勝手に信じて、未来に期待して、結果に幻滅して
ぁあ、何やってんだろう

自分だけが記念日だってウキウキして
いつも馬鹿みたい


先月交した約束は何だった?

そんなに私との記念日って
記憶に残らないものだったかな?

親の記念日を毎年祝ってるって話してたけど
優先順位的に、それ以下ってことなのかな?

記憶が曖昧でも、ちゃんと覚えたかったら
この1年間に確認する時間あったよね?



きっと、私は、自分が蔑ろにされているような気がして腹を立てていたんだ

電話の途中でこんな提案をしていた

「私だけが覚えてて、あなたが覚えてないなら
記念日はあっても無くても同じだから」

「記念日なんて無くしちゃおうよ」

「こんな共通概念いらないでしょ」

「それに、記念日を覚えてなきゃいけないなんてルール作るつもりもない」

「絶対に忘れないでなんて1度も言ってないから、無理に覚えようとしなくてもいいよ」

「約束されると期待しちゃうし、覚えてなかったら覚えてないで別に責めないから」


彼女は猛反対だった

「わざわざ無くさなくてもよくない?」

「もう忘れないからそれでいいじゃん」

「覚えようとしてるのに、どっちでもいいって言われると萎える」

私「そういうことを言ってるんじゃないんだけどな・・・」

彼女は私に合わせて
「記念日を覚えておくこともできるよ」
と言ってくれたけど

私は、自分にも彼女にも無理のない選択をしたかった

それに、私に合わせて
そうしなきゃって動くことにも違和感で
それは本当にしたいことなのかな?


どっちかに合わせたりするんじゃなく
擦り合わせるのも難しいなら
お互いがしたいようにしたらいいじゃん
で、話がようやくまとまった

覚えたいならそれでいいし
覚えてなくてももう怒ることもないし

もしも、2年目の記念日を迎えることがあれば
私は私の中で噛みしめるだけ


それを共有できたらうれしいけど
変に求めなければきっと今より心はラクだ

私ってこんなにも記念日を大切に思う人だったのだな、と自己理解が深まった

もちろん彼女も記念日を大事にしない人ではないのだけど
私との記念日は抜けていただけ
悲しいかなこれは事実だ

きっと、この先も、記念日が来るたび
今日のことを思い出す


記念日は、今2人が付き合ってることの原点

共通概念じゃなくても
自分の中には確かにあって

あの日があるから今があるし
今があるのはあの日があるから

私は、空っぽの日なんかにはできないよ

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