見出し画像

女ひとり旅 優しい挨拶と強い挨拶[マダガスカル旅行編ep.34]

「ニーハオ」
「ニーハオ」
「サラーマ(マダガスカル語のこんにちは)」
「ハロー」
「ニーハオ」
「ニーハオ」
少し歩くだけで、よく声を掛けられる。
最初は「こんにちは~」と日本語を返してみたものの、日本語のハローは通じない様子。
ここに来る東アジア人は、大体中国人なのだろう。

「ハロー」に対して「ハロー」を返すと「調子はどう?」と尋ねられる。
律儀に「私は元気です」と答えると自己紹介をされてしまう。
答えを誤ったかとまごついていると、今夜空いてる?と聞かれてしまう。
うーん。
律儀に返事するものの、考え物のようだ。

モロンダバで数日過ごして気付いたことは、純粋な挨拶と強い(攻撃的な)挨拶があるということだ。
声を掛けてくるのはほぼ男性のみで、女性からは挨拶、というか声掛けをされない。
女性にはこちらから挨拶すると、普通に挨拶してくれる。
東アジア人の一人歩きの女はなめられやすいのか、たまにからかわれたりして、ちょっとめんどくさい。

首都からモロンダバに来た小型飛行機はほぼ満席だった。
左右に2席ずつ、前から17列程あったから約70人が首都からモロンダバに同じ飛行機で来た事になる。
そのはずだが、到着初日のバオバブ並木でのサンセット以降、観光客とはほぼ出会わない。

ホテルや観光客向けのレストランでちらほら見かけたものの、街歩きをしている方は見かけなかった。
ツアーコンダクターに尋ねてみると、皆観光に行っているとのこと。
ツィンギーは雨季で季節的に行けないので、出かけるとしたらキリンディ森林保護区くらいだけれど、そんなにずっと森に籠るわけでもないはずだ。
皆どこで何をしているのだろうか。

長閑なモロンダバの町を昨日や一昨日と同じルートでゆっくり歩く。
市場で現地の人に混ざって食事をして、道沿いに立つ屋台でヨーグルトドリンクやバオバブのジュースを飲む。
何て言うことのない穏やかな時間に、不意に強い調子の挨拶を受ける。
仲間内で大笑いしたりして、アジア人の女を揶揄ってやったぜーとでも言っているのか。

強い挨拶はアウェーな気分を掻き立てる。
それ以上深追いされたりはしなかったので、こちらが静かに立ち去れば、無害なのだろう。

女ひとり旅で、優しい挨拶だけを受け取りたいというのは虫の良い話なんだろうな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?