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関東の建築アトリエ設計事務所で働いています。通勤時の読書や休日の建築散歩で日々考えたこ…

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関東の建築アトリエ設計事務所で働いています。通勤時の読書や休日の建築散歩で日々考えたことを書いています。

最近の記事

建築が生き物のように感じられる

 現代の建築にとって断熱材は欠かせないため、ほとんど全ての建築がまるで皮下脂肪のように断熱材を抱えているという例えは、建築を生き物のように捉えた愛着ある表現だと感じます。生活のほとんどを建築の中で生きている私たちにとって、建築は私たちを守るものとして最も直感的に認識され、アスファルトで覆われた地面ばかりを歩いていると、現代人にとって母なる大地はいつしか母なる建築に置き換わっているのではないかと思えてきます。それほど大地との感覚的な接触の体験が減っている気がしています。  と

    • 喜びの体験、建築の精神的な経験

      少し前、ヘミングウェイの老人と海を読みました。数日かけて少しずつ読み進めたのですが、本を読みながらうたた寝すると、夢のなかでわたしは老人と共に美しい海のうえに漂っていました。 静かな波の揺れ、船が軋む音、塩の匂い、頬にあたる海風の生々しい感覚や、ふと夜の深い闇に包まれて背筋が凍るような感じがしました。 彼の文章が描く明瞭で豊かなイメージによって、読み手はまるで自分もそこで対峙しているかのように、老人と海の力強い生を感じることができます。 そしてそれはわたしにとって喜びの体験

      • 秋、はじめるきっかけ

        こんにちは。 春に大学院を卒業し、アトリエ系設計事務所に入社して半年が経ちました。 最近はもうすっかり秋で、ごはんは美味しいし本を読むのも気持ちいいです。 さて、入社したアトリエはかなり成熟していて、無茶振りが少なく、日々の生活は想像していたよりもずっと単調です。 自分の成長も感じるし、仕事にやりがいはあるけれど、なにか物足りないと感じ、書き物を始めてみることにしました。 ずばりテーマは、建築の美意識やデザイン手法について自分中心的研究です。 これは普通科の高校を卒業

      建築が生き物のように感じられる