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何回点滅させるのが正解なの?

クルマを運転中の合流や車線変更などにハザードランプで「ありがとう」の意思を示す習慣(「サンキューハザード」と呼ばれる行為)は、とても日本らしい奥ゆかしさを感じる文化でとても好きだ。

それに引き換え、最近は右折レーンでウィンカーを出さずに右折しているクルマを見かけることが増えた気もするが、これも新たな日本のクルマ文化なのか?と思うと悲しい。

とても個人的な見解(そういう行為に遭遇した記憶を辿った個人的ランキング)では、ベンツGクラス、ポルシェカイエン、アルファードの順で多いかな。同意してくれる人も少なからず居る気がするけどね。

運転初心者の憧れる行為ベスト3があるとすれば「サンキューハザード」は「バックする時に半身を後ろに向けて腕を助手席に掛ける」と並んでトップを争うような気がする。加えてマニュアル車が当たり前の時代ならば、ここに「スムーズな坂道発進」というのも当然ランクインしてきただろうな。ほとんどのクルマがAT車となった今では、結構な角度の坂道でも後続車がそれほど車間距離を空けずにピタリと後ろにくっついて停まっている光景を目にするが、あれは「もし前のクルマがマニュアルだったら?」と一人で勝手に想像してちょっとヒヤヒヤしたりする。逆に交通量の多い渋滞した道でクルマ一台分以上の車間距離を空けて信号待ち停車しているクルマを見ると「お前のその車間距離が渋滞の原因だわ、バカタレ」と、これまた一人でプンスカしたりする。

必要以上の車間距離を空けることで、その道路に流入できる車両の数が減るため、その道路に合流する全ての道でも同様に車両の数が制限されることになる。結果、どこかで目詰まりが起こり渋滞が発生。個人的見解では車間距離を空けすぎているドライバーランキング、3位は仕事できなさそうな営業マン、2位はIT系かデイトレーダー系のダンナが買ったSUV(カイエン率がダントツ)を運転してる小柄な奥さん、1位はオバサン二人連れ(もしくは車内中オバサン)ですな。

ということで、ボクのドライバーズ心得講座を終えたところで本題に入ります。


おそらく今、日本の映画界で一番有望視されているであろう若手俳優の山田裕貴。そして、おそらく今、日本の「しもべぇ」界で一番有力視されているであろう中堅俳優の安田顕。

「過去に親子だった二人がダブル主演」(といってもボクは「なつぞら」観てなかったので知らなかったけど、ネットにやたら「元親子の二人」みたいな宣伝文句が出てくる。そういう煽りでしか宣伝できないような人間が映画ライターなんかやらない方がいい)、というようなことではなく、俳優としての山田裕貴、安田顕それぞれの才能(演技)が好きなボクとしてはこの組み合わせの作品は観てみたい、と思っていたところにたまたま試写を観られるチャンスが来た。

その映画が「ハザードランプ」。

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監督は榊英雄。窪塚洋介くんとドラゴンアッシュの古谷健志くんが主演した映画「アリーキャット」の監督さんだ(そう言われてみればタイトルのタイポグラフィーが「アリーキャット」に似ている)。

実在する運転代行業者「OK代行」という社名をそのまま使うリアリティーをフィクションで描き切る離れ業。

「こういうヤバそうな若造いるわ」というリアリティーをフィクションで演じ切る山田裕貴の離れ業。

「そうそう出くわさない立場」というフィクションの人生にごっそりリアリティーを持ち込む安田顕の演技力の離れ業。


怒り、悲しみ、切ない、割り切れない、やるせない、許せない。

そういう感情が引き起こす事件よりも、もっと「無」に近い感情というか、本当の虚無が引き連れてくる行動って、こういうことなのかな。


ラストシーンでのハザードランプが意味する感情は、もしかしたら「ありがとう」だったのかもな、と、ふと思った。


4/15から公開予定。

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