なんだろこれ

君はたぶん結局30までに死んだりなんかしないし仕事が落ち着いて貯金ができるまでは実家を出ないしご両親がやがてお年を召したら引き取って三世帯で同居したりなんかするんだと思う。結納とかもちゃんとするし披露宴とかもちゃんとするんだと思う、でき婚はしないんじゃないかな。

何が言いたいかってあたしもっと刹那的な暮らしがしたくておっぱいぼろんて出してすっぴんでタバコ吸ってねこかまけるみたいな暮らしがしたくて好きな人とそれがしたくてできれば昼からごろごろセックス未満のことしたりしなかったりしながら雨の音聞いてるみたいな。君とはそれはできないね。

あたしは君のそういうところ別に嫌いじゃないんだけどもう期待もしないっていうか変わらないだろうし別に悪いことじゃないしっていうかむしろたぶんいいところだと思う。堅実。普通。でもあたしはそれらと縁を切って生きていきたくてつまりあたしはいつまでも霞とか芸術とかそういうの食って生きていきたくてそのなかに君が訳知り顔でたらす現実(って君が呼んでるもの)のエッセンスが少々しんどく感じることもあるわけで。

うーんつまり結局あたしが君に飽きちゃったってことになるんだろうな、申し訳ないな、悲しいな、ずっとおとぎ話みたいに君を好きで好きでいられたらよかったのにね。

あたしは君を憎まないしと言って自分もたぶん憎まない、君を手放すことはほんとにほんとにつらい、さみしい、もうこんなふうに魂を共有できる人はおらんやろなって思う、なのにどうしてこんなに終わりばっかり見えちゃうんだろね。

君の現実的な人生設計にあたしの芸術的成功は組み込まれてない、でもあたしはそのことしか考えてへん、見てる未来が全然ちゃうやん、そんなんで手つないで歩いてけるはずなんかない、何であたしとおんなじもん見てくれんねや、ほんとにじれったい、君の思うこと言うこと考えること欲しいもの好きなもの嫌なもの全部知ってるけどそんなん何にもならんねんな。

最近君のことむかつくねん、なんでかなってわからんけどむかつく、ステキとか好きとかあんま思われへんねん、でも一緒にいるときはやっぱええなと思うからもっとずっと一緒にいてくれたらええのにいけずやな。なんであたしのこともっと夢中になってくれんの?ってたぶんあたしの方も君のことないがしろにしてるからやろね。あたしたちたぶんお互い自分の人生のこと考えなあかん時やからお互いのことないがしろにしあってんねん、お互い様やなのになんで相手のことだけこんなにむかつくんやろね。

あたしもっと安心したりドキドキしたりしたい、もっと求められたり崇められたりしたい、知らないこと知りたいの、キスもセックスも君が厭うほど悪いもんじゃないと思うねん、もちろんそれだけじゃあかんけど、それがなんか愛みたいなもん生み出すこともちゃんとあると思うねん。

もうあたしらセックスできんねんな。

せっかくあたしいまきれいで元気でぷるぷるやのにこんな老夫婦みたいなの正直いややねん、もっとドキドキしてたい、なんであたしらこんな兄弟みたいになってしもたんやろね。

なんか好きとかじゃなくていやもちろん好きなんやけど、人類の中でたぶん一番好きなんやけど、もうたぶん恋人じゃないねん家族やねんそうならんようにならんようにと思ってたのに結局なっちゃったね。

顔が好きやし考え方とかファッション好きやし幸せでいてほしいし大事、でもさあなんかもう先がない感じがすんねんどうしたらええんやろなんとかしてよねえ、なんとかしてよダメだよあたしたちこのままじゃ。


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本を買います。たまにおいしいものも食べます。