愛のこと、もらえなかった言葉とわたしが彷徨い続ける理由
大体あんたが悪いんじゃないの。
悪いって何が?
知らないけど、全部よ
全部って?
……ママの期待を裏切ったわ。
ママのために生きてるんじゃないもの。
でも、愛されたかった
そりゃそうだけど、もうあきらめたの。
本当に?
そうよ、もう大人だもの。それに何度も思い知ったものーーあの人がわたしのほしい言葉をくれたことなんて一度もなかったじゃない
それはあなたが伝えないからでしょ。
わかってくれないもの。くれなかったもの。……だからわたしは、欲しかった愛や、関心や、そういうものを他の人からもらおうとしたの
でも、もらえなかった
もらったわ。ーー少なくともあの子はそうしようとした。
本当に?
知らない。わからなかったもの
彼の言葉は足りなかった
そうね。わたしには足りなかった。彼はわたしの不安を和らげてはくれなかった。
わかり合えない人がひとり増えただけだわ。
でも、愛したのね。
途中まではね。でも、ダメだった
わたしたちはどうしたら良かったのかしら?
……さあね……わたしは、ただ、あの時、あの頃、母さんがわたしを追いかけてきてくれたら、抱きしめてくれたら、走ってきてくれたなら、今日こんなに不安なことも、寂しいことも、なかったんじゃないかと思うの。
あるいはあの頃、母さんと父さんが、もっとお互いを思いやってくれていたら……
それができるふたりだったなら、子供の前で毎日罵りあうこともなかったでしょうね。
別れてくれたら良かったのよ。
わたしを作ってしまう前に、お姉ちゃんを殺した時に。
人殺し!
人殺し!
人殺し!
「「そしてあなたたちはわたしを損なった」」
どんなに泣いて謝っても、わたしに向かって悔やんでも、わたしはもう欠けてしまったわ。
あなたの抱擁だけで、それひとつで、愛を無条件に信じることのできた時代は終わったの。愛の持っていた魔法は溶けてしまったの。あなたのくちづけが、呪いを解ける力を持っていた時代はねーー。
そしてわたしはこれからずっと、あなたからもらえなかった言葉を探して生きていく、ずっと泣きながら歩いてく。
ひとりで鼻をすすって歩いても、誰も来てくれなかった/来てくれやしないわ。
本を買います。たまにおいしいものも食べます。