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2023年12月のよんだ みた きいた

12月は、もう少しで休みだ、もう少しで休みだとカレンダーを一つずつ黒塗りするような気持ちで過ごした。新しい仕事の話をいくつかもらったり、決まったりしたことは嬉しかったが、一方で前にも後ろにも進んでいないような気持ちもしている。

恐ろしい速度で成長していく子供達に対して、自分が適切な行動が取れているか不安になることが多くなった。頭ごなしに怒鳴って叱ったところで、何の効果もないだろう。調べれば調べるほどどうしたら良いのかわからなくなる気がする。これが無知の知かぁ〜と呑気なことも思う。少しでも家族が穏やかに過ごせるように自分自身を使っていくしかない。

12月に触れたコンテンツは素晴らしいものが多かった。家庭と仕事に活かせるヒントのようなものがたくさん見つかった。自分の感受性を朗らかに育てる時間もちゃんと取りたい。

新年を迎えるといつも心が切り替わるような気持ちがあるが、新年早々さまざまな事象を目にし、心を痛めている。自分にできることをできる範囲でやりたい。

よんだ

「よんだ」のゆるルール
・初めて読んだ本であること
・最後まで読み通した本であること
・買った、借りた、紙、電子は気にしない

ライブラリー・リソース・ガイド/33号 みんなにとっての図書館(前編)
ライブラリー・リソース・ガイド/38号 みんなにとっての図書館(後編)

10月の図書館総合展でご一緒したargさんが、「先日の講演で関連がありそうな号を送ります」と機関誌LRGを送付してくださった。本当にありがとうございます。

内容はとても興味深く、公共における「みんな」って誰だ問題のヒントが見つかったよう。公共をもっと分解すると、図書館におけるみんな、公民館におけるみんな、社会福祉にとってのみんななど、小さく分けて考えることで答えが見えてくる。


難病の子どもと家族が教えてくれたこと/中嶋弓子

12月に素敵な出会いがあった。東京おでかけプロジェクトを主催する中嶋弓子さんとお話ししたことで、障害のある子どもを育てている自分にとっても、少し視野が広がったような気持ちになった。この本は中嶋さんの活動だけでなく、全国の福祉施設を運営されている人の声がたくさん載っているので勉強になる。

エッセイストのように生きる/松浦弥太郎

久しぶりに、と言ってはなんだけど、久しぶりに松浦さんの新刊をとても面白く読んだ。松浦さんの心根にあるオルタナティブなところ、強い芯のようなものがキレッキレに現れている。もちろん文章はやわらかい。ちゃんと奥まで届く。だが、想いはとても強い。

みた

「みた」のゆるルール
・初めて見た/観たコンテンツであること
・リアルorオンラインは気にしない
・映画、展示など広義の"みた"

バービー

多様な価値観を受け入れましょう、あるいは多様な価値観であることを認めましょう。というメッセージが複層構造で表現されている。ライアン・ゴズリングの軽さと悲しさがよかった。ラストのダンスシーンなんかは、ジャック・タチの「プレイタイム」を少しだけ思い返した。

アステロイド・シティ

ウェス・アンダーソンの作品は必ず観る。もちろん劇場で観たかったが、そんな余裕もなく、配信を待った。今まではビル・マーレイの枠がトム・ハンクスになっちゃったのかなと少し悲しい気持ちもしたが、"ウェス組"の俳優たちがたくさん出演していたので安心した。

内容はまあ、ウェス・アンダーソンっぽいな、という感じだが、現実と脚本が入れ子になっている構造は海辺のカフカみたいで好きだ。そしてここでもマーゴット・ロビーが出演。

花束みたいな恋をした

いま読んでいる「クリエイティブ・デモクラシー」という本のなかに登場したので、気になって視聴。そういったきっかけがなければ観なかっただろうなと思う。作中に出てくるポップカルチャーのあれこれが、自分の少し下の世代な感じがしてグッとくる。劇中で二人が観にいく映画はカウリスマキの「希望のかなた」だし。

まあ、でも、そうだなあ。そういう出会いと別れってありますよね。

PERFECT DAYS

大晦日に、妻から「観てきていいよ」と言ってもらえたので観てきた。1年間頑張ったご褒美のような時間。一人で休日に映画館に行けるなんて。

内容は素晴らしかった。というか、役所広司が素晴らしすぎる。佇まい、顔の表情、背景を感じさせる設定。途中の夢シーンがヴェンダースの年?を感じさせるというか、古いなぁという感じもしたが、全体的にはとても良かった。

こんなふうに生きていけたらとも思うが、社会との接点が限定的であることに、つらくなることもなくはないかも、とも思う。

いろんなことを感じさせる、考えさせるとても良い映画だった。劇中に流れる音楽が最高。金延幸子を初めて知った。

きいた

「きいた」のゆるルール
・初めて聞いた/聴いたコンテンツであること
・購入orサブスクは気にしない
・心が動き数回繰り返して聴いていること

oono yuuki band/GREENISH BLUE,BLUISH GREEN

うわ、と思った。oono yuukiだ、と。彼の音楽をよく聴いていたのは2010年くらいだった。スフィアンとかアーケイド・ファイアとかナショナルをよく聴いていた時期で、日本人でもこんな音楽ができるんだと驚きながら聴いていた。

あれから10年以上経ち、新譜を聴いてまた驚いた。とても素晴らしかった。ペンギン・カフェ・オーケストラが下地にあるというのも納得できた。繰り返されるフレージング、異なるリズムが重なる瞬間。高揚と継続。

いつかライブを観に行ってみたい。

Robin Saville/Lore

冬になるとmorr所属の音楽が聴きたくなる。超久しぶりにmorrのHPを見て、気になった音楽を適当に流していたらこのアルバムに出会った。アンビエントと静かなエレクトロニカはとても好みだ。ジャケットも素敵。年末に何度も聞き返した。

そういえば、このアルバムタイトルとoono yuuki bandの1曲目はどちらも「Lore」だ。あまり馴染みのない単語だが、どういう想いでつけたんだろう(どちらも)。

Styrofoam&The Go Find /Present the Empathy Exams

これもmorr。まさかまさか、Go Findも活動していたとは。大学生のときによく聴いていた。彼らの湿り気のあるエレクトロ・インディーポップがとても好きだった。30代後半になって聴いても、なかなか良い。styrofoamとの連名だが、どんなふうにつくったんだろう。

James Iha/Let It Come Down

年末に仕事納めをして外出するときに、何を聴こうか迷って、なぜかジェームス・イハと入力した。いままでスマパンも彼もあまり通ってこなかった。そして一聴してなんて素晴らしい音楽なんだと驚愕した。もっと前から聴いていればよかった。

マシュー・スウィートとファウンテンズ・オブ・ウェインを聴いていた頃の甘い気持ちが蘇った。晴れた年末にぴったりのドライブ・ミュージックだった。

ということで、2023年1月からはじめた「よんだみたきいた」を無事に1年間続けることができた。果たしてこれを読んでくれている人はいるのかと疑問に思うが、自分のなかではけっこう大切なルーティンになった。

2024年もたくさんの素晴らしいものに触れたい。そのためにも、世界がなるべく平和で、安心できる場であるように。自分の手が届く範囲でしっかり務めを果たしたい。

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