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Unite Tokyo 2019:雲丹亭神社とおみくじ【2010年代のUnityイベントマネージャー回顧録 vol.3】

今回は雲丹亭神社(うにてい神社)の話をしようと思います。雲丹亭神社ってなんやねんなんですが、Unityの技術カンファレンスイベント内に設置した面白コンテンツですね。

会場であるグランドニッコー東京 台場のホワイエに設置された神社

この神社は何なのかというと、参加者は1人1回、おみくじを引くことができるというものです。もちろん巫女服を着た巫女さんから、筒をブンブン振って棒が出てくるやつを渡されておみくじを引きます(イベントパスにパンチ穴を空けてカウント)。

当時のPR用ショート動画がまだ残っていて非常にわかりやすいです。

おみくじにはユニティ・テクノロジーズ・ジャパンスタッフによるありがたい「カイハツの心得」が書かれており、大吉から凶まで全48種類あるというものでした。

それぞれスタッフの記名入りで「カイハツの心得」という格言と説明が書いてある
おみくじ掛けも設置

神社なので「雲丹亭千社札ステッカー」「バグ除けのお守り」も販売。特にお守りは売れ行きも上々だった覚えがあります。

バグ除けのお守りは別の機会に作ったものをリバイバル販売。ちゃんとお祓いされている特注品

このイベント企画は僕が勝手に考えて、確かパワポでほぼ上の説明そのままの資料をつくって関係者に共有し、イベントコンテンツの1つとして仕込みました。いかにも2010年代のUnity Japan感が炸裂していて思い出深い企画の1つです。

この企画の狙い

馬鹿みたいなB級ネタですが一応ちゃんと狙いがあるんですよ!

この企画はツイートの増加と参加者同士のコミュニケーション促進を目的としていました。おみくじを引いたら吉凶とともに何かありがたそうな格言が書かれてるので思わずツイートしたくなる。他の人のツイートを見ると別の格言が書かれてる。格言はどれもゲーム開発に関するもので、Uniteに来る人なら皆さんご存知のUnity Japanの大前広樹さんとか高橋啓治郎さんの格言も(レア枠として)あるっちゅうわけなんですよ。そりゃあ仲間内で集まってコンプしようとするグループも出てくるってわけです。

青木ととさん達が20種類くらいまで集めてたのが一番多かったかな。48種類はさすがに無理っぽかったw

あと、Unity Japanのスタッフの方々はすごい人達ばかりで。イベントで毎回人気の講演者の方も多くいるし、参加者がそういう人達のメッセージをもらったら、どんな人なんだろうって気になったり、講演を見る時もちょっとワクワクするんじゃないかなとか考えてました。

実際のところTwitterですごく賑わってくれて、計測ツールでのインプレッションランキングの上位にも食い込んでくれました。会場の参加者同士でも話題にしてくれたんじゃないかなと思います。

イベント参加者が1人1つもらえる、他の人はどんなだろう?と思ってもらえるような仕掛けは前からやりたいなーと思っていて、この時うまくそれが実現できました。昔はゲーム開発者チップス(カード1枚入り)とか考えてたんですが、予算と手間がかかりすぎて即ボツでして。アプリで引くというのも考えましたが、やはり実物の紙で残るおみくじはいい体験かなと。

当時のチラシ。文章は僕が書いてデザイン会社の岩崎さんに作ってもらいました

また、会場内のフォトスポットもツイートのネタになるという考えがあり、鳥居は映えるのでたくさん写真に撮られました。かかった費用は人件費込みでトータル100万円弱くらいだったかな~。鳥居がいちばん高かったw

本当は48個引き出しのある木製の家具も欲しかったけど高かったのであきらめました。一方でおみくじは紙なので安価につくることができました。デザインも使いまわしですしね。紙はおみくじ用の和紙っぽいものを選びましたが、印刷代はさほどかからなかったです。発注先は忘れましたが業者さんはたくさんあるので簡単に見つかります。

思いついたきっかけ裏話

この企画の元ネタは、2019年に神田明神で開催された「鈴木敏夫とジブリ展」にあった「湯婆婆と銭婆の“開運・恋愛”おみくじ」です。

3メートルにも及ぶ巨大な「湯婆婆と銭婆」がさまざまな悩みにアドバイスする。おみくじには、鈴木さんが書き下ろした言葉と、それにまつわる解説付き。

出典:映画.com(https://eiga.com/news/20190419/12/)

まんまパクリやんけ!と言いたくなりますが、ゲーム開発者向けにつくられた48個の格言が書かれているおみくじを引けるのは(多分)世界で唯一、雲丹亭神社だけだったので許してください。

何かの記事かニュースで見たのですが、占いってすごく需要というか普遍的な人気があるんですよね。血液型占い、朝のニュースで流れてくる占い、動物占いとか……日本独特かな?

僕は占いを信じない方なんですが、それでも神社でおみくじを引いたら一喜一憂するし、ジブリ展でも湯婆婆の口に手を突っ込んでおみくじを引いてワクワクしました。このワクワク感はイベントで作り出せるんじゃないかな、というのがきっかけでした。鳥居立てて紙を刷ればいいわけですしね。

神田明神の帰り道でイベントの企画や予算感は頭の中でほぼ固まってまして、当時のUnity Japanの皆さんが僕のこのおバカなノリの企画に協力してくれて格言を48種類もつくることができました。

社長を務めておられた豊田さんにもぜひ1個書いてください!と頼みこんだんですけど、そこは笑ってスマートに辞退されてしまいましたw なんて言われたんだったかな~。ごめんなさい、スマートに辞退されたことだけは覚えてます。

もしあなたがイベントの運営関係者で、会場に鳥居を立てても許される立場にある方がいたら検討してみてください!

(記事協力:谷川 敬章)

<追記>
記事を書いてから知りましたが「鈴木敏夫とジブリ展」の復刻が2024年3~6月に横須賀で開催されるそうです。湯婆婆のおみくじもちゃんとありますねw


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