見出し画像

かわら版No.41 置賜自給圏推進機構・講演会を聴いて

日頃よりお読みいただきありがとうございます。

日本の農業が危機的状況にある。今回のシンポジウムでは、日本の農業の持続可能性とその状況がいま現在本当にシビアな状況であることは理解できました。また、この度の農村基本法改正は機能しない。講演者の見通しは極めて厳しいものでした。

皆さんご承知の通り、日本の人口減少は危機的な状況です。米沢においても2065年には38,000人の人口見通しです。現在の約半分です。農業従事者においても厳しい状況はもちろん変わりません。

講演の中で、私が一番着目したのは、以下の内容です。

今後、人口減少の加速化と国内経済の衰退が続くことを考えると、いわゆる農地転用への需要圧力は低下していくのではないか。むしろ、耕作者の確保ができなくなり、農地の流動化(集積・集約)が進まず、朽ち果てていく可能性が高いのではないか。 

→以上を踏まえると、まずやるべきことは、農業をはじめ農村における「職と所得」を確保することにあり、農業・農村部門への参入を促し、これを通じて優良な農地を確保することにつなげることはできないのか。つまり
— 農業のみならず非農業を含めた農村の振興を図ること
— それを担保する農地のみならず非農地を含めた総合的な土地利用制度を構築すること
ー それでも農地減少が止まらない場合の緊急措置として、必要な農地公有化を含む規制的手法の導入を検討すべきではないか

武本俊彦「食料・農業・農村基本法改正等の論点」(配布レジュメ)2024.3.31

講演をした武本俊彦さんによると、農地だけなく非農地、農業だけでなく非農業を含めた都市計画が肝心であるとのことでした。

私なりに結論を申し上げます。現在の課題は、つながる場の創造・構築にあります。いかに次につながる場を作ることができるか、それが一番大事です。それは農業だけでなくまちづくり全般の課題です。その中で、上記にあるように、農地だけなく非農地、必要と決断すれば大胆な公有化も選択肢に入れるべきだろうと思います。

その際に、地域の階層性の最も基層的な部分を構成する家(家族)とそれが属する地域コミュニティ(例えば小さい単位であれば町内会、大きい単位であれば基礎自治体)、さらにはプラットフォーム※のような新しい組織の在り方など、組織・共同体づくりをどのような単位や性質のものにしていくのか、とても重要なポイントになろうかと思います。

※プラットフォームは、一般的には、ネットワークを通じた主体間の相互作用を活性化し、 情報と知識の蓄積を促進するような「場」のこと。と言われたりしますが、共通の目的を持った個性豊かな様々な立場の参加者が地域内外から集えるという点では、新しい地域の組織の在り方として、地域コミュニティとして又はその近接した在り方として研究し注目できるものであると思います。

今後私たちは、私たちの地域において食と農とエネルギーをどのように確保していくのか、小さな取組(例えば、町内会の空き地を利用した共同農園)であっても大きな取組(例えば、基礎自治体の再生エネルギー事業)であっても、やってみながら学ぶこと(learnig by doing)が大切です。引き続き地域における食と農とエネルギー政策をより具体的に解像度を上げて考えていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

かわら版No.41


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?