3:40

夜。
部屋の明かりを消したあと。
ぼんやり光る蛍光灯を見つめながら、妙に冴えた頭で真っ暗な空間に意識を飛ばして。
泳ぐように部屋の中を一周したあと、ちゃんと私の中に戻ってくるそれ。

だんだんと目が慣れてきた。すると、姿見がなんだか光っているように見えて、なんとなく目をそらした。
もう一度真上を見ると、ぼんやりな蛍光灯の手前で、さっきまではなかった紐がゆらゆら揺れている。


隣から寝息が聞こえてきた。
うらやましい。
この時間、せつないから。
早く、私も意識を失いたいのに。
また真っ暗な空間を泳がせてる、のに戻ってくる。
戻ってこなくていいのに。

窓の外のほうが明るいような気がして、なんとなく外を見たくなって、起き上がってカーテンを開けた。
月を期待していたのに、見えなかった。
代わりに遠くの信号機が黄色くなって、赤くなった。
同時に息をとめてみた。
青になるまで。
息をとめたまま窓ガラスに顔を近づける。
触れていないのに冷たい。

苦しくなるより先に信号機は青になってしまった。
苦しみたかったな、なんとなくそんな気分だった。
カーテンは開けたままベッドに戻ると、私のスペースが狭くなっていた。
いびきまでかいていて、ちょっといらついたので足の裏をくすぐるといびきが止んだ。
これは発見だ。


狭いベッドに仰向けに横たわる。
この部屋こんなに暗かったっけ?
今までこんなところで寝ていたの?
まるで初めての夜のような感覚。
復活したいびきにチョップをかまし、寝返りを打ったら隣の腕が被さってきた。
あ。
この場所、知ってる。


そのあとの記憶はない。