見出し画像

ブレストはアイデアをひきだす脳内スパークー「ブレスト筋」をきたえよう

※本記事は、2017年11月に書かれた↓の記事のリライトになります


こんにちは。ランサーズの曽根(@hsonetty)です。「そねせん」シリーズの第8回目です。ビジネス・ノウハウ編も、問題解決、プレゼンに続き中盤にさしかかってきました。

今回のテーマは「ブレスト」=ブレインストーミングです。プレゼンと同様、皆さんもビジネス上で少なくとも一度や二度はやったことがあるのではないかと思います。

でも、のちほど出てくる、ファシリテーションやホワイトボードとなると話は別。やったこと・使ったことがない方もいたりするのでは?未体験の方も、体験済みの方も、楽しい楽しいブレストの世界にさらに足を深く踏み入れていただくべく、ぜひご一読ください!


1. ブレストの極意=批判しない

イノベーションの重要性が説かれるようになって久しいですが、イノベーションという用語を定義したのは経済学者のシュンペーター。彼によれば、イノベーションとは「新結合」であるとのこと。

スティーブ・ジョブスの”Connecting the Dots”ではないですが、思いもしない組み合わせによって生まれる新しいアイデアがイノベーションにつながるのは気持ちいいですよね。

新結合たるイノベーションを生み出すプロセスを体系化したのが、いわゆる「デザインシンキング」の領域。世界的なデザインファームであるIDEOの『発想する会社!』が話題になったのが2002年ですから、なんだかんだずいぶんと言われ続けてますよね。

直近では2015年くらいから、マッキンゼーやBCGのような戦略ファームによるデザインファーム買収の動きが加速してきているのを見ても、世の中に価値を提供するうえで、デザインやテクノロジーがますます重要になってきているのだな、と感じます。

↑にて紹介しているIDEOの著書の中の「究極のブレインストーミング」という章において、よりよいブレストのための7つの秘訣や、ブレストを台無しにする6つの要素、が紹介されています。

画像1

ぼくもブレストが大好物なタイプなんですが、ブレストするときに特に気をつけているのは、「アイデアを数える」ということ、「ばかげたものを否定」しないということです。

とにかくたくさんアイデアを出す。時間を区切ってアイデアを出すかにコミットする。(=「いまから〇〇について30分で100個のアイデアを出そう!」)

どんなアイデアでもいい。ブレストの最中に批判は絶対にしない。(=「△△という前提では?」「××と同じこといってない?」「□□は現実的に無理でしょ?」などといったコメントは禁止)

「ブレインストーミング」は日本語にすると「脳内嵐」ということになりますが、ぼくの感覚的には「脳内荒らし」に近い感じかな、と。僕としてはよく「脳内スパーク」と呼んだりしてます。

筋トレを重ねることで腹筋が6パックに割れていくのと同じように、脳内でも筋トレをしまくって、ぜひ皆さんも脳ミソに火花を散らしましょう。


2. ファシリテーターがブレストの成否をわける

このブレインストーミングを成功させるうえで、ファシリテーターの役割はとても重要です。重要というか、ブレストの成否を決めるのはほぼこのファシリテーターである、といっても過言ではありません。

たとえば、今から「次世代の名刺のあり方」についてのアイデアブレストをやるとします。参加人数は6人としましょう(個人的には、6人以内がブレストにとってベストと思っています)。

さあ、「今から議論始めよう」となってふと周りを見渡すと、みんながじっと自分のことを見ている。「え?自分?」そうです。あなたがファシリテーター、いうなれば仕切り役です。

おもむろに席を立ちあがり、ホワイトボードの前にとりあえず立つ・・・さあ、皆さんならどのようにこのブレストを仕切りますか?

ぼくがブレストをファシリテートするときに、アイデアがたくさん出るような場の空気をつくるためにいつも気をつけていることは以下のようなものです。

▼最初にルールを明確にする:当たり前のように思えてないがしろにされがちなのがこれ。たいていの人が、1つのアイデアについて説明しすぎたり、ばかげたアイデアを出すのを躊躇したりするので、最初にルールを明示することが大事。
参加者の意識を集中させる:「脳内スパーク」をおこすためには、参加者のその場への100%の集中が必要。スマホ・PCは閉じて、場合によってはあえて「いま〇〇が気になってます(がこれから集中します)」と宣言してもらったり、いちど椅子から立つなどして体を動かしてもらったりする。
よい質問で議論を加速させる:アイデアがある程度出てきてから、ふと議論が硬直する時があります。そんな時に、前提条件を変えて別のアイデアをうながしたり、小さなバリエーションを持ち出したりして議論のギアを変えることが重要。「△△みたいな切り口で考えてみてはどうですかね?」「××以外の方法ってあるんですかね?」など。
制限時間を利用して参加者を煽る:「アイデアを数える」ことが重要と書きましたが、まさにその効果は終盤に現れてきます。アイデアの数がホワイトボードや模造紙などの密度になってあらわれてくる中で「最後あと5分でアイデア10個出しきりましょう!」というような「煽り」をいれて、参加者チームラストスパートをします。

どうでしょうか?そもそもファシリテートなんてやったことがない・やりたいとは思わない、という方もいるかもしれません。

が、アイデアをたくさん引き出すことのできるファシリテーターの存在は本当に貴重です。感覚的には、オーケストラの指揮者みたいなものでしょうか。ぜひ勇気をもってその役を買ってでてみましょう。


3. ホワイトボードドリブンはエンタメ

ブレストをするときに欠かせないのがホワイトボード。

模造紙や付箋などを併用するケースもあるかと思いますが、ぼくの経験上、ブレストするうえでベストなのは、壁一面がホワイトボード化されているような状況です。ランサーズでも、いつでも議論できるようにすべての会議室の壁はホワイトボード化(もしくはブルーボード化)されています。

このホワイトボードに、並々ならぬ情熱と執着を見せるランサーズCTOの横井をぜひ紹介したいと思います。

彼曰く、ホワイトボードドリブンは「サービスでありエンターテインメント」であるとのことです。

たしかに、シンプルな図形を使いながらたくみにしゃべりながらノールックで描く彼のホワイトボードドリブンな議論に進め方は、社内でも一種サービス化しているところがあります。

ランサーズの経営会議でも「ホワイトボードドリブン」は会議wayのひとつとして明文化されていますが、あらためて、なぜホワイトボードドリブンなのか。これを要素分解すると以下のようになると思います。

参加者の意識が同じ方向に向く:単純ですがこれ実は重要。参加者同士が向き合う円型やコの字型の席配置だとどうしても他人への攻撃や批判が出がち。参加者がみなホワイトボードに意識を集中する弓形・円弧型の配置になると、不思議と人ではなくコトに向かうことができるようになります。
リアルタイム・ライブ感がます:前回のプレゼンで紹介したメラビアンの法則でも視覚情報が重要といいましたが、アイデアがどんどんビジュアル的にアウトプットとして見えるようになってくるのは、単純に参加者の気持ちをワクワクさせます。ビジネスにおける即興芸術、音楽でいうとジャズみたいな感じですね。
納得感があり合意形成が得やすい:ホワイトボードの前のブレストではみな平等。同じルールのもとみんなで議論したものが可視化されて、その中でアイデアや方向性がかたまっていくので、「あれ?結局どういう結論なんだっけ?」とか「いや、私の意図はそうじゃない」といったような議論が起こりにくくなります。

「ホワイトボードドリブン」は参加者の一体感をつくってアウトプットを演出するという点において、たしかに、ビジネス上のある種のエンターテインメントなのかもしれませんね。


今回のポイント

というわけで今回のまとめです。

画像2

最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。いろいろ書きましたが、本当に伝えたいのは、「ブレストはとにかく楽しい!」ということと、「ブレスト筋を鍛えましょう!」ということです。

新しいアイデアを出すために、ときに場所や時間を変えて転地効果をはかってブレストするのもいいですが、やはり、日々のビジネスシーンの中にブレストを組み込み、ぜひ日常的な習慣にしてみることをオススメします。


また、ここまで読んでくださった方で、まだフォローいただいていない方は、良ければぜひフォローしてください!


本連載シリーズのまとめスライドはこちら↓


本連載シリーズの記事一覧はこちら↓



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?