効率的な決算短信の読み方【忙しい兼業投資家向け】
投資家にとって決算を分析することは、銘柄の本質的価値を見抜いて割安な株を買い、割高な株を売るために非常に重要です。今回はその決算分析で私が実際に行っている「決算短信」の分析手法を解説します。
■なぜ決算短信が大事なのか
決算短信とは、企業の決算発表の内容をまとめた書類のことです。
企業の決算結果などを早く投資家へ知らせるためにすべての上場企業が作成します。なので決算短信の分析手法を身に着けると、理論上すべての企業の決算を分析できることになります。
■効率的な決算短信の読み方
まずは決算短信を見ていきましょう。
はい。どこを見ればいいのか分からない。という方がほとんどだと思います。
でも大丈夫です。見るべきポイントは限られています。投資手法によりますが、私の場合は基本的に3つのみ確認します。
①配当と業績予想の修正の有無
私の場合、決算短信を開いたら配当と業績予想の「修正の有無」を確認します。「有」か「無」なので、確認するのは漢字一文字だけです。
ここでもし「有」であれば短信と同時に開示される配当や業績修正に関する資料を確認します。そこで修正率や修正の理由を確認します。
配当の増減や業績の修正は株価を大きく動かします。なので私はまずその有無を確認するようにしています。
②定性的情報
つぎに、定性的情報(数値では表現できない情報)を見に行きます。
大体3ページ目から掲載されています。
ここでは「ビジネスの状況や会社が保有する資産や借金の情報」が言葉で説明されます。
ビジネスの状況などが説明されているので、投資したシナリオが崩れていないかどうかをチェックします。
③B/SとP/Lを確認して理論株価を計算
つぎに理論株価を計算するためにB/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)を確認します。
B/Sとは、会社のお財布事情のことで、持っている資産や借金の状態が分かります。
P/Lとは、会社の収益と費用をまとめたもので、いくら稼いだのか、いくら経費等として使ったのかが分かります。
理論株価の計算方法はここでは省略しますが、ここで定量的に「会社の本質的な価値(理論株価)」を計算します。ここで今の株価が理論株価に近付いていれば売却の判断となります。
理論株価が計算できない人は、借金が急増していないか、在庫(棚卸資産)が増えていないかなどをチェックすれば良いと思います。
■短信では確認できない情報
①四半期単体の業績
決算をみる投資家は「この3カ月の業績はどうだったのか」を確認したいものと思います。
ではなぜ最初に決算短信の業績の数値を見ないのかというと、短信はそれまでの決算の数値も含んで計算されてしまっているからです(3Q決算なら1と2Qの業績を含めて出てしまう)。
なので私はマネックス証券の銘柄スカウターを使って補完するようにしています。銘柄スカウターなら四半期単体の数値を抜き出して表示してくれます。
②業績の進捗率
企業は「1年間これぐらい稼ぎそうです」と業績予想をだします。それに対して各決算ごとに「何%くらい進んでいるのか」というのは非常に重要です。
進捗が良ければ業績予想の上方修正や、増配の可能性が高くなります。ただし進捗率は決算短信に表示されないので、本来なら自分で計算する必要があります。なのでこれも銘柄スカウターを使って確認しています。
■さいごに
決算短信は全ての上場企業が開示し、様式もほぼ統一されている決算資料です。これが読めれば企業の状況をある程度分析することができます。
何となく決算資料を読んでいる方も多いと思いますが、「ここを見る」というのを事前に決めておけば時短にもなります。特に忙しい兼業投資家には必要なスキルだと思います。
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