当たり前の言葉の力

「おかえりなさい」
当たり前だと思ってた言葉が
当たり前じゃなくなって

「疲れた····」
たまに出ていた言葉が
口癖のようになっていて

気づけば
「行ってきます」
も遠くへ行って
暗いアパートの一室で
布団に包まり
このまま天井の闇に吸い込まれれば
そんなことを思っていたときに
光るスマホに母の名前。

「元気かい?」
この一言に我に返り

私はすべて投げ出して
故郷への切符片手に飛び出した

「ただいま!」
たまの言葉に救われたくて
たまになった言葉を伝えたくて

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