YouTube再生回数で言うと「顔ドン」がトップを走っていますが、「名曲」という括りで見れば眉村さん曲の中では「大丈夫」となるのではないでしょうか。そして間違いなく名曲です。

「ゴッドタン」で誕生

テレビ番組「ゴッドタン」で吉田豪氏に紹介され、即興曲「ゲロ」で爪痕を残した眉村さんが、冠コーナー「スナック眉村ちあき」に出演したのは2018年9月30日。フルーツポンチ村上や品川祐の悩みを聞いた眉村さんが、即興で歌ったのが「大丈夫」の原曲です。芸人の悩みと、ライブでの自身の思いをクロスオーバーさせた歌は、MCのおぎやはぎの2人の涙腺をも緩ませます。公式の動画はなさそうなのでリンクしませんが、こっそり検索してみてください。因みにこの回はブレイク直前のEXITも出演しており、かねちーも名言を残しています。

この辺りの眉村さん本人の心情は、眉村さん自身のコロム（コラム）に記されているので、読んでみてください。

「大丈夫」は、ライブを通して曲として完成していきます。ファンカムのライブ動画でその辺は追えると思います。

アルバム「めじゃめじゃもんじゃ 」にも収録され、その後代表曲となっていく「大丈夫」ですが、コロムでも言及されているように、この曲に共感できない、或いはこの曲嫌いとまで感じる時期が眉村さんにはあったようです。個人的に眉村さんのライブに行くようになったのはこの頃なんですが、ライブでも敢えて歌わなかったり、複雑な思いが感じられました。

「ナマステ・インディア」

2019年9月28日、眉村さんは代々木公園で行われた「ナマステ・インディア」のステージに登場します。過去のイベント、基本的にはインドの食や文化を紹介するもので、美味しいカレーやタンドリーチキンが食べられます。ステージでもインド関連の舞踊や楽曲がメインで、弾き語りトラックメイカーアイドル眉村さんだけが異質でした。会場も多国籍感がありアウェイな雰囲気。おそらく後の海外進出の小手調べと、「インドのりんこ屋さん」つながりくらいだったのではないでしょうか。それでも例によって初見のお客さんであろうか外国の方であろうが、巻き込んでいくのか眉村さんの流儀。この日のライブも盛り上がり、最後に歌ったのが「大丈夫」でした。途中からギターを下ろし、ステージから客席に下り、曲を聴くひとりひとりの目を見ながら歌い上げる姿。「今ここにいる私は少なくともすごく楽しかったよ」と語りかけ、最後にもう一度「楽しかったよ」と呼びかけた時、会場全体から歓声が上がりました。人種や国籍年齢関係なく、そこにいる人を音楽で一つにまとめあげた眉村さん。今でもこの時の一体感が忘れられません。

「ナマステ・インディア」もファンカムが上がっていますので、検索してみてください。この頃からラストで「楽しかったよ」をリフレインすることが多くなりました。あまり共感ができなかったという「大丈夫」を信頼し、さらに曲を進化させたように思います。

「Love music」

もうひとつの「大丈夫」のベストパフォーマンスは、2020年3月30日の「Love music」出演時のものでしょうか。新型コロナウイルス感染症が突如として世界を襲い、ほとんどのライブが中止となっていたこの時期、この日の放送は急遽出演者が生放送で一曲ずつ歌うという形でした。確かCreepy Nutsとか、MOROHAとかも力のこもったパフォーマンスを見せてくれていたと思います。眉村さんはラスト前に登場しましたが、曲前MCから涙声でした。眉村さん自身ライブツアーは中止となり、ファンの前で演奏できないという、ミュージシャンにとっては最悪の時期だったと思います。この日の「大丈夫」は、怒り、悔しさをぶつけながらも、歌声はきっと届くという、音楽を信じる気持ちがバンバンに詰まった名演でした。泣きながらも最後まで歌い切る姿に、テレビの前でだだ泣きしてしたことを覚えています。「いらない針は全部抜いてあげよう」という、「癒し」の曲としての「大丈夫」がコロナ禍に響きました。

因みに眉村さんの握った拳まで余すことなく捉えたワンカメのカメラワークも秀逸です。公式ではないのでリンクしませんが、探してみてください。

ライブパフォーマンス

ライブでの「大丈夫」のパフォーマンスを貼っておきます。「大丈夫」だけでなく、眉村さんの楽曲はMVや音源でも最高なのですが、ライブパフォーマンスは一味も二味も違います。興味を持たれた方がいましたら、是非ライブにも足を運んでみてください。

参考