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BACH ー 加藤訓子ソロリサイタル


BACH ー 無伴奏マリンバの演奏会


昨年に引き続き、マリンバ奏者・アーティストの加藤訓子さんの演奏会のデザインを担当させていただきました。

10年ほど前に、エストニアの古い教会で演奏されたことが、マリンバでバッハの演奏をするきっかけとなったのだそうです。

メイン・ヴィジュアルのセンターに配置した円と円の重なりは「ヴェシカ・パイシス」という幾何学模様で、原初の光、ものとものの間に生まれる神聖な空間を意味するそうですが、

バッハの音楽を、マリンバのあたたかい音で奏でられている空間に身をおくと、そのひとつひとつの粒と粒のあいだに、確かにそのようなえもいわれぬ調和の感覚がうまれ続けているのを感じられるのではないかと思います。


来週3/5(火)19時より

会場は京浜東北線鶴見駅下車すぐの響きの美しいサルビアホールです。


以下は訓子さんご自身がバッハを演奏することになった経緯を記された文章で、そのプロセスから伝わるものがとても美しいので転載します。

「バッハ無伴奏マリンバの為の作品集」は、エストニア・タルトにあるヤンニ教会との出会いに始まりました。

2013年「カントゥス」を記念してアルヴォ・ペルトの生まれたエストニアに呼ばれ、演奏したのが13世紀の古い土の香りのする煉瓦造りの教会、ヤンニ教会です。

シンプルで飾り気がなく、壁の両脇の上部には埴輪のようなテラコッタが埋め込まれ、祭壇には小さな20センチほどのイエス様があるだけです。半分は戦争で壊されてしまったであろう修復の痕もあり、何故か天井が木で平になっていました。そこで音を出した瞬間、「なんと幸せな音であろうか」と感じると同時に、客席側ではマリンバの減衰してゆく音が綺麗に長くつながってゆきます。

演奏後「ここで何かを残したい」「もっとここで演奏したい、ずっとここでマリンバを弾いていたい」そんな気持ちが止まず、教会に申し入れをし、レコーディング実現の運びとなりました。そこからバッハを弾くことを決め、何がマリンバに合うか?従来のマリンバのサウンドを越えるべく、どんな表現の可能性があるかを念頭に、無伴奏チェロ組曲から1・3・5番、そして無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータからソナタ全曲を選び、一音一音に魂を込めて仕上げて行きました。

それは大きな岩壁を登って行くが如く膨大な時間との戦い、バッハの時代になかったマリンバという楽器における表現の未知なる境地へ向かって、そして自分自身への限界へのチャレンジでもありました。

延べ1ヶ月を越える滞在の中、毎日夕方4時に教会の鍵を受け取ってから朝5〜6時まで、毎日来る日も来る日もバッハを弾き続ける、苦しさもありながらこんなに幸せな時間はありませんでした。

こうしてできあがった全33トラック、157分に及ぶ「無伴奏マリンバのための作品集」から今回のために選りすぐった作品を皆さまにお聴きいただきたいと思います。


加藤訓子ソロリサイタル  BACH
2024.3.5(火) 19:00開演

詳細は以下のリンクからご覧いただけます

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