藤沢

藤沢駅を30年ぶりに訪れる。相模湾の海をみるには起点となる駅。

前回降りたのは、つい最近のことのように思うが、
1980年代の後半、藤沢市民会館で行われた、
シノーポリ/フィルハーモニアoによる演奏会に出かけた時だった。
京王線から小田急に乗り継ぎ、かなり時間を要した記憶がある。
シューマンの第二交響曲はオーケストラは違うが、
DGへの録音とほぼ同じ解釈で、それを実演できいたという印象。
そして、この日、演奏されたもう1曲は、ブラームスの第一交響曲。
この指揮者による公式録音はない。
今日みてもかなり珍しいレパートリーだと思う。
これは、通常の演奏が表出する、ある種の達成感や、成就とはほど遠い、
複雑な余韻を残す演奏だった。

ほぼ同時期にシノーポリが録音したワーグナー『タンホイザー』全曲から
序曲をきいてみると、高揚感があまりない。
〈天駆ける〉などという趣ではなく、羽はあっても、加重で押しつぶされ、どこか地を這うような音楽。それと通底するようなブラームスだった。

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