園ひさや

駄文作家/週に2~3回投稿出来たらエライ/SF,不思議,ショートショート/

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最近の記事

『夢の中の記憶』ショートショート

夢の中に公園が出てきた。 その公園は学生の頃、片思いだったクラスの女の子と、よく喋った思い出の地だ。 いつも女の子は、公園のベンチに座りながら読書をしていた。何十年も前の話だ。 久しぶりに行ってみようと、公園へ向かった。 すると、あの頃のようにベンチに座る買い物帰りの妻がいた。 学生の頃のように、妻に話しかけた。 園ひさや

    • 『秘境』ショートショート

      私は秘境にやってきた。 なんでもそこには、外の世界とは完全に遮断されている原住民が暮らしているらしい。 どれどれ、いたいた。 彼らはなんとも不思議な様相だ。 言語も違うので、意思疎通は図れない。 彼らは独自の文化を形成している様だ。 何やら鉄の箱で運ばれるている。 そして、小さな箱に向かって何か手を動かしている。 そんな事を8時間あるいはそれ以上やっている。 しかも、彼らは週に5日も、それらを行うらしい。 それが此処のルールみたいだ。 どおりで文明も遅れ

      • 『答えの先』ショートショート

        「あそこのレストラン美味しいのかな?」 「ちょっとネットで評価見てみようよ」 --- 「この映画って観る価値あんのかな、どれレビュー評価は」 --- 「どうしたら、この事業は軌道にのりますか?」 「私の起業成功本を読めば、たちまち成功します」 --- 「私は今後、どんな人生を生きればいいですか?」 「答えは自分で見つけるべきだよ」 園ひさや

        • 『逃げ道』ショートショート

          俺は、”俺が創りたい物”を創るだけだ。 大衆に迎合した物なんか創らねぇ。 そうして俺は、今年も落選した。 園ひさや

        『夢の中の記憶』ショートショート

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        • ショートショート
          16本
        • レトロ街
          1本
        • 独り言
          2本
        • 写真小説
          1本

        記事

          『例え話』ショートショート

          地球に一機の宇宙船が降り立った。 人々は恐怖心と共に、それ以上の好奇心を持ちながら、宇宙船から出てくるであろう生物を今か今かと待っていた。 宇宙船の扉が上へと開き、見るからに宇宙人といった形状の生き物が二人出てきた。 地球人を代表して、大学で宇宙学を研究する教授が接触を試みた。 「どうも、遠路はるばるご足労いただきましてご苦労様です、私たちはあなた方を歓迎いたします」 何を考えているか分からない宇宙人を怒らせてはならぬと、教授は下手に出た。 「我々ハ、惑星ノ調査ノタメニ

          『例え話』ショートショート

          浜松に存在した遊郭の跡地に行ったら、隣の隣の市まで行くことになった件

          どうも、こんにちは段々寒くなり、駅のホームで電車を待っているのがキツイ季節になってきました。 そんな季節を過ごしていると、遊郭跡地に行きたくなるものです。 遊郭といえば、東は吉原、西は飛田と有名どころはありますが、地方にも小さいながら遊郭は存在しました。 そこで今回は、日本2位の面積(1位は岐阜県高山市)をもつ政令指定都市”浜松”に存在した二葉遊郭の跡地に向かうことにしました。 駅から徒歩20分早速、向かった浜松駅。 日曜日ということもあり、多くの人が行き交っている。

          浜松に存在した遊郭の跡地に行ったら、隣の隣の市まで行くことになった件

          『何年後?』ショートショート

          「きゃー!」 女性の叫び声が聞こえ、A男は直ぐに聞こえた方を振り返った。 女性の前には露出した男が立っているではないか。 A男は露出魔に駆け寄り、すぐさま取り押さえた。 2年前から習っている護身術の成果が発揮できて、内心嬉しかった。 「お前、なにやってんだ!警察呼ぶからな!」 A男は押さえながら露出魔に言った。 露出魔は何も言わず、A男の力に抵抗した。 「すいません、そこの貴方」 A男は通りかかったサラリーマンに110番をするようお願いした。 サラリーマンはすぐに電話

          『何年後?』ショートショート

          堕落こそ人間

          どうも最近、やる気が起きない。 Youtubeはすぐに見てしまうし、仕事も集中して出来ない。 そしてそんな時にツイッターを見ると、インフルエンサーの方々が朝活だの毎日継続だの自分がどれだけ活動していないかを気づかせてくれる呟きをしている。 そして「あぁ、俺はダメな人間だ」と悲観してしまう。 ここ毎日、これが一回以上ある。 これは、精神的に良くないと思い、肯定することにした。 堕落こそ人間だと。 人間は継続するのが苦手な人間だ。早起きだって嫌だし、努力だって嫌いだ。

          堕落こそ人間

          何かに縋る(すがる)ことが大事

          生きる上で趣味、仕事、目的、こういった事が人の精神を正常に保っているとここ最近感じた。 私自身はこうやって文章を書く事とツーリングを趣味にし、それを楽しみに生きている。 仕事は楽しくない。 だが、趣味も楽しくない仕事も全てひっくるめて、生きていく上では大事だ。 詳しく言うと、そういった物に縋る事が大事だ。 人は何かに縋っていないと、生きる意味を無駄に考え、何も意味がないと感じ、精神に異常をきたす。 私もそれを経験した。 私が形骸化した日2020年、私はカナダへワーホ

          何かに縋る(すがる)ことが大事

          写真小説『一日一本のバス停』

          写真小説とは 一枚の写真から連想して、綴られた小説です。 山の中に一軒だけ民家があった。 そこにはお婆さんが一人で住んでおり、毎週木曜日に街の病院に通院していた。 いつもタクシーを呼んで、病院に行っていたが、料金が馬鹿にならず、年金暮らしでは通院するのが難しかった。 そこでお婆さんはバス会社に家の近くにバス停を設置してほしいと嘆願書を出した。 バス会社は熟考の末、バス停を設置することにした。 お婆さんは大変喜び、毎週木曜日はバス停の前でバスを待った。 一年が経った木

          写真小説『一日一本のバス停』

          『バランス』ショートショート

          私は常にバランスを保っている。 手提げかばんを右手で持ち、10分歩いたら、左手でも10分持ちながら歩く。 出勤にバスを使ったら、帰りは歩いて帰る。 足の右小指をタンスにぶつけたら、左小指もぶつける。 変わっているが、こうしないと気が済まない。 今日はバランスを保つために、自殺する。 逆上して妻を殺してしまった。 園ひさや

          『バランス』ショートショート

          『違法の冷蔵庫』ショートショート

          「この冷蔵庫は絶対にお売りする事はできません」 そう言われたら、理由を知りたくなるのが当たり前だ。 しかし、店員は一向に理由を教えてくれない。 「どうしてだ?」 僕は少し怒った声で聞いた。 すると店員は 「お教えする事はできません、しかしこの冷蔵庫を使ってみたら理由はご理解できると思います」 と言った。 そこから、店員はこの冷蔵庫を家で使ってみてくださいと1日だけウチに冷蔵庫を貸してくれることになった。 貸すとは言っても、一応保証金として冷蔵庫の売値を返却後に返すと

          『違法の冷蔵庫』ショートショート

          『空飛ぶストレート』ショートショート

          僕の家の近くには、飛行場がある。 そのせいで、毎日飛行機が空の中をまっすぐ飛んでいる。 ある日、飛行機が誰かの家に落ちたんだ。 人が死んだって、ママが言ってた。 その次の日から落ちたはずの飛行機が空をまっすぐに飛んでいるのを沢山の人が見たって噂になってる。 僕もその飛行機を見かけるから、いつも手を合わせてる。 今日も空を飛んでいるのを見た。 だけど、何故か自分も空にいたんだ。 びっくりした僕は、そのまま僕の家に泳ぐみたいに飛んで行ったんだ。 僕の家は...。

          『空飛ぶストレート』ショートショート

          『失恋数学』ショートショート

          今回のテストは赤点ばかりだ。 だけど、数学は98点を取れた。 でも駄目だ。 アイツとの約束は満点だから。 この約束も今回で5回目。 いつになったらアイツと付き合えるんだろう。 俺はいつもフラれっぱなし。 満点が取れないと、アイツはいつも俺の事をからかう。 そして、俺は今度こそと息を巻く。 アイツはそれを見て笑う。 それを見て、俺も笑う。 この時間が1番幸せだったと気付いたのは、アイツと結婚してからだなんてな。 195文字

          『失恋数学』ショートショート

          『バナナに教えられたこと』ショートショート

          「テレビを見た」 Bは興奮しながら言った。 「何言ってるんだ?テレビはもう違法になっただろ」 「A、本当なんだよ、そこのカフェにあったんだよ」 現実と幻想を混沌させるとして、テレビを見ることを禁じられてから20年。 テレビが世に出回る事はなくなり、放送局も解体した。 「じゃあ、どんな番組がやっていたんだよ」 「料理番組だ、それも古いやつだ」 「録画していたものか?」 「多分、そうだ」 話を聞くと、バナナを使ったパウンドケーキの作り方らしい。 (そう言えば、小さい頃のお

          『バナナに教えられたこと』ショートショート

          『君に贈る火星の』ショートショート

          道端に一冊のノートが落ちていた。 S子はそのノートを拾い、なんとなくページをめくった。 真ん中辺りのページに ”君に贈る火星の” と書かれていて、その後が黒く塗り潰されていた。 (火星の何?) それが気になって仕方がない。 他のページを見てみるが、何も書かれていない。 (君に贈る火星の…石とか?それとも大気?) 色々と考えたが答えは分からない。 (あぁ!気になって気になって眠れない!) S子は何日もその文の続きを考えている。 遂には、ネットや有識者にも聞いてみたが、

          『君に贈る火星の』ショートショート