職業、女。#22 「誘う女」は生きやすい

 自分から男性を誘うのは「負け」な気がする。自分から男性を誘うなんてプライドが許さない――そう考える女性も一定数いるようだ。たしかに私の周りにも存在する。

 彼女たちの思想を変えてあげたい、といった使命感はない。そんな義理もないし、好きなようにすればいいと思う。それでも「誘う女になること(自分から男性を誘うこと)」の良さを簡単に説明することにしている。その行為にはメリットしかないから、せっかくなので伝えておきたい、と思う老婆心からだ。

 ふたりで会いたい男性がいたら、自分から食事に誘う習慣がある。脈ゼロの相手は除外し、そこそこ好意を持たれていると確信できれば、ごはん食べに行きましょう、とシンプルに伝える。断られることはまずない。自分の見立てが正しかったというより、女性からの誘いは一般的に歓迎されやすいのだろう。

 さて、「誘う女になる」メリットは、大きく2つある。

 1つめはスケジュールをさっさと決められること。1つ予定を押さえたら、ほかの予定も順次組み込んでいける。現在フリーで、男性数人と同時並行でデートしたい女性にも合う方法、かもしれない。

 2つめは「待つ」というストレスから逃れられること。男性から誘われるのを待っていたら埒が明かない。「前に『今度ごはん行きましょう』と言ってくれたから、そのうち誘ってくれるはず」と待機するのは時間のムダである。相手も忙しいし、定型台詞を発したことなど、すっかり忘れているものだ。

 「社交辞令+数%の好意で口をついて出たテンプレワードである」と解釈し、こちらから誘いをかければ、日程も店もすぐさま決まり、悶々としなくて済む。加えて、先の予定が決定済だと、楽しみや喜びであふれ、当日まで安定したメンタルで過ごすこともできる。不安や心配事、悩みのタネはつぶしておいた方が、仕事のパフォーマンスも上がる。

 ……熱が入り、つい長文になってしまった。細分化すると2つどころか、4つくらいメリットがあるとわかる。誘う側が下だとか、誘われる側が上だとか、上下関係の話題を持ち出す人もいるけれど、そんなものは取るに足りないことである。

 どちらかが誘わなければ、何も始まらない。スタート地点にすら立てない。それなら自分がリードすればいいし、進んでスイッチを押しますよ。そう考えるとずいぶん楽になるし、主体的な行動から得られる心地よい感覚がやみつきになるはずだ。

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