私がギャラ交渉をしない理由

ざっくり言うと「仕事とお金」というテーマで明日、意見交換をする場に出なくてはいけないので、ここに簡単にまとめておきたいと思います。
喋りがそんな達者なほうではないので、構成案的な(笑)。
詳しくはその集まりが終わったらお知らせします。

ギャラ交渉をしたことがない

提示された金額は適当だと思えたり、けっこうくれるんですねと思ったりすることが大半だったから、交渉する機会がなかった。

「ライター」と名乗っている相手へ、手当たり次第に送りつけているような、見知らぬ人からの「1記事300円」とかの唐突な依頼はスルーしてきたから、交渉する機会がなかった。

自分からギャラを提示することがある。
新規・単発の仕事で、「見積もりを出してください」と言われたときだ。

安くもなく高くもない適当な金額を提示するから、「じゃあこれでお願いしますね」と言ってもらえて、交渉する機会がなかった。
昔のパートナーが商売上手な経営者だったから、いい塩梅の見積もりスキルを盗めたのかもしれない。

でも、しようと思わないし、できない。
というのは、自分の代わりなんて、それはもう相当数いるとわかっているから。
「ギャラ上げてくださいよ」と言うことで、「じゃあ、もうあなたはいりません」と切られることを恐れているから。

発注側と受注側を両方やってると見えること

編集者とライター、今は前者のほうがボリュームだいぶ多めだけど、ふたつを行き来している。

編集長として任せてもらっている媒体もあり、そこでは一定のコンテンツ予算を与えてもらい、そのなかでやりくりしてコンテンツをつくっている。
つくりたいコンテンツを決めたら、ライターさんにいくら、カメラマンさんにいくら、識者にいくら……というふうなお金のかけ方、割り振りをする。
できるだけ関係者みんながいい気持ちで、たのしく取り組んで、それで結果(たくさん読まれて、読んだ人に何かしらポジティブな影響を与える)が出るのがゴール。
使っていい予算には限りがあるから、頭を悩ませながらも、なんとか適当と思われる値付けをしている。

そうやって編集者として媒体の中にいて、コンテンツ全体の予算を常に見ていることも、ライターとして仕事を受けるときに「ギャラ上げてくださいよ」と言いづらい原因のひとつだと思う。依頼主の立場や状況がわかるから。
予算の管理、調整って難しいんよね。
誰かを上げたら、そのぶん、なんらかの調整をしないと計算が合わなくなる。
お金は湯水のように使えるわけではない。

依頼を断られたときに送る定型メール

ライターとしての仕事が入ってきたとき、受けたくてもスケジュールが埋まっていて、断ることがある。
最近断ったメールに対して、依頼者から来たのはこんな返事だ。
一部を引用する。

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早速のお返事をいただきましてありがとうございます!
今回はスケジュールが合わず、大変残念ですが、
またの機会にぜひご相談させてくださいましたら嬉しいです。

どうぞ今後とも何卒よろしくお願いいたします。
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ああ、ものすごい既視感のある言い回し……と感じるのは、自分も編集者としてライターさんに仕事を依頼して、スケジュールの関係で断られたときに、同じような文言を送っているからだ。

そして、早急に代わりの人を探して、結果、その企画は形になる。
そういうものなんだ。

もちろん、お金と時間というコストをかけてつくるものだから、できるだけいいものをつくりたいに決まってる。
だから、「このライターさんにお願いするのが一番いい!」「このライターさんはこのジャンルが得意だったな」「このジャンルで専門性を高めていきたいって言ってたわ」と、ライターさんリストを眺めながら、あるライターさんを「本命」として挙げて、その人に最初に依頼する。

でも、受けてもらえないならしょうがない。
企画を成立させるには、「二番手」や「三番手」に頼むしかない。
そうやって気持ちを切り替えて代わりを探す。
代わりを探しているときに、ああ、私の代わりも当然たくさんいるんだよな、と自覚する。

自分の代わりはたくさんいる、と知ってる

スケジュールが合わないと断っても、ごく稀に「音声をお渡しするので、ぜひお受けいただけませんか?」と言ってくる依頼主がいる。
編集者をしているから、そういうときも事情はわかる。

「近々の予定ゆえ、新たにライターさんを探すのは大変ですよね……お察しします。私たち比較的、信頼関係を築けていますから、私が現場に行けなくても、音声を聞けば原稿は書ける、と思ってくれているんですよね」と解釈する。

まぁ、たいていは「スケジュールが合わない」と言うと、上のように「大変残念ですが、またの機会に」的な言葉でメールのやりとりは終わる。
そういうものなんだ。

自分の代わりはいくらだっている。
いじけたり、才能のなさを悲観したりしているわけじゃない。
ただ、わかっているだけ。
でも、もちろん「俺はとまんねー!」的精神でがんばるよ。

おわりに

話は脱線しまくって、とっちらかってしまったし、何のオチもない。

ただ、大事だなと思うのは、適当なギャラを出してくれる依頼主と出会い、その依頼主や関係者に満足してもらえる仕事をして、継続的な関係を築くこと。

相手を失望させちゃいけない。
とにかく丁寧にやる。
とことん推敲する。
〆切を守る。
メール、対面あらゆるやりとりのなかで、感じよく、シンプルな応対をする。
相手がそのアウトプットを受け取ったときの状況を想像する。

新規に対しては、見積もり上手になること。
感じのいい人的に振る舞うこと。
それくらいだろうか。

これらは自分が心がけていることの一部で、けっこう当たり前なことばかり。
でも、すべての人に当てはまるとは思わない。
ライターさんが〆切を守って20点のものを出してくるよりは、〆切を守らずに90点のものを出される方が編集者としてはありがたい面もある。

ぐだぐだ書いてきましたが……「仕事とお金」で役に立つ話ができるか心配になってきた夜中です。


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