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「まだ諦めていない」 市民団体が会見で訴え

世界遺産・原爆ドームや広島平和記念資料館などがある平和記念公園の北側に広がる中央公園の一画にある広島市中央図書館を、市が出資する第三セクター「広島駅南口開発」が運営する広島駅前の商業ビル「エールエールA館」(1999年竣工)に移転するーー。2021年秋、そんな計画が浮上して以来、いくつかの市民団体が、計画の見直しを求める声を上げてきた。広島市議会においても、議論の不十分さが指摘され、移転案や現地建て替え案など三つの案をしっかり検討し、市民に説明を尽くした上で計画を決定するとなっていたが、三つの案を議会で詳細に検討することなく、広島市長はこのほど、エールエールA館への移転を結論づける発言をした。8つの市民団体は連名で、計画撤回を求める市長宛の要望書を提出し、記者会見を開いた。内容は以下の通り。

記者会見の一場面

「さすが国際平和文化都市」と言われる図書館に

広島文学資料保全の会・土屋時子さん:
今日はお忙しい中、またちょっと天候もどうなるかちょっと心配なんですけど、ありがとうございます。本日、市民局次長に、この広島市が提示した中央図書館等再整備、移転方針の撤回についての要望を、これまでいろいろ要望書を出してきた8団体で提出し、そしてその趣旨説明などを聞いていただきました。

8団体を代表して要望書を市側に手渡した「こども図書館移転問題を考える市民の会」の吉田真佐枝さん(右)

その中で明らかになったことは、私達が要望書を何度も出してることなんですけど、今回の図書館の移転の問題は、これから広島市がどのような図書館づくりをするのか、あと20年後、30年後、40何年後に、どのような広島市の中央図書館になっているのかが問われる本当に大事な、市民生活にとっても大事な問題なんです。

それでこの一昨年来の経過を見ると、やはり私達が、要望・請願を何度出しても広島市の考えは全く最初から変わっていない。そして、付帯決議が出て、時間をかけて十分に説明してきたと。昨日の市長の会見でも言われましたけども「理解をしていただいた」ということを明言されたわけですね。でも少なくとも、私達のこの団体、そして、私達が聞いている市民の人たちの多くは理解ができていないということで、全く今は平行線の状態です。

広島文学資料保全の会の土屋時子さん

そして今日お話したのは、そういう状態の時は、やはりこれから何十年先の広島市の図書館の問題なので、拙速に結論を出すんじゃなくて、やはりもう少し時間をかけて、ちゃんとお互いが議論を深めて、いい図書館づくりをしてほしいと。「広島の図書館はさすが国際平和文化都市の図書館だ」と言われるような図書館にしていただきたいという思いで、やむにやまれぬ思いで今日、8団体が要望書を提出いたしました。後でまた文学資料のことについてはお話いたしますけども、あと発言してらっしゃらない方のご意見を言っていただきたいと思います。

こども図書館と切り離さないで

鈴木三重吉「赤い鳥の会」・長崎さん:
鈴木三重吉「赤い鳥の会」の会長長崎と申します。この度の図書館の移転ということでは我々の会としては、現在地建て替えを強く望んでます。と申しますのは、こども図書館が現在地に残るということで、特に鈴木三重吉は児童文学同様、また小説であったり、詩であったり、歌であったりそういうものを作品をたくさん残しておりますので、こども図書館と切り離すという考えはやっぱりよくないというので現在地に建て替えを望んでおります。

欲しいのは「黒塗りの未来」ではない

ひろしまのシビックプライドを考える会・谷口さん:
先ほどの要望書の提出のときの内容重なりますけれどもお伝えさせて下さい。共同代表の谷口千春です。私自身は建築やまちづくりを専門としています。同じく共同代表を務めるひろしまジン大学の平尾順平は、広島市社会教育委員でもあります。

私達の会の名前についている「シビックプライド」は、市民一人ひとりのまちに対する誇りのことです。我がまちを良くするために自分たちは行動していくという当事者意識や自負心のこと。今回の市の対応は、本当に多くの市民のシビックプライドを深く傷つけるようなものだったと思います。

3年前に私は広島の街に戻ってきましたけれども、自分がこれまで愛して信じて誇りに思っていたはずの国際平和文化都市広島がこのように平和的でも文化的でもないやり方で物事を決めていく。市議会で上がる疑問の声にさえもまともに耳を傾けず、結論ありきで強行しようとする姿を目の当たりにして心底がっかりしています。


ひろしまのシビックプライドを考える会メンバーが開示請求した公文書を示す谷口千春さん

こちらの黒塗りの文章は、一市民の権利としてたちの会のメンバーが広島市に公開文書請求をして出てきた結果です。 昨年2月の市議会で市は詳細に比較検討できる資料を作成した上で、3案比較を行う。そして関係者に丁寧に説明をし、理解してもらった上で決定を行う、と約束されました。

ですが12月に発表された資料では、いつの間にか中央公園内に移転案は削除され、安易な理由とともに2案比較に落とし込まれていました。そのような決定がなされた内側の会議の議事録を開示請求をしたところ、このように全て黒塗りの回答になっていました。また、エールエールA館の耐用年数についても同じで、37年から67年で大幅に寿命が延びた算定根拠を尋ねても結果は全て黒塗り。それでは図書はおろか、私達の身の安全面すら保証されているとは言えないと思います。

松井市長をはじめ、市政を預かる議員さん方、そしてマスメディアの方々にも切にお願いしたいと思います。このようなことは果たして、原爆の惨禍を生き延びた人たちが命がけで実現した平和記念都市建設法、その第1条にある恒久の平和を誠実に実現しようとする理想都市のやり方であると世界に胸を張って言えるでしょうか

そして、市民の皆さんへも。今回の件は、広島市の市長や議員としての資質が問われるような重大な問題だと思います。同時に私達市民の真価も問われています。市民一人ひとりのシビックプライドの積み重ねこそが、広島という街の価値を、文化を、そして経済を、未来を作ります。皆さんはどのような未来がほしいでしょうか。正しいことを正しいと胸を張って言えない、そんな黒塗りの未来では決してないはずです。ぜひ、声を上げていただきたいと思います。

選挙での意思表示ももちろんですけれども、チェンジドットオーグというサイトでオンラインの署名もやっております。昨日の市長の会見報道を受けて署名が急速に伸びて4000に届こうとしていると思います。ぜひ拡散とご署名をお願いしたいと思います。

その場に立って、歴史をたどり、想いを馳せる

緑ゆたかな静寂の地で広島の文化の創造・継承したい市民の会・友川さん:
友川千寿美と申します。本業は映画の仕事をしています。特に中央図書館に付属設備とされている映像文化ライブラリーについて非常に今回の移転問題で不安を抱えています。 25年を超えて、ずっと広島の被爆の実相、それから被爆者の人たちが復興に向けて一生懸命たどってこられた歴史を映像で綴った作品が多く集められていて、それが1年間225日間、169席のホールで上映が行われています。全国でこのような映像文化の収集設備はありますけれども、特に平和・被爆問題、そういったことを伝えるのは、全国でただ一つの施設であると考えています。


映画館のない地域で映画を上映する活動に長年取り組んできた友川千寿美さん(中央)

それらが今後、エールエールに移転するという案が示されたときに、保管それから上映、そういったことがどの程度担保されてるんだろうかということを、文章を読むたびに不安が増すばかりです。フィルムというのは、皆さんメディアの方はご承知だと思うんですが、湿度管理、温度管理が非常に問われるものです。また上映するにあたっても、映写室というところで私達も技術者を務めたことがありますが、やはり湿度管理などに気を配りながら、長年保管されているフィルムの上映をずっと続けてきました。そのようなことが果たして今度移転が予定されているところにできるんだろうか。

もう一つは、最近では広島で撮影された「ドライブ・マイ・カー」という作品が大きな全国的、世界的にも話題になりましたが、広島というところは新しい映像作家、あるいは映画監督といった創造者のイメージを大きく広げる場所でもあります。実際、映像文化ライブラリーで作品に触れて、目の前にある原爆ドーム・平和公園に立って平和への思いを改めて深めて、それを映像に結びつけるということをしている作家たちがたくさんいます。何年か前になりますが、私も応援団として関わったアニメーション映画で「この世界の片隅に」というのがあります。戦時中から戦後を描いた映画なんですが、平和公園が以前は広島市の非常に賑わった繁華街だったということを、非常に丹念に調べた資料をもとに再現しています。

やはりそういう映画に触れたあと、実際にその場に立って、ここがどのような歴史をたどって今の平和公園になったのかっていうことに思いを馳せる。そういう役割の映像の力を持っているなと改めて思っています。ぜひ、今の場所で再度新たな設備、そういったものが発展的に作られて、次の世代へ、国内・国外問わず伝えていく場所になることを強く願っています。

「平和芸術資料館」的な施設に

鈴木三重吉親族・板倉さん:
鈴木三重吉の親族、広島には私一人しかいませんが、一人として。広島文学資料保全の会やもちろん赤い鳥、私は被爆者の一人でもありますけど、長年芝居をやって今までいろんな原爆に関する芝居とか戦争反対の芝居とかやってきましたけど、今回の図書館も移転問題は、鈴木三重吉の資料を含めて、とりあえず市の見解としては、とりあえずエールエール館に移して、その後将来的に広島文学館みたいなものを考えるという返答ではあるんです。なんで今ある中央図書館の建物を、旧市民球場のごとく取り壊してしまうんじゃないか。中央公園の整備計画は長年検討はしてきて、その結果、中央図書館はエールエールに移すんだ、という。

児童文学者、鈴木三重吉(1882-1936)の親族で被爆者の板倉勝久さん

とにかく後付けの見解でしかないんですが、私個人としては浅野図書、浅野文庫とこども図書館は現在地に残すという見解でもありますし、今の建物ですね、きちっと耐震性なり、将来性のことを残して、今の映像文化ライブラリーを含めて、原爆文学それから三重吉の資料、それから浅野文庫、こども図書館含めて、現在の建物を改装して、言葉のあやですけど、原爆資料館は原爆の実相を伝える、修学旅行生とかは全国全世界から人が来て展示を見てますけど、その後復興のために努力した人たち、文学者、映像作家、美術作家それから詩とか短歌もありますし、原爆に関する資料というのは、いわゆる先人たちが一生懸命文学の力を借りて、後世に伝えるため、復興のためにやっぱり書き残した作品ばっかりですね。

映像を含めて我々がやってきたお芝居も含めて、世界から原爆文学なり、広島の古い資料はそこに行けば一堂に閲覧ができるし、研究ができるという、広島平和芸術資料館みたいな、タイトルはどうでもいいんですけど、原爆資料館に対して原爆の被爆の基軸の中央公園ですね、ここが映像文化ライブラリー、こども図書館含めてそういう再整備を何でせんのかなと。移転そのものは、さっき赤い鳥の会の長崎さんが言いましたように、鈴木三重吉の著作権者も、移転はしたくないと言っております。

そういうことで文化含めてこども図書館を起こすんであれば、現在地をそういう資料館的な芸術資料館的な平和芸術資料館的な施設にして、いっぺんエールエールに移してその後に考えますということである。なんで二度手間みたいなことをせにゃあいけんのか、という気がします。

広島城近くの現在地は「反戦・反核に取り組む場所」

原民喜「広島花幻忌の会」・原さん:
原でございます。現在の図書館をエールエールの方へ移動させるということでございますが、私はこれには絶対に反対です。今の中央図書館が陳腐化してるなら、もう一度ここにいいものを建てればいいじゃないですか。どうして商業施設の中に行くんですか。何かそこらには何か魂胆があるような気がしてなりません。

広島を代表する原爆作家、原民喜の甥、原時彦さん

子どもの頃、僕らは幟町小学校、中学校、高校は国泰寺高校。原爆の惨禍が如実に刻まれた場所ばかりを転々として、遊び場としてきました。その中に、やっぱり広島城跡には深い深い思い入れがある。

小学校に私が入学したのは昭和16(1941)年ぐらいだったんですかね。練兵場のそばの広島陸軍偕行社付属済美学校に入学し、軍事教練を受けながら西練兵場の前で兵隊さんが一生懸命練習してる演習いうんですか、いうのをやってるのを毎日毎日見ながら学校へ通いました。広島城の前まで、冬は毎日、寒稽古でランニングさせられ、広島城の中に入って、見学もずいぶんやりました。特殊な学校で、軍事教練も非常に激しかったです。そういう雰囲気の中で僕らは学校に行きました。大きくなったら戦争行くんだって毎日言われて育ってきました。そういうような広島城近辺、思い出の場所です。戦時色の強かった軍国主義の日本で、私たちは、その付属の済美学校という学校に行っていましたので、非常に戦争と深い関係があるわけです。そういう思い出をたどりますと、やはりここであんな、勉強ばっかりやったり、そういう思想に頭を染められたんだなとそういう思いがします。

そういう場所に今の図書館があるわけですね。深い深い思い入れが、広島城に行くとそんなもので伺われて、なんで僕らは、今の平和なんで思い出されなくなっちゃったんだろう。非常に悔しい思いをします。やっぱり今広島城のそういう思い入れがあるんで、どう言いますか、反戦・反核、そういうものに一生懸命取り組んで、世界の平和を戦っていかなくちゃいけない思いがある。そういう場所なんです。

そこから図書館を広島駅の福屋百貨店の中に入れるということ。なんでそういう現象が起きるんかと不可解な思いがしてなりません。やっぱりデパートと何か手を組んでやってる、裏があるんじゃないかなという気がしないこともないです。公明正大に、昔あった場所にやはり復元するべきだ。今の中央図書館は、今の場所で新しい新築の建物で、新しい平和を求めて、また再出発してほしいなと、そういう気持ちでいっぱいです。だから今の図書館の移転の反対を、私は皆さん応援してください、とお願い致します。

文化施設の作り方が文化的じゃない

ひろしまのシビックプライドを考える会・安彦さん:
安彦です。私はもうとにかく一点というか、単純な話なんですけれども、文化施設の作り方が文化的じゃない。一番伝えたいのはそのことです。このプロセスがおかしいですね。昨日の記者会見で松井市長は「関係者に丁寧に説明して理解してもらう対応ができた」と言ってたそうで。理解してもらえたってやっぱり言ってないですよね。「理解してもらう対応ができた」っていうことで、「説明はとりあえずしたので大丈夫でしょ」っていうのが透けて見える。私達は説明してもらったと思えておりませんし、理解できてないんですよね。さっきの黒塗りのペーパーを見てもらってもわかりますけれども、とにかく丁寧な説明したって言ってますけれども丁寧じゃないですし、説明も不足しています

ネット署名のサイトを示す安彦恵里香さん

ですので私達は「検討協議会設置を求めます」という署名をやっております。これが今4000、もう少しで4000になりますけれども、この検討協議会でしっかりと話し合ってから決めてほしい。私達の声をちゃんと聞いたということは、この検討協議会においてしっかりと示されると思っております。今のままでは不十分です。撤回を求めます。

「これおかしいよね」の声、届けるすべがわからない人多い

こども図書館移転問題を考える市民の会・吉田さん:
市民の意見を聞いてほしいということで、ずっとお願いしているんですけれども、先ほど末政次長さんは、移転に賛成の人もいるというようなことをおっしゃってましたね。ですが、実際にはどういう声が上がっているのか。聞いたことがありません。周りで話していると、「これおかしいよね」って言っているのに、その声をどうやって届けたら良いかというすべがわからない、そういう状態なんです。

それでこの8団体で一緒に相談しまして賛同書を募ろうではないかということを今考えているところです。これもう少ししたら出来上がりますので、出来上がったら皆様にもメールで送らせていただきたいと思います。移転がおかしい、移転再整備方針を撤回してくださいということ、それから付帯決議案の精神をないがしろにしないでくださいということ。もう一つ、拙速な結論を避け、様々なレベルでの議論を継続し、時間をかけて、市民が納得できる再整備方針を策定してください、というその3点でこれに賛同する方を募ることにしています。2月議会がもう迫っていますので、大急ぎでしようと思います。こういうことで声には出しにくかった、それぞれで話してはいるけれども、なかなか広島市や議会に届けることができなかった方のご意見を集めたいと思っております。

そしてもう一つ、こちらこども図書館移転問題を考える市民の会でこういう講演会を企画しております。

配布された講演会の告知資料

木坂涼さんのおはなし会という題で講演会をします。本があるっていいな、自分の本棚、図書館の本棚ということで図書館についてもお話しいただく予定です。

こういう会がありますと、そこに日頃、近しい人としか意見が言えなかった方が集まって、自分の意見を述べる。また人の意見を聞く場が生まれます。広島市は、ワークショップも開催しない、何もかも一切しないで、意見を聞いたというんですけど、本当にそれは聞いたことにはなりません

一人ひとりが持っている気持ちを、こういう講演会でも出していただきたいし、賛同書でもお名前を出して、意見があれば、ここに書いていただきたいなと。そういうものを市役所、市議会に提案、提出していきたいと思っております。

土屋さん:
広島文学資料保全の会の土屋です。先ほど市民局次長とお話した結果、マスコミの方もご存知と思いますけども、私達は昨日市長が言われた、「理解をしていただいた」「市民の方の理解を得た」という発言だったんですけども、私達は理解はしておりません。ここに書いてありますように、これ今から配るんですけども、おかしくない?っていう疑問が、市民の方たち、この図書館移転問題に関して本当に多くの方たちがそう思われてると思います。

パネルを使って訴える土屋時子さん(左)

細かいことに関して言えば、私達は図書館の機能。市の方も機能って言ってるんですけども、図書館の機能はいろいろあるんですけどね。図書資料、図書館資料の収集とか調整、その中で図書館資料の保存という。私達は文学資料保全の会ですし、鈴木三重吉の会とか、原民喜の花幻忌の会は、やはり文学資料という。それが本当にちゃんと保存されて活用されるかどうかが一番心配なわけですね。それについて、全く広島市から出されてるものをいろいろ見ても、全く見えてこない。文学資料だけじゃなくて、図書館資料の保存という収集とか他のものはまだできる部分があるんですけども、この図書館資料の保存に関しては、高層階の商業ビルにおいては最もふさわしくない場所なんですね。そこに図書館を移転させるというのがどうしても理解できません。

そして先ほどのお話の中では「評価をいただいている」と、あの私達の声も聞いているけども、あの多くの評価をいただいている、というようなことを言われました。確かに今までいろいろ、バリアフリーであるとか、利便性が良いとか、それとか駅前の活性化。そして、新たな観光客を呼び込むことができるとかいうような、いろいろ縷々理由を言われてますけども、果たして市民の方たちが本当にそう思われてるのかどうか。バリアフリーというのは、新しい図書館ができれば当然バリアフリーになるわけです。

そしてその利便性に関しても、あの市がいろいろ企画検討の中で言ってることっていうのは首をかしげる、おかしくないっていうようなことで、私達は市の言ってることに正当性がない、合理性がないと思っています。

問題点はですね、やはり付帯決議は、議会で全会一致で決議されたことです。ですから、今度の市議会では、本当に付帯決議が守られてないがしろにされてないのかどうかっていうことを、ちゃんと市議会の方でチェックしていただきたい。

本当に何を根拠に「理解を得た」と市長が言われているのか。そこら辺ちゃんと言葉で示していただきたいと思います。いろいろ後でまた質問していただきたいと思いますが、とにかく広島市の今のA館への移転の方針案については、私達は理解しておりませんので、このことを市民の方たちにも伝えていただきたい。

谷口さん:
一つぜひご取材をお願いしたいなと思ってる点がありまして。皆様のジャーナリズム精神を期待したいところなんですけれども、市が示している数字のマジックに騙されないでいただきたいなと思っております。

このあと配るチラシでも整備費が、現在113億円とA館の99億円と書いておりまして、その後ろに耐用年数が60年、40年って書いてありまして。

8団体が連名で作成したチラシ

割り戻すとA館の方がだいぶ高くなっているのが、この表からだけでも見受けられると思います。さらに踏み込んで言いますと、A館の整備費99.8億円の中の22.5億円がフロアの取得費。購入費ということで当てられているんですけれど、これは5.4億円という年間リース代のたったわずか4.2年分の金額で購入できると市はしているんですけれども、果たして本当にその金額で収まるのでしょうか。40年使うつもりで購入しますと言ってるものが、なぜそのたった10分の1の金額で買うことができるのか。

これはうがった見方になるのかもしれないけれど、この整備費の金額を現在地建て替えよりも安く見せるために4.2年に収めているのではないか。それぞれ都合がいいところで40年というロジックを使い分けてるようにしか見えないなと。基本的にこういう算出をするときには最低というか10年を基準に算出するものだと一般的に私は理解をしておりまして、10年分のリース代と足し合わせると、実は現在建て替えの仮設施設を作ったものとほぼ拮抗する金額になります。

広島市の計画の問題点を指摘する谷口千春さん

そのように見せないためにこのような形になっているのではないかと。議会を通した後に、実際正式に見積もりをしてみたら、実際もっと高くなってしまいましたという形で金額が簡単に逆転するようなことを、今やろうとしてるのではないかということが、私はその道の専門家ではないですけれども、少し考えたり、詳しい方に聞いたりすれば、たどり着いた疑問です。

ぜひ皆さんの取材力と、専門家の方々により詳しく取材していただいたら、そのあたりも少しおかしい部分にたどり着けるんじゃないかなと期待をしております。

土屋さん:
今のご発言に合わせて、A館の設計を見たときに本当に積載荷重の問題がちゃんとクリアできるのかどうか。というのが、まだ広島市はどこに実際資料をどこにどの部分に置くかっていうのを明らかにしてない。何階かに分けて分散しておくと。ひょっとしたら地下かもわからないっていう案の作り方なんですね。

こういうことで、後からいろんな問題が起こってくるんじゃないかと思っています。あの高速2号線のことでもそうですけども、やはりちゃんとしたデータでちゃんとした案を作らないと、何年後かには大変な問題が起こってくるようなことをはらんでいると思います。

ですから、建築、設計会社が出されたもの、図書館も手がけてるんだって言われてましたけども、ちゃんとした図書館建築の方にですね、やはりこのつい先日出されたものをちゃんとチェックしていただきたい。そういうことをしないで実施設計に入った場合、本当にとんでもないことになるんじゃないかと危惧しております。

土屋時子さん。広島市に文学館がないことを問題視し、数十年にわたって建設を求める活動をしてきた

例えば、この今回の案も私達の郷土資料エリア一つを見ても、映像文化の方の上映ホールとかAV収蔵庫に関してもそうだと思うんですけども、私達の郷土資料館のエリアに関わっても、展示ホールが89㎡になってるんですね。今は260㎡です。そのような縮小をされ、そしてその保存・収蔵庫も実際、ここには収蔵庫って貴重資料とありますけども、本当に貴重資料を保存するだけのものがされているかどうかが全く見えません。この中では。郷土資料エリアになってますし、今よりも今の文学資料室よりももっと条件的に、いろんな活用する面でも展示にしても悪くなるというのが想像できるわけです。この出されたものに関して言えば。

そのことについて質問しても、まだまだこれから実施設計に入るわけだから、そのときにお示ししますということで、何も実際は示されておりません。こういう状況で本当に良い図書館が作られるのかどうかを危惧しています。

私達も、まずはA館に移転していただいてと、先ほども板倉さんの方が言いましたけども、実は12月の26日に市民局長と私達の会が、かなり長い時間お話させていただきました。そのときに言われたのが、「まずはとにかく移っていただきたい」ということを何度も何度も言われたんですね。私達としては、まずは移るのだったら、資料というのは、特に文学資料などは移すたび条件が悪くなるんですよね。資料の条件が。しかも文学資料を保存するような条件が整ってないところに、保存するような構造になっていないところに移すわけですから、照明一つとっても、それなりのものが必要なんですけども、そういうことが全く考慮されてない

そういうところに移して、また何十年後かわかりませんけども文学館を作ってまた移すと、そういう無駄なこと。そして、資料にとっても本当に危機的な状況にある資料もあります。もう戦時下の紙に残されてるものですから、原さんの手帳もですね、本当にちゃんとした保存をしないと、今後資料の保存がどうなるのかをすごく心配しております。

ということで広島市が丁寧な説明もしていませんし、より多くの市民の理解も得ていないということを、再度市民の方たちにお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。あと何かご質問があれば。

記者会見の様子

記者:
広島ホームテレビの花房と申します。吉田さんに質問させてください。二つあるんですけれど、一つ目は、吉田さん本当に初期から、一昨年から、一番おそらく長い期間様々活動をされてきたと思います。その上で、昨日の市長の発言にもあったように市の変わらない姿勢というものを、どのような気持ちで見てらっしゃるか。二つ目が今後の戦略として、賛同者の話が先ほど出たと思います。これまで届かなかった人たちにも幅を広げていきたいと、その幅を広げていくための戦略みたいなものを考えているところがあれば教えてください。

吉田さん:
まず広島市長の昨日の会見ですね。おそらく年明けには会見するだろうとは思っていたんですけれど、このタイミングでするのか、しかも本当に意見を聞かない、議会の意見を聞かない、有識者の意見を聞かない、市民の意見を聞かない、という状況であるにも関わらず「説明をして理解をいただいた」というような形でのあの決定というのは、おかしいことだなと本当に思っております。何て言いますか、平和的でないんですよね。こんなことで大事な文化施設、そして私達の文化のことをないがしろにして良いのだろうかと憤りを覚えております。

それから賛同書のことですけれども、いろんな方が本当に反対してらっしゃるんですね。そういう方に広く意見を出してまとめる場というのを作りたいと思っております。去年も賛同書を集めて市議会と市役所には届けたんですけれども、その時はまだ公開するという約束までをいただいてはいなかったので、今回は公開するということで広く集めて、それを私達の意見ですと提示したいと思います。

もう本当に、ここにいらっしゃる皆さんは、こんなことであの記者会見するようなこともおそらくあまりないことだと思うんですね。広島の文化は、ちゃんとこうやっていろいろな人に支えられて育まれていってると思っていたところが、図書館問題をきっかけに文学資料保全の会の方のお話も伺ったり、それから映像文化ライブラリーのことも、それから青少年センターのことも伺っていくたび、こんなことで広島は大丈夫なんだろうかって。

さっき平和(記念都市)建設法のことありましたね。私はよそから広島に来たのでそういうことは一切本当知らなくて恥ずかしいばかりなんですが、知っていくにつれて広島が、そういうとても大きな理念に支えられて戦後の惨禍から復興してきた。それも一人ひとりの善意というか支え合いでできてきたということにとても感激したんです。こども図書館も寄付でしたが、県立美術館もこどもたちの寄付から。もちろんカープもそうでしたよね。いろいろなところで市民一人ひとりができることをって善意を持ち寄って広島の街の発展を支えてきたことを知ってすごいなと感激しているんです。

広島に移り住んだ立場から広島への想いを語る吉田真佐枝さん

ところがこの時点に至って、何かこれまでみんなが、市民がいろんなことで支えて作ってきた広島の街のおかしな方向に向けられてるんではないかなと。よそから来た者でも、そして政治のこととか何も知らなかった者でも、感じてしまうわけです。ということは、ずっと長くいらっしゃる方はもっともっとつらい、情けない思いでいらっしゃるんじゃないでしょうか。そんなことを思っております。

だから今まで78年ぐらいになりますか、そうやって築き上げてきた広島、そして世界からも、広島に来たら平和のことが考えられる、平和公園に立って平和とはどんなものかっていうことを感じるために、世界から来てくださってる人に、広島はこうやって平和な街を作ってきて、皆さんに見ていただきたいんだという思いが伝わっていくと思うんです。

軍都の歴史と原爆被害 街の歩み残すのが図書館

今ウクライナのことでなってるけども、(被爆者の)切明千枝子さんがおっしゃってたように、本当に惨禍の上に、軍都であったこと故にそれで被害を受けて、そこから街を築いてきた。図書館はそういった歩みを全て残しています。原爆資料館と同じように図書館、中央図書館もこども図書館も映像文化ライブラリーも、そういう広島の人たちが築き上げてきた文化を全部保存して大切に保管し、いつでも後進の人に、そして世界の人に見てもらえる、そういう文化施設を整えてきているんです。

それを安易な方法で、ただあそこに移せばというような考え方で進めていっては、これまでの70何年かの、蓄えてきたものが駄目になる可能性があるんですね。エールエールA館がちゃんと図書館として整備されたものであれば私は何も心配しませんが、そうではなくって図書館として建てられたものではなくて、他の目的で建てられたものに、そういう貴重なものを移していく。そこに安全な対策がとられているかというと、どうも不安に思うんです。地震火災、いろいろな災害が考えられるんですが、そのときに一体どうやって安全が確保されるのか、そういう道筋はありません。平行移動の便利なことはよく言われてますが、垂直移動の困難。これが災害時にはこれが弱点があるということは一切触れていません。そういったことを説明しないままに、エールエール館が利便性が良くなって、と話を進められては困ると思います。これからどうしていっていいか。本当にその都度どうしたらいいかねってみんなで相談して一つ一つ積み上げてきているというのが実情です。

8団体を代表して要望書を読んだ吉田真佐枝さん

トップダウンではない 広島魂どこへ行った

本当に、これがいいという案を皆さんに教えていただけたらと願っています。そしてもっとこういう図書館が欲しいんだ、こういう図書館にしたいんだという気持ちをどんどん寄せていただいて、市の方に訴えて、市議会の議員さんにも訴えて、広島市民はこうやってきたじゃないかということを思い出していただきたいんです。単に上からのトップダウンの方針に従うのではなくて、広島魂というんでしょうか、こういう街を作り上げてきた、そういう強い気持ちを皆さんに思い起こしていただいて、良い図書館を、良い文化を作っていただくきっかけにしてほしい

このままではそれができそうにないので、私達何も知らないままかけてきたような感じです。どうぞ皆さん、今日お集まりいただいたマスコミの皆さんからも、そういうこの街のために発信していただけたらと願っております。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

土屋さん:
今のご質問に関して。やはり今の事態を変えるためにどのような戦術を考えているかということですよね。私達もいろいろない知恵を絞って今検討してるとこなんですけども、例えば当面はあの市議会選挙があったり、だから公開質問状を出したりですね。共産市議の方達。それとか本来ならば住民投票とか。そういうのもテーマ的にこの問題っていうのはそれに値する。何百億の市の財政に関わることですから。それと市民生活に関わることですから。そういうことも考えられると。そういういろいろな知恵を今から検討していきたいなと思っております。

中央図書館は浅野図書館 切り離せない

それと浅野図書館を切り離すということでずっと最初から言ってこられてるんですけども、それと私達の文学資料のことも別途に、というような方向で進みつつあるんですけど。やはりこれは別の問題ではなく、浅野図書館ですからね。中央図書館は本来は。だからどういう形で進めるかは、今から知恵を出さないといけないと思うんですけども、浅野文庫も含めて、私達の文学資料のことも含めて、市民の方たちの賛否を問う事も含めて、いろいろな知恵を出していきたいと思います。しかも急がれることですからね。はい。

記者:
毎日新聞の中村です。12月26日に市民局長と面談して「まずは移っていただきたい」っていうのは要するに皆さんが寄贈した資料?

土屋さん:
そうです。今3万3267でしたか、資料があります。主には文学資料室の資料のことで私達は要望してるんですけども。あと、広島資料室にあるものもありますよね。全部で11万いくらですかね。そういうものも含めてのことで、とにかくその時は文学資料に関して、まずは移っていただきたいということで話されました。それについて私達は、まずは移ることについては承服しかねる、ということでお答えしています。

記者:
そうするとどうなるんですか。皆さんが承服しないと移せない?

土屋さん:
どういう風に市の方が判断されるか。ただ、著作権継承者もやはりそれはあの寄贈したものもそれはありますからね。そのことについて物を言える立場にあると思います。というのが、実は栗原貞子資料は、一度市の方に寄贈して、寄贈手続きが済んで、秋葉市長のときに秋葉市長から表彰状もいただいておられたんですけども、あまりに市の図書館がそれ以降、何も整理しに来ない、約束していた資料整理に来ないということで、一旦寄贈されてたものを引き揚げたという経過もあります。そのときに広島市は、そのことはなかったことにしてくださいということで今、栗原資料はありません。0になってます。で、女学院大学の方がそういう事情なら引き受けて、当面文学館ができるまでは女学院の方で預かりましょうということで、女学院大学の図書館の2階に栗原貞子平和記念文庫を設置していただいております。そういうことがありました。

板倉さん:
まあ何年も、そういう貴重な資料を市が収集しようとする姿勢もないわけです。もう貴重な資料に対して収集する気もないという。

土屋さん:
というのが、文学資料室は1987年にできたんですけど、そのときに20人だったんですね。その時に文学者が入ってるのが。それから栗原貞子さんが一時期入ってて、それで名前的には21になってますけども、この30数年間、それ以来何も作家が(増えていない)。私達あの作家はね、あとその24人ぐらい今、あそこの文学資料室に入るべき人たちの作品があると思っています。そういう作家の方たちもね、でもそういう方たちの働きかけもしてませんし、広島市の方が収集する意思がないということで、これまで来ております。だから信頼してくださいって言われても、努力するからと言われても、信頼できないわけですね。

記者:
県立図書館の方は何かあるんですか。

土屋さん:
文学資料ですか?いえ、そういう資料室もありませんしね、そういう個別のものはあるでしょうけど、広島市の方です、やはり。原爆資料館と中央図書館とです。だから、県立図書館の場合はまたちょっと違いますよね。市の範囲と違いますから。県になるとそこに作家入る形もまたあるでしょうけど、まだいまだに県の方はそういう資料室、文学資料室というのを設けてませんから、これまで。

記者:
やっぱりもう市の方にやる気がないということであれば県の方に持ってくとかそういうこともお考えなんですか。

土屋さん:
いや、今のところ考えておりませんけども、可能性としたらそういうことだってあるかもわかりませんね。何とも言えませんそれは。

記者:
あとそれから議会の対応なんですけども。皆さんその付帯決議ということをおっしゃるんですが、一応前提としてA館への移転費用ですね、この1億7700万円は承認した上で、この付帯決議をつけて議会は。だから最初から議会がそもそも納得してないんだったら、A館への移転、1億7700万円を承認してなければ、まだ何も決まってないっていう状況だったんですけれども。こういう中議会の対応については議会の対応を皆さんどう思われてますか。

土屋さん:
ただあのときは1億7700万の予算を立てるときにそういう条件がついたんじゃないですか、付帯決議が。だからまだその決議はね、今からですからね。1億7700万の。

記者:
だからその1億7700万円はまだ皆さんの考えでは宙に向いているというか。

土屋さん:
はい。それを行おうとしてるんじゃないですか、この2月の議会で。私はそう理解してますけど。

吉田さん:
市長の発言では、もうそれは実施すると言ってますね。

土屋さん:
市長はそう言われてますけども、でも付帯決議がついたときの状況はそうじゃなかったですか。どうなんですかね。

記者;
前提として、エールエールA館に移すための予算は通ってるんですよね。

広島駅側から見たエールエールA館

土屋さん:
はい、そうですね。今のコンサルにもそれ使ってますしね。

記者:
その上で付帯決議がついてるので、その市長の発言とかだったらもうエールエールA館に行くっていうところは議会に認められてるんだと。そういうのを執行するために、その皆さんの理解を得る必要があるみたいな言い方を。

土屋さん:
市の方はそう言ってますね、はい。

記者:
移転するって予算をその議会の方が付帯決議を付けた時は通してしまったっていう、その対応についてどう思われるかっていうところ。

土屋さん:
そうですね。あのときのことを考えたら本当にある意味では、何か苦肉の策というか。それで付帯決議が全会一致だったんですよね。そこら辺、議員の方たちはどれほどの重みをもって、その付帯決議というのを。こういうことはすごくあの稀なことですよね。付帯決議が付いて、そのことが通るっていう、その議員お一人お一人がね、その重みっていうのをどう考えて、あのときに決議されたかですよね。全会一致ですから。だから反対にその付帯決議を中身をつけただけということであるなら、言葉だけということであれば、本当に付帯決議などした意味がないですよね、まったく。だから私達はやはり付帯決議がついたということは、それだけ議員お一人お一人がですね、これからのその予算の決議にしてもちゃんとそこら辺の重みを考えてくださるはずだと思っております。

記者:
その予算の決議ってのはつまり、先に進むための決議?

土屋:
そうです。

記者:
これ以上先に進めむための。1億7700万円はもう一応通ってるんで。そこから実際の工事に着工する際の予算措置について。

土屋さん:
そうですそうです。基本設計とかについて。

記者:
その付帯決議の重みを考えて、はいそこはまた。

土屋さん:
そうです。

記者:
議決賛否を。

土屋さん:
そうです、そうです。やっぱりあの市議の方たちの、本当に広島に対する姿勢のが問われてると思います。それが今度の選挙でも問われる内容だと思っております。

安彦さん:
ちゃんと市議会議員が、議論をするための材料を集めてないし、検討をしていないんですよ。言われたのに賛成か反対かしか言ってないので、市議会がまともに働いてないです。

土屋さん:
今ね、(長崎)龍深さんが言われたんですけども、あのこの付帯決議のない内容2のところはやはり、現在、現地建て替え、中央公園内などでの移転、A館への移転、それぞれの詳細に比較検討できる資料を作成して、各資料について議会、利用者、有識者など関係者に丁寧に説明し、理解していただいた上で移転先だと決定すると書いてありますよね。はっきりと。だからそういうことを市議の方たちが、本当に自分たちが決めた決議を意味がわかってらっしゃるのか。それをちょっと問いたいですね。書いてあります。

記者:
その市議会がA館への移転整備費用を承認、1億7700万円を承認した上で、何かこの付帯決議の方で理解していただいた上で移転先を決定するという、ちょっと少し矛盾してそうな。

土屋さん:
矛盾してるんですよ、移転を認めた上でそうです。

記者:
でも改めて移転先を決定するっていうそうです。

土屋さん:
移転のことじゃないですよね。いわゆる今出されてるこれですよ、これらの資料を作成するための費用でしょ。こういう設計。

質問する記者たち

メンバー:
設計の資料の調査をするためにその費用を計上されて、それが通ってるって私は理解している。

土屋さん:
私達はそう理解しております。決定ではないということですね。

記者:
ただ市長とか、それを生涯学習課の話を聞いているとA館への移転というのはもう既に認められていると。

土屋さん:
そこが違う。

記者:
当初は当初予算案で、何かちょっとそこで何かいつも齟齬を感じるんですけど。

「理解をいただくための対応ができた」ってどういう意味?

土屋さん:
市民は、やはりこの付帯決議の中身、この文章を見たらですね、そうは思わないと思いますよ。市議の方たちもちゃんと内容を読んでいただいて。自分たちが決議したことですから、責任を持って今後のことを進めていただきたいと思います。しかも市長も何ですか、昨日のも何て言われたんですか。「理解をいただくための対応ができた」って、ああいう日本語はないですよね。どういう意味なんですか私わからないんですけど。頭が悪いのでちょっとわからないですけどね。はい。

記者:
先ほどもう要望書を出したときにちょっと出ましたけど、元々中央公園内でっていうのがあって、そっから広島駅っていうのが。それから予算が通るまでっていうのが劇的に短くて拙速だったようなことを。今回図書館移転についてですね、それも含めて何が一番市のやり方として問題だったのかっていうところをちょっとお伺いできないか。

土屋さん:
南口開発株式会社の要望書が出る前からそうだったのかもわかりませんけど、その時点からもう、A館への移転ありきで進められたことがこのような市民の反感を買って、しかもおかしくないっていうこういう疑問をずっと抱かせることになってると思います。A館ありきで進められているというのがもうありありと見えてますね今。今、明らかになってきました。最初はいろいろ、3案の比較案出すとかいろいろ言ってきましたよね。でも実際はそうじゃないということですね。

記者:
そもそもだからもう初めの、場所をどこにするかっていうところのところでもやっぱりちゃんと議論が足りてない?

土屋さん:
そうです。しかもその資料を提供しないわけですから。私達も去年の3月の時点からの整備案が出ましたよね。公表されてる、去年3月でしたかね。その資料をどこにどう置くのかっていうのを生涯学習課にしつこく聞いてきたんですよ、聞いてずっと来たんですよ。でもまだわからない、まだわからない。まだ今から設計に入るからということでずっといまだにまだはっきりしておりません。だから資料も提供されてないし、議論しようにもその材料がないわけですから、情報も公開ももちろん。

黒塗りの行政、平和行政の姿か

だから広島市がこんなにひた隠しに隠す情報を隠すっていうことが何かなんかね、不信感を感じますよね。これですよね(黒塗り)。これが平和都市の広島の市の姿勢ですかね。

記者:
今回8団体でこういう会見開いた要望書を出されていますけども、こういう活動ですね。元々こども図書館の方達が一番最初にされた。もうちょっと早くからこうやっておくべきじゃないかとか、そこら辺のちょっと活動の、こうすべきだったんじゃないかとかいうところっていうのがあったり。

土屋さん:
そうですね。こども図書館の方が本当いち早くそのことをやってくださって、それで私達もちょっといろいろ事情もあるんですけども、そういう意味ではでもそれ、こども図書館の方をやられてから、私達も一生懸命動いたんですけども、でも聞かない、市の方はそのことを全然あの反映させてきてないですから、聞く耳がなかったんだと思います。

中澤さん:
すいません。遅かったんじゃないかっていうことをおっしゃいましたけど、メディアの方たちが一体いつからそういう報道をきちんとしてくださったのかっていうことを、私達はすごく思ってるわけですね。これすごいメディアの責任もあると思うんです。一番最初に余村さん(中国新聞)がこういうようなことがあるっていうのを去年の秋に報道されましたけれども、一度も報道してないメディアもありますし、こんな、広島の根本的な文化行政だとか、広島のありように関してとても大事な問題なのに、メディアの方たちの動きが。

記者会見の様子

私たちの動きが遅かったんじゃないですかっておっしゃいましたけれども、私達から見ればメディアの動きも遅かったんではないか。広島市民が知らない人がすごくたくさんあるっていうのは、やっぱり私はメディアの責任もあると思うんです。

報道機関の姿勢に問題を投げかけた中澤晶子さん(広島在住のこどもの本作家)

新聞読まない人がすごく増えて、若い人は新聞なんかとってませんけどでも、それでもやっぱりジャーナリストとして今広島でどういうことが起こってるのか伝える義務があると思うんです。それを積極的にどこの社がどんな風になさったか、私達は全部チェックしてますけれども、何で取り上げてもらえないのかなって思いました。こんな大事なことがなぜってすごく疑問に感じながら走ってきた1年だったということも、あの逆にお話をしておきたいと思います。

土屋さん:
それと私達署名したときにですね、広島以外の各地に住んでらっしゃる方も署名してくださってるんですよね。その方たちが言われるのには、広島市でこのようなことが起こってるっていうことを広島以外のところでね報道はあまりされてないので知らなかったっていうこともあって、広島の図書館っていうのは広島の図書館だけの問題じゃなくてやはり国際平和都市の問題ですからもっと市外、県外、日本の国の中でもっと問題にされてもいいと思ってます。

だからそういう意味ではですね、皆さんいろいろ今日来ていただいてる方は、協力していただいてるんですけども、もっと外に向けても発信していただけたらなと思っております。

安彦さん:
あと広島市が市民に説明したって言ってる相手である社会教育委員会のメンバーの平尾順平も、社会教育委員会の中で私達はこれに賛同はしていないから、ちゃんとその声を聞いてほしいと社会教育委員一人ひとり声を聞く場所なんですかって聞いても、そこはそうではないと説明する場であると市側っていう。だから何か、ただ説明して集められて説明して意見は聞かずに終わってるっていう場が何度も何度もあるんですよね。

安彦さん

それを本当に説明したと言えるのかっていうことを、あの全てにおいて感じてます。だから1回考えるふりしたとしか受け取れませんよね。なんかそうやって、でも一旦3案を比較するからとか、私達もあの会として聞き取りに行ったりとか申し入れに行ったりとかしてますけれども、そのたびに3案比較で考えてますって言ってのらりくらりごまかしてきたわけですよ。それで結局全部勝手に決めていくんですよね。また勝手に決めた、また勝手に決めた、また勝手に決めたっていうプロセスがあるので、本当にそのプロセスが全くちゃんとできてないなっていう、それが声を聞いたことにならないと、ものすごく感じますね。なんかそのそのプロセスがあるからもうここまで集まって怒りを発しているっていう状態です。

広島市→A館運営三セクへの天下り、まるで「広島の黒い霧」

中澤さん:
すいませんもう一つ。去年まで市民局の局長だった杉山という人がいるんですけど、私達冗談で言ってたんですけど、もしかすると駅前の南口開発に天下るんじゃないのって笑い話で言ってたら実際にそうなりまして。これってすごい奇妙な話だと思うんです。そういうのをメディアの方たちは何とも思わないのかな、ってすごく思ったりするんです。そういう何か、当事者がまた当事者のところに天下るみたいな、これはおかしいんじゃないかっていうのを、皆さんはどんなふうに感じてらっしゃるのかなって 私は逆に質問したい

土屋さん:
大阪の市条例では、天下りがかなり細かく禁止されてます。広島には、市条例がないために、本当、広島の天下りもひどいんですよ。いろんな文化振興課の天下ってるその率がね。率というか、人数は皆さん見られたらわかりますけども、本当にたくさんの人が天下ってるんですね、それの最たるものですね。さっき今の例はそういうことは、大阪があまりひどかったんだと思うんですけども、大阪ではですね、市条例で禁止されてるような話だと思います。今回のその元市民局長のお話は。

中澤さん:
だから何が言いたいかというとですね、松本清張の日本の黒い霧じゃないですが、広島の黒い霧がずいぶんと渦巻いてるんじゃないだろうかっていうのがすごく、私達は基本的に信頼関係のもとでいろんな話をしたいと思ってたのに、こんな状況ではとても信頼関係なんか結べなくて、信頼関係がないところでいい仕事は絶対できないわけなので。

私たちの問題であり、メディアの問題でもある

そのあたりのこともやっぱり私達の問題でもあるし、メディアの問題でもあるし、もちろん市の問題でもあると思うので、そのあたりしっかりジャーナリストとしての矜持を持って、この問題が、ただ単に図書館がどこに行くかというような問題だけではなくて、本当に広島市が民主的なやり方で市の運営ができるのかどうかという根幹に関わることだという認識を持っていただいて、私は逆にメディアの力が大きいと思いますので、ぜひそれを推進していただきたいと切に願います。

土屋さん:
私も同感です。だから広島では、日本の中でかなり注目された河井問題とか、今の平川教育長の問題とか、そういうことも含めて、直接のことじゃないですけども、やはり広島のやっぱり姿勢が問われている問題だと思います。この図書館問題っていうのはそれがもう究極の問題として表れていると思います。

記者会見の様子

わたしたちはまだまだ諦めていない

記者:
これ、12月22日に吉田さんたちはこの3案比較の問題を出されましたけれども、これは皆さん、8団体で共有している問題意識の方でよろしいですか。これが要するに具体的な皆さんの疑問点?

吉田さん:
そうです。だからこれも議会に行って話を聞き、有識者会議二つあるものにいってそこで市の答弁も聞き、そうやって聞いて資料を見て考えた結果です。

土屋さん:
市民の方にもねまだ本当にこの問題の本質が十分知られてないので、今から12時からですね、もうちょっと時間なりますけども、やはり街頭のそういうアピールもしていきたいと思っています。これからその辺に向かいますけども。他によろしいでしょうか。次の行動に移りますので、はい、ありがとうございました。まだまだ諦めておりませんので、ご協力お願いします。

「おかしくない?」
本通を行き交う人たちに訴える
買い物客らに呼びかける人たち
問題提起を続けてきた広島市議も街頭に立った


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