そのだ(ゆ)

ただの会社員。友達がパン屋。 不定期配信。

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  • そのだ(ゆ)エッセイ

    私が書いたエッセイが纏められたマガジンです。

  • そのだ(ゆ)小説

    私の書いた小説が入っています。

  • パイナップルロボ

    漫画原作として書いたパイナップルロボという作品です。まだ、漫画になっていません。

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短編小説「鬼ヶ島会議」

「“桃太郎が出発した”と急ぎ島に伝えろ!」 ここは、鬼ヶ島。村から少し離れた場所に位置する島。その島に伝令から一報が入る。 「密偵の者から、桃太郎が島に向けて出発したとの報告が。」 薄明りに照らされた部屋で一報を受けるのは、3年程前から鬼ヶ島で参謀を務める鬼だ。 「わかった。対策会議を開くと族長に伝えてくれ。私もすぐに行く。」 参謀は神妙な面持ちで自室を後にする。 対策会議1日目 大きな岩を削って作られた机の周りを鬼たちが囲んでいる。参謀は物々しい雰囲気の中、状況報告を行

    • 「安いから買うという行為」を理解する

      「安いから買うという行為」。私は、この行為に至るまでの心理状態が上手く理解できていない。これは、自分の物欲が少ないこと、買い物への興味が少ないこと、物質的な充足が自分の幸福度にそれほど関係していないことなど、自分の性格に起因している。そもそもの性格に起因して理解に及んでいないのだから、他者の感情を正確に理解する様な試みが困難であることは理解している。しかし、「安いから買うという行為」は世間でも一般的な行為であり、家族や友人がこの行為に及んでいる場面に立ち会う機会も多い。なので

      • 少年へ送る詩

        公園でファイヤーキックをする君へ 大人になっても夢叶わぬが 大人になっても夢潰えぬ 君の目に映る幻想の火は 消えることなく灯り続ける 齢三十の我が右手には 魂のバーニングソード

        • 【短編小説】幸せの市場

           テーマパークへの訪問、おしゃれなカフェでのランチ、友人からのサプライズ、シャンパンと夜景、彼氏の優しさ。貴島恵美のSNSには、ファミレスの蛍光灯に照らされてキラキラと輝くメロンソーダみたいな生活が投稿されていた。私はエアコンの風が肌寒いオフィスで従業員のSNSをチェックしている。このアカウントは、彼女の採用選考時に見つけたものだ。入社前に人柄を知るために個人のSNSを調査することは一般的になっていたが、他人の習字に直接触れて生乾きの墨汁が手につく様な不快感があった。採用した

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        短編小説「鬼ヶ島会議」

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        記事

          読書感想文「親切人間論 水野しず」

          「親切人間論」を読んで、私の中に何が残ったのか。それは、「考えることへの興味」だった。 「親切人間論」を読んでいて感じたのは、“理解できる部分は強く共感できるが、理解できない部分に関しては自分の中で答えを見つけながらでないと読み進めることが出来ない”ということだった。この感想は、あらゆる文章に当てはまる感想であり、あたりまえと言えばあたりまえなのだが、「親切人間論」に感じる理解出来なさは、無視の出来ない理解出来なさというか、強い共感の上に存在する理解出来なさなので、自分の中

          読書感想文「親切人間論 水野しず」

          趣味の獲得

          私には趣味と呼べるものが無い。27歳になり、家族や友人をはじめ、同年代の人たちが当たり前の様に趣味を獲得していく。私には趣味に割く時間が無いわけでも、体力が無いわけでも、精神的余裕が無いわけでもない。至って健康。先日、体組成計で体内年齢を計ったところ、19歳だった。 同年代の人たちは、キャンプや筋トレ、サーフィン、スノボー、競馬にファッションなど、多種多様な趣味を獲得している。私も一通り触れたことはあるが、趣味として獲得することは無かった。強いて言えば、私の獲得した趣味はラ

          アニメ「PSYCHO-PASS」の魅力2(ネタバレなし)

          先日、「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE」を見てきました。感情の揺さぶられる最高の映画でした。今回は、映画を見て改めて感じた「PSYCHO-PASS」の魅力について書いていきたいと思います。「PSYCHO-PASS」の大まかな説明や自分が好きになった経緯等については、以前にも書きましたので割愛させて頂きます。気になる方は、下記の記事を読んでみてください。「PSYCHO-PASS」という作品の構造上の面白さについて書いています。 今回は、私が感

          アニメ「PSYCHO-PASS」の魅力2(ネタバレなし)

          男は何故、後ろの方の席に座ることをカッコいいと思ってしまうのか。

          会議や集会等の正面に人が立って話しをする場で、会場に椅子が何列か並べられている場合、窓際の一番後ろの席が最もカッコいいとされている。これは男の中の常識である。会場の最後列は基本的にカッコいいとされているが、最後列の席が埋まることは少ない。それは何故か。最後列に座るということは、自信の誇示を意味するからである。最後列に座るにふさわしい人間であるという自信、それが無ければ座ることは難しい。故に憧れはあるものの最後列に座る自信の無い人間は、後ろから2列目か3列目の席に座ることが多い

          男は何故、後ろの方の席に座ることをカッコいいと思ってしまうのか。

          よさこいのボーカル

          「よさこい=踊り」というイメージが定着しているため、よさこいのボーカルが注目されることは無い。しかし、よさこいはボーカルがいないと成立しない。最も重要なのに、こんなにも注目されないボーカルがいるだろうか。現存するよさこいグループのほぼ全てが、録音データを使ってパフォーマンスをしている。一度収録すればそれで終わり。よさこいのボーカルとは、なんて儚い存在なのだろうか。 よさこいと同じシステムのEXILEは、EXILE=ダンスというイメージを保ちながら、ボーカルの存在感を残してい

          よさこいのボーカル

          一人称「俺」が恥ずかしくなってきた問題

          先日、LINEで会話をしていた時のことである。急に「俺」という一人称を使うことが恥ずかしくなってしまい、「俺の○○が~」と返信しようと思っていたところ、どの一人称を使っていいかわからず、結局「○○が~」と返信し、一人称を捨ててしまった。 noteなどの文章を書くときの一人称は「私」に決めているので迷うことはないのだが、妻や友人との会話になると、今まで当たり前のように使っていた「俺」という一人称を使うことに躊躇いが出てきている。 私は今年で27歳。人間としての魅力が若さや明

          一人称「俺」が恥ずかしくなってきた問題

          合計閲覧数が1万超えるのに3年かかった件

          2020年からnoteを始めて約3年、私のnoteの合計閲覧数が1万を超えた。 noteを始めた当初は週1での更新を目指して頑張っていたが、週1から月1に、月1から不定期にと、更新頻度は徐々に落ちていった。モチベーションが落ちたり、書きたいテーマが無かったり、仕事や私生活が忙しくなったり、理由は様々で一つではない。それでも、週に1回は、自分の記事が読まれているのか気になって、アクセス状況の確認をしていた。 エッセイを書いたり、小説を書いたり、好きなコンテンツを紹介したり、

          合計閲覧数が1万超えるのに3年かかった件

          パイナップルロボ あらすじ

          渋谷駅前に頭部がパイナップルの人型ロボットが立ち尽くしていた。博士に置き去りにされ、行く当てもなく、頼る相手もいないパイナップルロボは、人に紛れて生活していくことを決める。パイナップルロボは人間社会に溶け込むため、人間観察を行い、人間の行動データを集め始めた。その中での出会いや発見を通し、パイナップルロボにどの様な変化が生まれるのか。人間社会はパイナップルロボを受け入れていくのか。渋谷駅前にパイナップルロボを置き去りにした博士の真意とは。パイナップルロボが切り開く新時代の日常

          パイナップルロボ あらすじ

          パイナップルロボ 第3話

          パイナップルロボは、電車に乗っていた。目的地があるわけではない。パイナップルロボが電車に乗った時の周りの反応を確認するためである。 電車に乗ることは難しくなかった。駅にいる人間からの視線は許容範囲。改札も左手の決済システムで問題なく通過でき、駅員に止められることもなかった。この時間帯の電車は空いており、席にも余裕がある。パイナップルロボは座席に腰掛け、電車に出入りする人間の様子を観察していた。 (私を初めて見た人間は、最初こそ驚いた表情をするが、その後はすぐに慣れ、警戒し

          パイナップルロボ 第3話

          パイナップルロボ 第2話

          パイナップルロボは、5人の若者に囲まれていた。渋谷駅前で人間観察を行っていたところ、「パイナップルロボじゃね。」と声をかけられたのだ。パイナップルロボの存在は、SNSで拡散され若者を中心に知名度が上がっていた。5人グループの内の一人のギャルが「写真撮ろうよ~」と声をかけ、パイナップルロボが許可を出す前に撮影を開始し、その写真をすぐさまSNSに投稿している。 (ギャルと呼ばれる人間は、実にフランクに接してくる。自分で言うのもなんだが、得体の知れないロボと距離を詰めるには警戒心

          パイナップルロボ 第2話

          パイナップルロボ 第1話

          あらすじ 渋谷駅前に頭部がパイナップルの人型ロボットが立ち尽くしていた。博士に置き去りにされ、行く当てもなく、頼る相手もいないパイナップルロボは、人に紛れて生活していくことを決める。パイナップルロボは人間社会に溶け込むため、人間観察を行い、人間の行動データを集め始めた。その中での出会いや発見を通し、パイナップルロボにどの様な変化が生まれるのか。人間社会はパイナップルロボを受け入れていくのか。渋谷駅前にパイナップルロボを置き去りにした博士の真意とは。パイナップルロボが切り開く新

          パイナップルロボ 第1話

          作品と出演者の不祥事に関する私見

          昨今のコンプライアンス遵守ブームの影響で、芸能人が問題を起こすと、その人が製作した作品や出演した作品等が、販売停止、キャスト変更などに追い込まれるケースが多々ある。私個人の意見としては、芸能人がいくら問題を起こそうと、その人が関わった作品とその人が起こした問題に関係は無いと思っているので、販売停止はしなくていいし、キャストを変える必要は無いと思っている。役者と映画、ミュージシャンと楽曲、お笑い芸人とバラエティ番組、いろいろな形はあるが、どのパターンであっても私の考え方は変わら

          作品と出演者の不祥事に関する私見