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「変化のさざ波」を起こす—R・ケネディの言葉

結局のところ、社会に大きな影響力を持つこれらのNPOは、大きな規模で社会を変え、個人と地域を同時に変えることを目指している。(中略)
私たちが調査したNPOのほとんどが、この拡大の勢いを生み出す過程を言葉で表現していた。シティーイヤーでは、一つの行動が、グループ、近隣の人々、地域社会、そして国や世界と際限なく広がり、社会を変えていく様子を「さざ波(ripples)」と呼ぶ。
「さざ波」のたとえは、ロバート・ケネディが、1966年に南アフリカのケープタウン大学で行なった演説に由来する。「それは無数の、あらゆる勇気ある行動から始まる……そして人類の歴史が刻まれた信念だ。人が理想を求めて立ち上がり、人のために行動し、不当なものに対抗するときには、ささやかな希望の「さざ波」(a tiny ripple of hope)が送られる。これが、無数のさまざまなエネルギーや勇気ある試みへとつながって、一つの流れをつくり、やがて最も強大な抑圧と敵対の壁を押し流すことができるのだ」

L.R.クラッチフィールド, H.M.グラント『世界を変える偉大なNPOの条件』ダイヤモンド社, 2012. p.149-150

「Forces for Good」というのが原著のタイトル。(社会)善のための力。

社会のために何か貢献したいと思っていても、市民一人に何ができるのか。小さなNPOや小さなコミュニティの力では、「社会を変える」なんて大それたことはできないのではないか。

この本では世界を変えるような偉大なNPOの特徴を6つ挙げている。その一つが「エヴァンジェリスト(熱烈な支持者)を育てる」というものである。この「変化のさざ波」を起こすという文章はその説明の中で出てくる。

偉大なNPOの多くは、社会に変化を起こそうというとき、熟練した技術者や専門家を外から連れてくるのではなく、その地域やコミュニティの中でサポーターやエヴァンジェリストを育てるという「さざ波」戦略をとる。その理由は、市民一人ひとりとの関わりを重視し、初期のうちに小さな投資をすることで、はるかに大きな効果が生まれることを知っているからだという。

ロバート・ケネディは1968年6月に民主党の大統領候補指名選挙のキャンペーン中に暗殺されてしまう。しかし彼の残した言葉「希望のさざ波(ripples of hope)」は、まさに、小さなさざ波が集まって大きな流れとなるように、今でも多くの人の心に希望を与え、変化を起こし続けている。


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