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空間再現ディスプレイ:人体の内部を目の前の空間に再現

ソニー広報部のSTです。
あたかもそこに物が実在するかのような立体映像を映し出す、ソニーの空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display、以下SRD)『ELF-SR1』、その医療分野での活用が始まっています。

昨年12月に開催されたコンピューターグラフィックスのカンファレンス「SIGGRAPH Asia 2021」では、SRDと、医師でありサイエンスCGクリエイターの瀬尾拡史さんが開発した3DCG可視化システムViewtify®を組み合わせた展示が、参加者の注目を集めていたのでご紹介します。

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SIGGRAPH Asia 2021にて、来場者が途絶えない展示ブースの様子

ソニーが開発したSRDとは、4K解像度の高精細な3DCG映像を裸眼で立体視できるディスプレイです。SR=Spatial Reality(スペーシャル・リアリティ)は、映像を立体空間に再現することを表しています。目の前に物が実在し、ディスプレイの奥には別世界があるかのような、そんな新しい空間映像体験が可能です。現在、クリエイターのコンテンツ制作やプロダクト・建築デザインの確認のほか、美術館やイベント会場などでの活用が広がりつつあります。

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(左)ソニー独自の視線認識センサー、
(右)ディスプレイ全面に貼られたマイクロオプティカルレンズ ※画像はイメージです。

どうして立体的に見える?

ものを見るとき、左右の目に映る情報が微妙に違っていることを「視差」といいます。この視差があることで左右の映像を脳内で結んだ時に1つの立体的な映像として認識できると言われています。
SRDでは、ディスプレイの上部中央に配置した高速ビジョンセンサーと視線認識技術により、見る人の左右の目の位置を、水平や垂直と奥行方向も常に正しく検出し、捉え続けます。マスクを装着したままでも検出可能です。目の位置に連動した映像をリアルタイムに生成し、常に左右の目それぞれの視点映像を送って視差を発生させることで立体映像が見える仕組みです。見る人の顔の動きや目線の変化に対応し、左右の目に映像を届けるために、ディスプレイの全面にマイクロオプティカルレンズを貼りつけています。

「これはメディカル向けだと直感」 
サイエンスCGクリエイター 瀬尾拡史さん

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株式会社サイアメント 代表取締役社長 瀬尾拡史(せお ひろふみ)さん

知人からの紹介で初めてSRDを知った際に、「これはメディカル向けにこそ活用できると直感した」とおっしゃるのは、3DCGの医療現場での活用をめざし、医療3DCG映像及び医療3DCGソフトウェアの研究・開発・制作に取り組んでいる株式会社サイアメントの代表取締役社長であり、医師でサイエンスCGクリエイターの瀬尾拡史さんです。

瀬尾さんが開発したソフトウェアViewtify®は、CTやMRIなどで撮影した平面の連続画像データを瞬時に3DCGに変換して可視化するシステムです。近年は医療分野でも連続した平面画像から3DCG映像を生成することも一般的になってはいるものの、まだまだ手間や時間がかかるものが多く、表示速度にも課題があるとのこと。「映画やゲームで使用される最新の技術・表現手法を医療現場でこそ活用したい」という思いから、自ら3DCG データを生成する独自のソフトウェアの開発に着手したといいます。

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SIGGRAPH Asia 2021で掲示されたViewtify®のパネル

2020年10月に発売したSRDは、裸眼立体視に対応するコンテンツ開発用の無償ツールを用意しています。瀬尾さんは早速それを利用して、裸眼立体視対応のViewtify®を開発されました。「平面ディスプレイでは、臓器や血管などが入り組んでいる複雑な立体構造を詳細に理解するのに限界があるが、SRDでは、目の前に臓器があるかのような奥行き感のある映像となり、立体構造を直感的に理解しやすい」と評価いただいています。

Viewtify®で生成される3DCG 映像は驚くほど精緻で美しく、コンピュータ上でリアルタイムに回転、平行移動、拡大縮小して表示できるほか、任意の位置で臓器の断面図を瞬時に生成したり、スライスする位置を自在に変更できたりして、どの操作も待ち時間なく表示されます。実際の映像を、是非下記リンクからご覧ください!

このSRDとViewtify®の組み合わせは、外資系医療機器メーカー様の医療従事者向けのトレーニングセンターをはじめ、医療施設での採用が広がりつつあります。
注記:Viewtify®は2022年2月現在では医療機器ではなく、診断や治療目的に用いることは出来ません。教育または研究目的でのみ使用可能です。

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外資系医療機器メーカー様の医療従事者向けのトレーニングセンターの様子

SIGGRAPH Asia 2021の展示ブースは常時来場者が途絶えず、SRDで見る3DCG映像の実在感と美しさ、超高速・リアルタイムの高い操作性に驚きの声があがっていました。「天才CGクリエイター」とも言われ、メディアへの登場も多い瀬尾さんですが、どの来場者の方にも丁寧な説明を尽くし、対話をしている姿がとても印象的でした。

最先端の3DCG技術とソニーのディスプレイ技術が掛け合わされ、医療技術の発展に貢献できたら、、、それはとても嬉しいことです。これからさらに多くの施設で活用されるようになることを期待したいと思います!

関連リンク
空間再現ディスプレイ 商品情報
[法人向け] 空間再現ディスプレイ 商品情報
[法人向け] 空間再現ディスプレイ 事例紹介
空間再現ディスプレイ:ELF-SR1 インタビュー<建築家編>【ソニー公式】
空間再現ディスプレイ:ELF-SR1 インタビュー<CGクリエイター編>【ソニー公式】 
空間再現ディスプレイ:ELF-SR1 インタビュー<プロダクトデザイナー編>【ソニー公式】

執筆:広報部ST


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