作品について 子供というタイムマシーン
私が幼い頃に育った山というのは町田市と横浜市を挟む境の山の尾根で、その山は田んぼやみんなで作った秘密基地もあったり、虫取りやかくれんぼ、山菜採りなんかができる場所だった。私はその山を望むように並んだ、団地地帯に住んでいた。一番近い駅からバスで40分ほど離れていてとても不便な場所だった。
まだ開発されていないぽつんとした真っ暗な林は、夕方になれば街灯もまばらで真っ暗な山が広がる、何だか薄気味悪い空気に包まれた。幼い頃はまるで泥棒や山んばや人さらい、巨人などの幻想にかられ、それ